2000/7/26(Wed)

　心配されていた雨も上がり、湿っぽいながらも上着を1枚羽織りたいような、久々に涼しい夕方になりました。

　ただし、ピッチの周辺には水たまりが残り、ピッチコンディションは悪そう。アップに出てきた満男選手は、何回か横にステップを踏んで足下を確認すると、すぐにシューズを履き替えに戻りました。ほかにも念のためにピッチ脇まで換えのシューズを持ってくる選手もいて、みんなピッチ状態には神経質になっているよう。

　ビスマルク選手が警告累積で出場停止のこの試合、アントラーズは、攻撃的MFの左に満男選手、右に熊谷選手を配する布陣。試合開始直後、満男選手は、ちょっとやりにくそうです。全体のバランスが悪いのか、中央でなかなかプレーできず、ライン寄りの時間が長いみたい。ここ何試合か見せていた、前への飛び込みは押さえて、ゲームメイクに徹しますが、DFラインの裏を狙ってパスを出しても合わなかったり、ミスパスになったり。左サイド、相馬選手を前に走らせるいいパスも出しますが、シュートにつながりません。

　最初のビッグチャンスは、右サイド熊谷選手から。縦に出されたボールをDFの裏で受けた柳沢選手が、グラウンダーの早いボールをファーの平瀬選手に。シュートは、キーパーにはじかれます。この日、プレースキッカーを務める満男選手の始めてのCK。右コーナーから蹴ったボールは、直接キーパーがキャッチ。でも、プレースキックの調子も、悪くはないようです。

　DFラインの裏を狙ったパスを送り続けるアントラーズですが、少しずつ後ろに引いてしまったようで、2トップのうしろがやや開いて、間延びした形に。

　1stのジェフ戦でも、なんだかボールに関係ないところでコロンと転んでいる印象のあった満男選手。今日も、ボールと全く関係ないところでコロンと。倒したのは、阿部選手でした。

　そして、その直後、 柳沢選手が倒されて、ゴールから25メートル、正面やや右よりでFKを得ます。満男選手がボールをセットする姿に、ゴール裏からミッキーマウスマーチに乗せた小笠原応援歌が。「お前のゴールを待ってるぞ、GET!　GOAL!　小笠原!」。壁は5枚。ゴールを見据える満男選手。リフレインが4回目に入った時、右足でキック。美しいカーブを描いたボールは、ジャンプした壁の右隅の選手の外を通って、ゴールポストの外側を巻きながら鋭く落ちてゴール右隅に。思い切り飛んだGKの手にも触れない、ファインゴール!

　小さくガッツポーズの満男選手に、選手たちが駆け寄ります。流れをつかめない時間帯の、貴重な先制点です。

　これで、完全にアントラーズペースになります。うって変わってチームも満男選手もいい動きになっていきます。

　相手DFが前に送ったロングボ ールをヘディングでクリアして、左サイド、ライン際でコロンと後ろに転んでしまった満男選手、ボールが相手に渡ったと見るやぴょんと飛び起きて、素早いつめでそのボールを奪うと、そのままスピードを上げてドリブルで上がります。背中の酒井選手を巧みに体の向きでブロックしながら、逆サイド、開いていた熊谷選手に大きくパス 。熊谷選手からオーバーラップをかけた名良橋選手に送られ、実に美しいクロスボール。ゴール正面、柳沢選手が飛び込んで合わせ、ゴール!

　あっという間に、2点目を上げました。

　左のライン際、ベンチのすぐ前で、中田一三選手とからんで倒される満男選手。なかなか立ち上がれない姿に、慌ててベンチから一直線に飛び出す関ドクター。そこには水たまりが。あっという間に足を滑らせ、両手を体の脇で回してなんとかバランスを取るドクター。なんとか立ち直った時には、満男選手、それに気づいてか気づかずか、もう次のプレーに参加しようとしていたのでした。ベンチに戻る関ドクターに、ベンチのスタッフもまあまあ落ち着いてというようなジェスチャー。ちょっと笑える、ひとこまでした。

　ジェフのゴール前の右CK。わざとゆっくりとコーナーに歩み寄り、審判に言われてようやく小走りになる満男選手に、ジェフのゴール裏から「早く蹴れー!」と怒声が飛び交います。敵チームのサポーターには、憎い選手になっているようです。

　サイドチェンジを織り交ぜて、パスもよく通るようになって、ハーフライン後ろから、右コーナに向けて、速いロングパス。熊谷選手、思い切り走って、ぎりぎりで追いつきます。

　ハーフタイム、ベンチ横を引き上げる満男選手の頭を、バシッと曽ヶ端選手の手荒い祝福。イテッと顔をしかめる満男選手ですが、体力的にやや厳しいのか、表情を崩す余裕はないようです。

　後半、開始早々に左サイドでゆったりとボールを持つ満男選手。2人のFWが猛然と前線に走り出します。精度の高いクロスボールは、ファーの平瀬選手の頭に。ボールはバーを越えましたが惜しい攻撃。

　右サイド高い位置で、果敢にボールを奪いにいく熊谷選手に、取り返そうとする山口選手の足がすねに入って取ったFK。蹴ろうとする満男選手に、秋田選手が走り寄って、なにやら伝授。ボールはちょっと長く、GKに直接届いてしまい、作戦失敗です。

　またまた、ボールと全く関係ないところで、いきなり倒れ込んでいる満男選手 。DFと競って走っていて、肘がお腹に入ったよう。今度は酒井選手かな。審判がやってくるまで倒れ込んだ姿勢のまま動かなかったのですが、来るとすぐに体を起こして、冷静にファールがあったことをアピール。でも、これは認めてもらえませんでした。

　柳沢選手が腿の裏の違和感を訴えて、長谷川選手に予定外の交代。

　ゆっくりと中盤でボールを回しながら、すきをうかがうアントラーズ。名良橋選手がDFと競りながら中央に進み、左の満男選手にボールを渡し、そのまま上がると、満男選手もその意図をすぐに読んで、DFの裏にパス。名良橋選手、ヘディングで落としてシュートするも、枠に行かず。残念な攻撃でした。

　ジェフは、バロン選手に代えて林選手を投入。これで、一気にアントラーズのバランスが崩れます。中盤でスピードを生かして走り回る林選手を つかまえきれません。でも、ジェフの選手たちも、林選手以外は足が止まりがちで、それほど怖さは感じません。しかし、攻めに回ったジェフの右CKから、ニアになぜかフリーで飛び込んだ小倉選手に決められて1点差になってしまいます。

　今季まだ1失点しかしていない守備陣。秋田選手の怒った顔に、遠くからでも不穏なムードを感じます。ポジションに戻りながら、それを見ていた満男選手、手を叩き気持ちの切り替えをうながします。表情は落ち着いて、絶対にこの試合は取れるという自信が感じられます。パンパンともう一度手を叩いて、そして開いた両手を押しつけるように下に下げて見せ、味方の選手たちに声をかける満男選手。口の動きは「集中して!」。

　1点差に追いつき、生き返ったかのように 動き始めるジェフの選手たち。アントラーズは平瀬選手に代えて内田選手を投入。内田選手の守備は、まだ、ちょっと怖いところがあります。セレーゾ監督、指示の回数が増えて、ついに、またまた左サイドの満男選手を、右のベンチ前まで呼んで延々と、プレーが始まっても満男選手戻れません。気持ちは分かるけど、お願いだから、指示はプレーが切れてるときだけにしようよ。

　終了に近い時間に取ったCK、思い切りゆっくりコーナーに進む満男選手。審判、満男選手のほうに走り寄ってきて、プレーを急ぐようにうながしますが、満男選手、ちょっと小走りになるものの、悪びれた様子もありません。

　ロスタイムに入り、相手選手とからんで倒され転んだ満男選手。左足首をつかんで痛がり、かなり心配な様子。 なかなか立ち上がる気配のない満男選手に、ベンチから関ドクターがピッチを横切って、全速力で走り寄ります。そして、到着した瞬間に立ち上がる満男選手でした。結局、診察もせずラインをまたいで外に出る関ドクター。今日は、ドクターの小ネタデー?

　ただ、その後も満男選手は、足を気にしてちょっと心配な様子です。

　そして、試合終了のホイッスル。フルタイム出場を果たした満男選手。 足を引きずっているのが、心配だけど、見事に司令塔としての役割を果たした姿がありました。

（メインスタンドより観戦）