2000/7/22(Sat)

　5時くらいまで日が射し暑かったスタジアムも、キックオフの頃までには気温も下がり、風も少し吹いて、湿気は高いけど見てる分には涼しいくらいになりました。

　アップは中村幸聖選手と。いつもは、一つ一つのメニューをきちんとこなしていく満男選手だけど、今回は、やるべき動きが入ってなかったりして、ちょっと変。久々のベンチ入りの幸聖選手をリラックスさせようとしてなのか、それとも、単にそういう気分なのか。ストレッチしてる最中に、二人だけパス交換始めて、里内フィジカルコーチに注意されて、またストレッチに戻ったり。余裕のある雰囲気で、それだけで、調子がいいと思わせてくれます。

　満男選手、胴回りがまたちょっと太くなったかしら。体型もどんどん変わっていきますね。

　アップの最後には、その辺に転がってるボールをゴールに蹴りこむ癖のある満男選手。これも、いつもより多く、5本くらい。最後にしようと思って蹴ったボールがゴールを外れて、もう1本。今度はちゃんと決めてました。

　試合開始早々から、満男選手は切れのいい動きを見せます。位置取りは、前回のヴェルディ戦とも、また少し違って、中央、ツートップのすこし下がり目にいる時間帯が長いよう。

　相馬選手から、平瀬選手を縦に走らせるパス、追いついた平瀬選手が中央に下げたボールを満男選手が右サイドで待つ長谷川選手に。相手DFに当たってうまく長谷川選手に渡らなかったけど、早速、小笠原コールが響きます。

　得意のパターンで前線の平瀬選手にロングボールを送ったとき、蹴った瞬間に足下が滑ったのか、随分ずれた位置にボールが飛んで、これは珍しいミスコントロール。

　選手たちが主審に詰め寄り、主審も副審に確認するちょっとした騒動の時、満男選手は、主審にジェスチャーを交えて熱心に話をします。どうやら、4番の土屋選手が長谷川選手を引っ張ったとアピールしている様子。時に審判に対して熱くなりすぎてるんじゃないかと思わせる試合もある満男選手ですが、この日の態度は、冷静で堂々としたもの。副審にこっちに来てと手招きまでして、なんだか、今日は体調がいいだけでなく、精神的にも一回り大きくなったように感じさせます。

　アントラーズのスローインの時、ペナルティエリア内で、満男選手が倒され、菅原選手にイエローカードが出ます。その前から、ボランチの菅原選手とはぶつかるシーンが多かったので、これで多少楽になったかもしれません。

　今日も、前線に飛び込む動きを多く見せる満男選手。左後ろのコーナー付近で中田選手がボールを持ったとたんに、全速力で走り出します。ペナルティエリアの端から相手陣内まで50メートル以上かしら。本当に今日は元気です。最終ライン、秋田選手がボールを持ったときも、スペースに思い切り走り込み、ボールが合わず、足に当てられなくて残念。

　相手セットプレーには、集中している様子のアントラーズの選手たちですが、ミスもあって、前半はペースをつかめません。満男選手も、囲まれて前に送ったボールが、平瀬選手のフォローなく相手選手に渡ったり、スルーしたボールが長谷川選手と意図が会わず通らなかったり、前線とのコンビネーションは今ひとつのよう。

　歯車がかみ合わない感じのままの25分くらい、高桑選手がゴールキックを蹴ろうというところで、なぜだか、満男選手、いきなり左サイドの端からピッチを延々横切って、右サイドに走って行きます。セレーゾ監督と通訳さんと、随分長いこと話をして、ワンプレー切れた頃にプレーに戻る満男選手、指さしながら、ビスマルク選手に何事か話しかけてました。その少し前から、左にいることが多くなっていたので、ポジショニングの確認だったかも。

　満男選手の大きなクロスに平瀬、名良橋選手のどちらにも合わなかったとき、名良橋選手、満男選手に向かって自分を指さして、オレか?とジェスチャー。満男選手、名良橋選手を指さして、細かくコミュニケーション取り合っているのが分かります。

　そうそう、ものすごい顔つきで怒鳴る姿もありました。たまたま双眼鏡で見ていたので表情まで見えたのだけど、セットプレー時の味方選手に対するポジショニングの指示が伝わらなかったらしくて。こんな激しい顔つきの満男選手は始めて見ました。しかも、その時、位置を指さすのに、両手を伸ばして一カ所を指さしてるの。一本じゃ足りなかったのね。

　後半開始前、長谷川選手となにやら話をする満男選手。途中、プレーが切れたときにも長谷川選手に指示を出して、なんとかいいパスを出そうと、懸命な様子です。後半は、位置が右サイド寄りになって、熊谷選手がセンターに上がってくる形が多いみたい。

　そして、後半2分、先制点になる満男選手のスーパーゴールが。

　右サイドのスローインになって、名良橋選手がものすごく慌ててボールボーイの子にボールを早く渡すように要求。その意図を、満男選手も感じたんでしょうか、スローインに合わせてダッシュで前に進んで、DFの菅原選手に競り勝ちゴールライン際でボールをキープ。わたしの席からは、ラインを割ったとしか見えなかったくらいぎりぎりのところで折り返すと、瞬時に左足でシュート。ゴール!!

　素早すぎて、何がなんだか分からなかったんだけど、GKとゴールポストの間を通って、反対側のゴールネットに突き刺さったんですね。すばらしいゴール。今季2点目。満男選手は、アントラーズの選手たちに囲まれて、もみくちゃです。

　守備面の動きも、今日はとてもよくて、ライン際、スライディングでボールをクリアしたり、相手選手に素早く詰め寄りボールを奪ったり。

　しかし、どうも妙なミスもある満男選手。味方コーナー近く、ライン際でボールを持ち、前から相手選手2人に囲まれて、後ろの選手にボールをパス。でも、その選手って、ヴィッセルの選手だったのよ。いきなりのピンチに場内あ然。ちゃんとすぐに自分でボール奪い取れたので、よかったんですけどね。でも、この時のボールの奪い方、見事なものでした。ペナルティエリアの中だったので、絶対、無理できないところだったんですけど。

　連敗が続くヴィッセルは、焦って、ボールを蹴りこんでくる感じで、多少攻め込まれても怖さを感じさせません。

　後半19分にはビスマルク選手にイエローカード。これで、セカンドステージ、ビスマルク選手3枚目のイエローです。時節、4日後のジェフ戦は満男選手の司令塔でしょうか。

　22分、コーナーキックから中田選手のヘディングで2点目。

　ペナルティエリアの右より少し外で、ヴィッセルのFKになった場面。アントラーズの選手3枚の壁の右と左に、満男選手と名良橋選手が、キックを蹴られたらすぐに詰め寄ろうと、真剣にダッシュの準備をしているのに、審判と選手がもめてなかなかFK開始にならず。でも、その瞬間を逃すまいと、2人ともずっと同じ姿勢のまま。真剣そのものだから、余計になんだかほほえましく見えるっていうのは、ちょっと失礼かしら。

　33分、長谷川選手に代わって金古選手が入り、3バックに。この時も、監督の指示が通らなかったのを、きちんとDFに聞きに行く満男選手。そして、熊谷選手と確認し合ってました。

　前を向いて、平瀬選手にパスを通そうとするけど動きが逆になって、今回はこの2人、最後まで合わなかったようです。

　41分、平瀬選手に代えて、本田選手が入り、満男選手が1トップに。確か、1stのジュビロ戦の時に本山選手と2トップはやったと思うけど、1トップは初めてだよね。もう、こんな変わったものまで見られて、本当に満足。

　FWになったとたんに、コーナ近くでボールをしっかりキープ。崔選手に倒されて、ファールを取る満男選手。そして、3点目は、そのFKから生まれました。ビスマルク選手のFKに秋田選手が飛び込み、ヘッドでゴール!　珍しく、満男選手、駆け寄って秋田選手にタッチし、祝福します。

　そして、左サイドの相馬選手に続けてパスを出す満男選手。倒れ込みながらも、大きなサイドチェンジのパス。

　ロスタイム、アントラーズ、3人目の交代。たとえ、時間稼ぎの交代としても、今日は満男選手を代えなかったセレーゾ監督に感謝です。フル出場できることが、確実に自信に繋がるはずだから。

　そして、終了ぎりぎりに、ビスマルク選手から左に流れていた満男選手を縦に走らせるパス。満男選手、最後の力を振り絞ってボールに追いつくと、そのままロングシュートを打ちますが、打った瞬間、外れると分かったのでしょう、地面に倒れてしまいます。ボールはゴールの遙か上を通過。そして、その瞬間に長いホイッスル。試合終了です。

　満男選手、疲れ切ってたのと、もしかしたら恥ずかしかったのかな、そのまま長いこと大の字になっていて、その場所が、ベンチの真ん前だったので、スタッフの人が飲み物を持ってきて飲ませようとするのですが、くるりと転がって下を向いてちょっと頭を抱える仕草。そんなことしてるもんだから、整列に間に合わず、満男選手が揃う前にホイッスルが鳴って選手たちはおじぎ。追いついた満男選手、真っ先に熊谷選手にタッチしに行ってました。熊谷選手がいてくれないと、あんなに思い切って前に上がれないものね。実際のプレーの上でも、そしてきっと精神面でも、熊谷選手は満男選手の支えになってくれてるのだと思います。

　トステム賞の受賞、そして、ヒーローインタビューのために呼び戻される満男選手。トステム賞のプレートは、ちゃんとメインとバックスタンドの両方にくるっと回って掲げて見せて。インタビューは、プレーの疲れからか頬がこけて、いっそう精悍な表情の満男選手でしたけど、ほっぺたに芝が着いたまんまでしたね。

　インタビューが終わって、ゆっくりゆっくりとゴール裏に挨拶に向かいます。こういう歩き方の時って、ケガをガマンしてるときもあると思うのだけど、TVで見ると、肩が左右にかなり揺れてますね。右足、痛みがまだあるのかな。

　ゴール裏に一礼、手を上げてコールに答える満男選手。この試合のヒーローは、本当にあなただと思います。

（バックスタンドにて観戦）