2000/7/08(Sat)

　台風一過、強い日差しが照りつけて、ピッチを半分に、日なたと日影に分けます。キックオフからしばらく、緑の芝生の上を、赤と青のユニフォームの選手たちが走り回る光景の美しさに見とれてしまいました。

　もちろん、真剣に勝負に臨んでいる選手たちには、失礼な話。特に、日なたの右サイドの選手たちには。日影に座って観戦するだけなら、それほど暑さを感じない程度だったのですが、この日差しは選手を弱らせるでしょう。

　その強い日差しを浴びて、満男選手は、はつらつと走り回ります。試合開始前、肩を組み輪を作るときにも、パンパンと手を叩いてみんなを鼓舞、気合いのはいった様子を見せ、開始早々にも、奥選手に厳しいチェック。モチベーション十分なことが感じられます。

　ジュビロは、満男選手の対面の金沢選手に全く迫力がなく、怖い存在の藤田選手が右サイドに入るフォーメーションのせいか、バランスが悪い感じ。対するアントラーズは、ベストメンバー。アントラーズペースで試合は運びます。ただし、ビスマルク選手は、調子が悪く、あとでビデオを見て、前日別メニューの練習をしていたと言うのを聞いて納得。

　3日前のナビスコカップを、右足首の大事を取って休んでいる満男選手、始まってすぐに、いつもの手で顔の汗を拭う仕草を何度も見せ、どうやら左のストッキングがずり落ちがちなのか、何回も足に手をやるので、そのたびに心配してしまうのですが、体の切れもよく、運動量も多く、足の具合も悪くはないようです。何本もFWを走らせるロングパスをくり出し、周囲に指で示して細かくコーチング。頼もしいという言葉が最もぴったりするプレーぶり。

　名良橋選手のロングパスから平瀬選手のゴールで先制した数分後、背後の秋田選手からパスが出ます。すかさず柳沢選手の位置を確認して、ワンタッチで長いスルーパス。これを柳沢選手が落ち着いて決めてくれて、ゴール!　満男選手は、この日2回目の「相馬のストレッチ」ダンスを名良橋、平瀬、柳沢選手が踊るのを嬉しそうに見守ります。

　その後も、縦横無尽に活躍する満男選手ですが、40分くらいだったかな、左サイド平瀬選手へのロングパスが珍しくコントロールが悪くて、少し足に無理が出てるのかもしれません。

　そして、すっかりアントラーズペースのまま、前半終了。

　後半になって、ジュビロは金沢選手を下げ、右サイドに川口選手を、藤田選手を真ん中に持ってきます。このポジショニングの変更が成功して、試合はジュビロのペースに。満男選手、体が動かなくなってる感じです。厳しいチェックや攻撃のポイントでは、鋭い動きを見せているのですが、運動量が落ちてきた感じ。前半、ビスマルク選手の体調を気づかってか、たまたまそうなったのか、珍しくビスマルク選手とポジションチェンジをせず、ほとんど、日なたの右サイドにいたことも効いてるのかもしれません。後半になって、日も傾いてからは、ポジションチェンジも行なわるようになりましたが。

　スタジアムでは満男選手しか見ていないので、このとき満男選手一人の動きが悪くなったのかと思っていたのですが、冷静にビデオを見ると、アントラーズの選手、全体に足が止まってますね。そのためか、川口選手の俊足に、左サイドを抜かれる場面が何回か。

　疲れを見せながらも、満男選手は、相手の早いリスタートには誰よりも早く反応。自分が取られたファールを、審判に抗議しながらも、リスタートのボールには瞬間に飛んで行くあたりは、さすがに冷静です。

　そして、FKの場面、ボールをセットしようとするビスマルク選手に、何かしら話しかける珍しい光景も。自分で蹴ろうという意思表示かもしれません。結局、いつも通りビスマルク選手が蹴りましたけど、満男選手、そばに立ってさかんに周囲に指示、試合を仕切る雰囲気も見せます。

　攻め込まれながらも、アントラーズの作ったチャンス、ビスマルクがボールをキープして右サイド走り込む満男選手に横パス。すかさずボレーシュート!!　残念ながらポスト上を越え、落ちながらゴールネットをかすめましたが。迫力あるプレイ。ただ、まだ完全ではない右足は悲鳴を上げたでしょうね。

　その少しあと、今日も見せてくれました、アントラーズサポーターの間で「銅像シュート」と呼ばれるようになった、長いループシュート。今回は、右に外れ、ゴールの匂いを感じさせませんでしたが、1stステージ最終節から4試合連続。どうもお約束になっているよう。

　ジュビロが中山選手のらしいヘディングで1点差に追い上げ、さらに攻撃を仕掛ける中、服部選手に猛烈に向かっていき、いい位置でボールを奪うなど、守備にも頑張ってきた満男選手、ついに交代を告げられてしまいます。スタジアムでは分からなかったけど、この時、コーチに向かって自分を指さし「オレ?」と確認する姿は、決して忘れられないでしょう。最後までプレーしたかったよね。フォローに入った関ドクターの、「足が……」というジェスチャーに、すぐに納得した風ではありましたが。

　気持ちがいっちゃってたんでしょうか、直後、交代で入ることになった、本山選手の横にいきなり立ってアドバイス。自分がピッチで感じてたこと、全部伝えたかったんじゃないかと思うくらい長い時間。本当は、足を投げ出して、静かにアイシングしてなきゃならないはずなんですけど。

　西日のきついベンチを嫌ってか、通路脇まで下がって座る満男選手ですが、日差しからは逃れられず、白いタオルを頭に乗せて、仲間の戦いぶりを見守ります。中山選手のPK、どんな気持ちで見ていたのか。

　そして、1点のリードを守りきって、試合終了。タオルを乗せたまま、すたすたと一人歩いて帰っていく満男選手の姿がありました。フロンターレ戦の時には、ほとんど歩くのがやっとの感じだったので、足の具合はかなりいいよう。もしかしたら、痛み止め使ってるだけかもしれないけど。

　重要な1戦、勝ち試合となりました。まだまだスケジュールきついけど、いいプレーをして、勝ち続けられますように。

（ホーム側サイドスタンドより観戦）