2000/10/25(Wed)

　 今日の練習は、午後3時から。関東地方は、朝から雨が降っていたのですが、練習開始時間には雨もあがり、見学席もほぼ乾いていて、寒さもさほどではなく、快適な練習見学ができました。

　 芝の手入れ中のAグランドも、すっかり芝が生えそろって、青々としてきましたが、練習は、今日も芝の色のあせたBグランドで。選手が出てくる前に、ブラジル人らしき男性2人と小さな子どもが出てきて、ボールを追いかけて遊んだりしていたのですが、ランニングのときに、ビスマルク選手がその子に大きく手を振っていたので、知り合いでしょうか。

　 ジーコ総監督は昨日来日しているはずですが、練習には姿を見せませんでした。

　 練習開始前に、グランドの隅では、中田選手が、TBSの取材を受けています。終わり際に「それと、優勝したときには……」とクルーが声をかけ、中田選手も「わかりました」と軽く答えていたので、優勝したら生出演という話かしら。どうやら、スーパーサッカーの取材のようです。他にも記者の人とか、カメラマン、それに、高城光代さんもいて、オリンピックが行われていた頃より、かなりにぎやかな感じです。ナビスコカップ決勝戦と、リーグ再開に向けて、メディアも動き始めているのでしょう。

　 Bグランドの見学席に到着した頃には、すでに、選手たちもBグランドに集まって、満男選手は鳥かご。金古、幸聖選手などの若手選手と、本田、秋田、相馬選手のベテラン選手です。満男選手の、超ご機嫌ってわけではなさそう。寝起きが悪かったのかもしれません。短パンの上に、ウインドブレーカーの上着を2枚重ねて着ています。

　 今日は、古川選手の姿が見えず、金古選手、中島選手は別メニューで練習。本山選手は、室内練習をしていたのか、30分くらい遅れてグランドに姿を見せました。

　 相馬選手と組んでストレッチ。2週間前の名古屋での試合の頃まで、腿がしっかり曲がらないのか、ストレッチのときに、他の選手と違う動きをすることがあった満男選手でしたが、今日は、全部同じ動きがこなせているようです。右腿を上げるストレッチは、角度が悪くて見えなかったのですが、回復に向かっているのではないかしら。

　 ストレッチのあとで、そのまま相馬選手と並んで話をしたりしながらランニングを3週。代表に2人取られているのだけれど、今までよりも大人数に思えます。

　 ランニングが終わると、2組に分かれて鳥かご。2人が中に入って、外でボールを回すのだけど、今日も満男選手は、外側にいる時間が多いです。中に入っても、外を回されているボールが誰かの足元に届くところに、ちょこっと足を出してボールに当てて、カットし、すぐに外に出ます。でも、やっぱりミスもあって、トラップしたボールが、秋田選手にもろにぶつかってったとき、明らかに満男選手のミスなのに、意外そうに「オレ?!」とでも言ってるように、自分の胸に手を当てます。もちろん、それで見逃されるわけはなく、真ん中にはいらされました。それから、外でミスして、熊谷選手と入れ替わりになったのかな。後ずさりして外に出ようとする熊谷選手を、背中から大きく手を開いて妨いで、外に出るのを無理矢理阻止したりもします。この鳥かごの途中から、体が温まったのか、調子が上がって、動きも激しくなり表情も生き生きしてきました。

　 短いコースのダッシュ、ターンしてダッシュなど、いつも通りのウォームアップメニューが終了すると、今度は、攻撃陣と守備陣に別れます。守備陣は、秋田、羽田、ファビアーノ選手の3人。あとは攻撃練習です。

　 まずは、ハーフラインの右側に3人が横に並んでいっせいに走り出し、ポジションを入れ替えながらボールを回し、一人が右サイドに長く出たボールに走り込んで、クロスを上げ、あとの二人が、ニアとファーに走り込んでシュートするといういう練習。これを右サイドと、左サイドで、交互に行います。満男選手、ゴールポストのすぐ下のいいコースに飛んだボールを、曽ヶ端選手に片手で弾かれて、悔しがります。満男選手のシュートは、決して力強くはないけど、いつもキーパーをよく見て、コースを考えて蹴られているという感じです。

　 今度は、右サイドでやっていた選手と、左サイドでやっていた選手がごっそりと入れ替わります。最初、見学席の近くの右サイドにいた満男選手は、今度は、別メニューで練習中の選手たちに近い、左サイドに。そこで、給水した満男選手、なぜかDAKARAのラベルをじっと見つめます。練習中の給水は、このところずっと、サントリーのカラダバランス飲料DAKARAの大きなペットボトル。変わったことは何もないはずなのだけど、ラベルのデザインでも新しくなったかしら。それとも、一瞬固まってしまっただけ?

　 そして、給水が終わると、近くにあったボールをさっそく触りはじめて、金古選手がつかまってストレッチをしていた、倒してあるミニゲーム用の小さなゴールに、ボールを蹴り込みます。ボールがあれば、必ず触り、ゴールがあれば、たとえそれが倒れていてもシュートしないと気がすまないのかも（笑）。

　 そして、今度は、その小さなゴールの向こう側をジョギングで通りがかった本山選手のコースに、ぴったり合わせてポーンとボールを蹴ります。足元にボールが来た本山選手は、少しのあいだだけ、軽く蹴りながらジョギングしてました。ホントは、たくさんボールを蹴りたいだろうけど、今は我慢の時だものね。リハビリしている選手には、かまいたくなる満男選手なのかもしれません。

　 満男選手が左サイドで練習を始めてしばらくして、金古選手、狭い間隔で並べられたたくさんのコーンを、右に左にとドリブルで抜けていく、実に地道な練習を始めます。ウインドブレーカーを脱いだ、その赤い練習着姿は、紺のウインドブレーカー姿の他の選手たちのなかで、ひときわ目立っています。と思ったら、金古選手に、細かい拍手を送る選手が。ハーフラインのところで、自分の番を待っている満男選手でした。ゴールの反対側の、金古選手の方に、少し歩み寄って、ちょっといたずらっぽく、がんばれがんばれって言ってるような響きの拍手です。と、拍手しているうちに、自分の番が来て、突然真顔になり前に走り込んで行って、帰ってきてから、もう一度拍手。ちょっと、からかってるのかもしれないけど、かまってあげたくなるような、金古選手の姿でした。

　 そうそう、そのとき、休憩していた中島選手にも満男選手何やら話しかけてたんですけど、中島選手、ビンテージを巻いてたみたい。早くケガが回復するといいんですけど。

　 はっきり憶えてないけど、この、3人組での練習が終わった後くらいでしょうか、ちょっと長めの休憩に入りました。満男選手、給水すると、すぐにボールを持ってセンターサークル当たりに行き、ゴールの方を向いて、ボールの上に腰かけます。ゴール前にいたコーチ陣が移動したのを見計らって、きれいなインサイドキックで低い弾道のボールをゴールに蹴り込みます。ゴールのところにいた、ホペイロさんがボールを拾い上げると、満男選手、こっちにボールをよこしてというふうに、片手を高く上げて合図します。ボールが戻ってくると、また同じことの繰り返し。ハーフライン過ぎからゴールまでだから、だいたい50メートルくらいのキックの練習です。

　 そういえば、このところ、足のケガの影響か、きれいなサイドチェンジのボールや、後ろから一気にFWを走らせるロングパスは、あまり見てない気がします。満男選手も、これからの試合で、長く正確なパスを生かしていこうというつもりでしょうか。右足でけり出されるボールは、きれいな軌跡を描いて、ゴールネットに突き刺さってました。リーグ戦の再開が、ホントに楽しみです。あ、確か左足で蹴ったときに、ゴールマウスを外れてましたけど、これは、ご愛敬ということで（笑）。

　 GKの一人、多分、加藤選手が相手をしてくれて、ボールを蹴り返してくれます。他の選手たちが、着替えたり、汗を拭いたりしてるあいだ、ずっとボールを蹴り続け、監督が次の練習の説明をはじめるぎりぎりまで、繰り返し練習していました。

　 そして、攻撃練習は、まだまだ続きます。今度は、サイドから上がったボールを、FWの２人で回し、走り込んできたMFがシュート。その次が、サイドから上げたボールを、ファーサイドFWが落とし、MFがシュート。そして、MFとFWが、サイドからのボールを、走り込んでシュート。

　 満男選手、ときにシュートを外してしまって悔しがったり。あと、サイドから出たボールがGK正面に転がっていって、一歩のところで足が届かず、曽ヶ端選手がキャッチ。地面にうつぶせに伸びてしまったこともありました。それに、クロスの目測を完全に見誤っちゃって、間に合わないこともあって、これは、他の選手たちも、ちょっとつっこみを入れてました。

　 満男選手がきれいに決めたときには、野沢選手が拍手を送っていたのですが、このところ、彼の性格や普段の行状をかいま見てきただけに、素直な後輩の反応とは思えなかったりもするのでした。こんな、ひねた見学者じゃいけないんですけどね（笑）。

　 先週の試合で、どうも不調に思えた名良橋選手は、今日も少し不調なよう。それにつられたのか、右サイド内田選手のクロス、ゴールの向こう側に飛んでいってしまって、すかさず長谷川選手に、ブーイング気味の拍手を浴びてました。好調なのが、熊谷選手。FWか攻撃的MFに転向してもらった方がいいんじゃないかと思えるくらいの決定力。ボールを決して浮かさず、びしばし決めまくってました。

　 4時50分くらいに、攻撃練習が終了。今日の練習はこれで終わりかと思ったら、コーチ陣が、ゴールを動かしてミニゲームの用意をしています。その間、満男選手は、野沢選手とパス交換。この二人のパス交換は、ルールがあるようで、つま先で蹴りあってみたり、二人が同じ蹴り方をするのです。最後、野沢選手が、自分の前から背中の方向に蹴ったとき、自分自身にボールを当ててしまって、ずいぶん悔しがってました。

　 今回の休憩時間は、途中からボールを蹴るのをやめて、満男選手はストレッチなどしています。その視線の先には、なぜかボールをキャッチしようとしているファビアーノ選手が。ファビアーノ選手と名良橋選手がPKごっこをしていたのです。一人が蹴るときは、一人がGK役に回ります。フィールドプレーヤーのGK姿という、貴重なものを見せてもらいました。二人とも、PKが蹴られると、「おりゃー」とかかけ声かけて飛ぶんだけど、威勢がいいのは声だけ、止めることはできず、シュートはほとんど決まってました（笑）。

　 ストレッチをしているあいだに、ミニゲーム用のビブスを渡された満男選手ですが、なぜか頭と腕を通しただけで、裾を引っ張らないままでいます。超短い丈のビブスを来てるみたいな格好です。ああ、どうして、毎回毎回、服装関係の話題をレポートに書くことになるのかしら。ともかく、話題提供するつもりは全くないはずなのに、いつも話題を提供してくれている満男選手なのでした。

　 ミニゲームを開始するとき、満男選手、左サイドの方を指さして中田浩二選手に何か言っています。その指先には、ビブスを着たセレーゾ監督が。監督、ジーコさんが来日したので、スタッフゲームに向けて、自分の練習に余念がないのかもしれません。前から、セレーゾ監督がミニゲームに入っているという噂を聞いてたんですけど、監督として、どうなんでしょう。客観的に、外から選手の様子など、見てなくていいものなんでしょうか。いや、見学者にとっては、とっても楽しみなんですけど（笑）。

　 すっかり暗くなって、照明がともるなか、ミニゲーム開始。ハーフコートで11対11のゲームです。ビブス組、審判の判定で相手ボールになって、いっせいに不満を言います。もちろん、一番大きな声はセレーゾ監督。やる気満々です。満男選手は、FWで右サイドの方にいます。確か、一番最初にシュートに持ち込もうとして、ルールが違っていたらしく、他の選手やコーチにいっせいに、ダメと言われていたのは、満男選手だと思います。見てるわたしには、ルールは最後までわかりませんでした（笑）。

　 見学者側のゴールに走り込んできた中田選手、GKの加藤選手と交錯。加藤選手が足を蹴られたようで、二人して倒れます。ケガあけの中田選手だけに、一瞬、周囲もシーンとなります。中田選手も「イテ」などと言いながら転がってますが、これはどう見ても加藤選手の方が痛いはず。と思っていたら、相手チームの名良橋選手が、なにやら呪文のような言葉をつぶやきながら走り寄ってきて、中田選手に手を差しのべ、ひょいっと起こします。中田選手も、何事もなかったように走り出します。もしかしたら、演技入ってたのかも。名良橋選手、なに言ってたのかしら。なんだか「シャチョー、シャチョー」みたいに聞こえたんだけど。

　 かわいそうなのは、加藤選手。起きあがった加藤選手に、中田選手も「ゴメンな」と軽く謝っていきましたけど、そう言われて言い返せるはずもなく、ゴール横にいた関塚コーチが心配して「ダイジョブか」と声をかけましたが、何も答えず、足をさすってました。痛かったんだろうなぁ。

　 満男選手と同じ、ビブス組で、声がよく出ていたのは松島選手。右サイドに流れては、「裕一!」と、左サイドの根本選手を何度も呼びます。確か、一度「満男!」と出ていた大きな声も、松島選手だと思います。

　 満男選手がゴール右から、クロスに飛び込みヘディングシュートを狙います。ボールはゴールマウス左にそれてしまったのですが、満男選手、飛び込んだ態勢のまま、転びながら、一瞬ボールの行方を確認。ボールがそれたのを見届けてから、さらにコロンと転がっていきました。

　 ミニゲームは10分ハーフくらいだったようで、途中でエンドを交代。見学席の目の前には、DFセレーゾ監督が。平瀬選手と1対1になった監督、平瀬選手が自分の左寄りにボールを持ったとき、ひょいっと、右足を左足の後ろから交差させて、右足の踵でボールをカットしました。なんか、すごい技でしたけど、もしかしたら目の錯覚かも。

　 後半は満男選手が遠い方に行ってしまったので、あまり見えなかったのですけど、少し疲れ気味に思えました。でも、スペースに出ていく動きとか、やはり目立ってました。

　 満男選手は、練習が終了すると、ボールを蹴ることなく、すぐにロッカールームに引き上げていきました。

　 今日の満男選手で、一番印象に残ったのは、やはりロングキックの練習でしょうか。美しい、ボールの軌跡、試合でも早く見たいと思いました。