2000/11/11(Sat)

　12時半頃にスタジアムにバスで到着 した選手たち。いったんロッカールームに入ってすぐ、芝のチェックと投げ込みに出てきます。満男選手の大きな謎の一つなんですが、この時、ほかの選手たちは着いたときに着ていた私服のままで出てくるんですよね。でも、たいていの場合、満男選手だけは、あっという間にジャージに着替えて投げ込みに来ます。今日のファッション（笑）は、白の長袖の練習着に、長いウインドブレーカーのパンツ。まっすぐゴール前に向かうと、いつものようにかがみ込んで、両手で芝を触ります。ゴール裏をしばらく眺めていたけど、今日は、そのままメインスタンド方向に引き返しました。グッズのTシャツは、メインスタンドのお客さんに渡したのかな。それにしても、なぜ、わざわざ着替えて出てくるんでしょう。だって、アップの時には、また別のジャージに着替えるんだもの。不思議。こうやって、ファンに私服の詮索されるのがイヤなのかしら。

　アップは、いつもの動きに加えて、斜めに走ってはジャンプする動きを何回かします。ボール回しは本山選手と組んで。なぜか足元のボールをうまくコントロールできなくて、あらぬ方向に転がしてしまったり、あと、一度だけ、足をすべらせて、伸びるように転んでしまいます。ストレッチの時、今日はずいぶん本山選手が満男選手に話しかけているようです。1ヶ月ほど前に、きちんと伸ばせないようだった右腿の後ろは、今日は大丈夫みたい。しっかりと伸びています。ボール回しを、名残惜しそうに最後まで二人でやっていて、全員でそろって行うダッシュの前に、満男選手はそこにあったボールをゴールに蹴り込みます。

　アップが終わったあと、いつものシュートをしようとしますが、ボールがありません。今日はわざわざ満男選手、ゴールの中にあるボールを取りに行きます。シュートを1回、そして、もう一度ボールを拾ってコーナーに向かい、コーナーキックを1回。いいカーブがかかって、ゴール前に落ちて、ビスマルク選手が出場停止の今日、満男選手のCKが期待されます。

　メインスタンド前で、チアガールがボンボンを振る中、選手たちは入場の時を待ちます。そちらの方向を向いて、ストレッチをしたりしながら熊谷選手としばらく言葉を交わす満男選手。試合前だし、どの子がかわいいか品評会をしてたわけじゃないと思いますけど（笑）。入場しながら、サンガの選手のほうに少し寄って、話をしている満男選手。多分、手島選手か遠藤選手と話をしてたのかな。

　キックオフの時、満男選手はセンターサークルのわずか後ろ、ほぼ中央に位置取ります。中盤は攻撃的MFが満男選手一人。右から熊谷選手、本田選手、中田選手のドイス・ボランチでいくようです。開始直後から、中田選手が前に上がってきて、左右のボランチが、交互に高い位置に飛び出すゲームプランではないかと思われます。

　満男選手は、まだ調子が出ないのか、最初2回のボールタッチがパスミスになってしまいます。最初のFKは、ゴール40メートルくらいの左サイド寄り。DFの裏のスペースを狙って走り込む熊谷選手に合わせますが、熊谷選手、足先に当てるのが精いっぱいです。

　これも、どうしても、おかしいと思うのが、相手から押されたわけでもないのに体勢を崩してしまうこと。中田選手からのFKを胸で落とした満男選手、キープしながら体をターンさせようとして、カックンと少し前のめりになってしまいました。

　次のハーフライン手前からのFKも、スペースを狙う満男選手。前線に走り込んだ中田選手が受けます。この時間帯、中田選手の積極的な上がりが目立ちます。

　ボールを預けられた満男選手、望月選手に腕をつかまれ、松井選手に囲まれながらも、体を反転させてパスを出し、キープ力のあるところを見せます。

　ファビアーノ選手からのロングボールを受けようとした満男選手、後ろにいた平瀬選手と完全にかぶってしまって、うまくボールをコントロールできません。

　8分、前線にいた満男選手、サンガのボールになった途端に、横パスを予想し後ろから走り込んでボールを奪います。

　9分、内田選手が右サイドから預けたボールを、一瞬、後ろを振り返って受け、軽いタッチでわずかに方向を変え、相手選手のあいだを抜いて本田選手に出します。あまり目立たないけれど、美しい満男選手らしいプレーで客席からも反応があります。

　フリーでボールを受けた満男選手、DFのあいだを抜いてパスを出しますが、平瀬選手には通りません。

　相手選手のボールを奪いに飛び込んだ満男選手、相手が倒れてファールを取られてしまい、手を前に広げて審判にファールではないと抗議します。

　左サイドで望月選手のボールを奪いにいった満男選手、望月選手が倒れながら、満男選手のお腹を蹴り上げ倒されます。TVで見ると、一度蹴り上げようとして失敗して、さらにもう一度蹴り上げているように見えるのですが、審判はこれを見逃してサンガのFKに。満男選手、足を蹴り上げるジェスチャーも交えて審判に抗議しますが、聞き入れられません。主審の片山さんは、1st、FC東京戦の時の主審の方。あの時は、満男選手の大活躍で、決して悪い印象はないんですけど（笑）。満男選手は、審判に聞き入れられなくても、熱くなっている様子はありません。

　17分、左サイドラインぎりぎりで得たFK、満男選手はゴール寄りに走り込むように、味方選手にジェスチャーをして蹴ります。ニアサイド、中田選手にボールは合いますが、こぼれ球はゴールラインを割って左CKになります。

　そして、1本目のCKは、直接ゴールキーパーに渡ってしまいます。今日の西京極は、前半にアントラーズが攻め込むゴール方向に、やや強めの風が吹いたりやんだりしています。しかも、一定の強さではなく、バックスタンド上段ではほとんど風を感じないときに、副審の旗が強くはためいていたり、スタジアムないで巻くような感じがあったかもしれません。日差しも、曇っていたと思うと、急に照りつけたり、キックオフ前には、パラッと雨が降ったりの、不安定な天気でした。

　18分、ハーフライン付近でボールを持った満男選手、速いドリブルで前に進みながら、前線、前に走り込んでいる隆行選手に、右手でもっと右に開くように指示。その直後に、直接シュートを打ちました。ボールは、ゴールのわずか左にそれます。

　このときだったかしら、ゴール裏から、小笠原コールが起こります。自主的に起こったように、太鼓なしで何回かコールが続いたあと、太鼓が続いて大音声に。そして、小笠原応援歌がそれに続きました。

　中田選手が最終ラインからボールを満男選手に出して、カウンターになります。満男選手、ロングボールを前線に入れますが、これは長すぎてFWが追いつけません。この直後、自分のミスキックを取り返すかのように、最前線まで全速力で走ってチェイシングに行く満男選手。いつも思うのですが、例えば、激しいチャージを受けて痛んだとき、その直後にさらにいっそう動くのが満男選手。後半30分くらいの疲れの出る時間に、一段階、ギアを変えるかのようにがんばり始めるのが満男選手。今日は、相手より優位に立ちながら、得点の取れないイヤな展開を打破しようと走り始めたように見えました。

　満男選手から、右サイドの熊谷選手に出たボール、熊谷選手はファーサイドの隆行選手にクロスをあげ、ヘディングシュート。残念ながら、枠の左に飛んでしまいます。アントラーズ、開始直後から、名良橋選手の替わりに入った内田選手が熊谷選手と右サイドの攻撃を作っていたのですが、なかなかいい形になっていませんでした。ここで、始めて形ができました。

　26分、今度の左CKは、カーブがかかってニアサイドに入りますが、相手選手にヘッドでクリアされます。

　3本目の左CKも、直接GKの手に。途端に、バックスタンドにまでセレーゾ監督の「オガ!　オガ!」という声が響きます。

　相手選手2人に挟まれるようにしてボールを取られた満男選手、熱くなることなく、追いかけて相手からボールを取り返します。

　30分、熊谷選手から、内田、小笠原、内田、中田、小笠原と、速いパス回しで相手を崩し、ゴール正面に向いてボールを受けた満男選手、ミドルシュートを放ちます。これは、GKがパンチングで逃れますが、左足での強い、いいシュートでした。

　これで取った左CK、ピッチ上に倒れている相手DFの様子を見て、はやる味方選手を制します。そして、今度は、ショートコーナーを使います。相馬選手が満男選手に戻したボールを、満男選手はカーブをかけてゴール前に。これは相手選手がクリアしますが、こぼれ球を内田選手がロングシュート。残念ながら、ゴール左に外れます。

　満男選手、ハーフライン後ろから、素早く裏を狙ってきますが、隆行選手とは合いません。前半、満男選手は裏を狙った攻撃をくり返しますが、FWと合わず、なかなか決定的なチャンスになりません。

　最初の右CKは、ゴールから離れるカーブのかかったボール。ニアのファビアーノ選手が頭に当てますが、落とすことができずゴールラインを割ってしまいます。

　40分、ボランチの位置にまで下がって、ボールを取り返した隆行選手、満男選手にボールを預けます。満男選手は、左に駆け上がる中田選手のスピードを殺さないようにパスを出し、中田選手はそのままドリブルで持ち込みます。シュートを一度は相手DFがクリアしたものの、中田選手はこぼれ球をGKの頭の上を浮かせてループシュート。ここまで、攻撃の組み立てに苦しんでいたアントラーズ、ようやく先制点です。満男選手は、落ち着いた足取りで自陣に戻り、中田選手とタッチを交わします。

　相手選手3人くらいに囲まれながらボールをキープして左コーナーまで追いつめられた満男選手、後ろから突き飛ばされるように転んで、それでも両足のあいだにボールを押さえてキープしようとしますが、これはファールになります。満男選手、副審の人に抗議しますが、このときも、表情には少し余裕があるように見えます。

　相手陣内に引いた三浦選手のボールを満男選手がカット。これは、取り返えされてしまいましたが、積極的な守備も光ります。

　46分、中田選手からのパスを、ワンタッチでふわりと浮かせ、DFを越えさせ平瀬選手の胸に出した満男選手。平瀬選手は、前に向くことができませんでしたが、中田選手に戻します、中田選手、そのボールをファーサイドの隆行選手に。隆行選手、ヘディングでゴール!!

　2点目です。

　そして、すぐに前半が終了。中田選手が満男選手に近づき、しばらく二人で何か言葉を交わしながら、ロッカールームに向かっていきます。

　後半開始前、前の試合と同じように、満男選手は、一人遅れて駆け足でピッチに姿を現します。円陣を組みに行きながら、秋田選手が何やら話しかけます。満男選手は、両手でもみあげを一度上に上げてから、また下に整えるような妙な仕草をしながら、その話をうなずいて聞きます。

　サンガは、後半最初からへジス選手を投入。前半は攻撃が遅かったサンガ、へジス選手のスピードを生かして、ボールを簡単に前に進める作戦に切り替えたように思えます。

　満男選手は、前半途中から、最前線に走り込んでボールをもらう動きが目立っていたのですが、後半、少し前に出る頻度は減ったかもしれません。

　2分、ゴール前の混戦から、相馬選手がクリアしたボールが、朴選手に当たってゴール。内田選手と相馬選手、その場に倒れ込んでしまいます。立ち上がることのできない相馬選手を、遠目から心配そうに見ていた満男選手、ふっとゴールのほうに歩き出します。給水をするのかと思ったら、そうではなかったよう。ポンと高桑選手の肩を叩いてから、相馬選手のほうに近づき、かがみ込んで、手当をしている関ドクターに様子を訪ねています。普段なら、ケガした選手の近くに寄っていくこともあまりない満男選手。今日は、中心プレーヤーだという自覚を感じます。どうやら、相馬選手は大事はなかったようで、担架に乗らず立ち上がります。位置に着く選手たちに、満男選手と中田選手、もう一度、集中をうながすように手を叩いています。若手の選手が頼もしく成長していることを感じる一瞬でした。そして、満男選手、このときだけでなく、手を叩く場面が多くありました。

　満男選手、右サイドで体を切り返して走り出そうとして、そのまま転んでしまいます。今日は、満男選手だけでなく、平瀬選手、高桑選手、柳沢選手と滑る選手が目立ちます。ピッチが濡れているはずはありませんが、状態が悪いのかもしれません。その直後、ボールを追う隆行選手から、そのボールを引き取ろうとする満男選手でしたが、二人の意図が合わなかったのか、そのまま絡まるようになってしまいます。

　そこで得たFK、満男選手が蹴ろうとしますが、ゴール前で激しいもみ合い。その様子を見ている満男選手に、審判が遅延行為を取るのではないかと、ひやひやしましたが、審判はゴール前の仲裁に入ります。今日はほとんどカードが出ず、アントラーズのカードはゼロ。優勝争いの中で、カードの枚数も気になるところで、正直、助かりました。満男選手の蹴ったボールに、熊谷選手が飛び込み、GKともつれるようになりますが、結局GKにキャッチされてしまいます。

　自陣前に攻め込まれた混戦に、ボールをクリアしようと走り込んでいった満男選手、またもやすべって転んでしまいます。

　12分、隆行選手から戻されたボールを、満男選手、左足の柔らかいタッチで、DFの頭をこえさせ、右のスペースに走り込む平瀬選手にぴったりに出しますが、平瀬選手、打ち切れません。

　相手左サイド、平野選手がボールを持ったとき、満男選手は素早く駆け寄って内田選手と2人でパスコースを消します。ヘジス選手が、左サイドをえぐったときも、長距離を走って戻ってくる満男選手。今日も、守備への貢献は光ります。

　後半最初の右CKは、いいところに落ちますが、相手選手がヘディングでクリアします。

　ゴール前、平瀬選手が打ち切れず本田選手に戻したボール、右サイド寄りの満男選手に渡り、満男選手、右サイドゴールラインぎりぎりに、内田選手の走りに合わせてパスを出します。内田選手のクロスは、クリアされてしまいましたが、きれいに崩した攻撃でした。

　満男選手のサイドチェンジから生まれた攻撃、内田選手とのコンビネーションで崩すことができず、満男選手ゴールライン際で相手DFにつぶされてしまいます。

　29分、平瀬選手に替えて本山選手が入ります。その直後、相手ゴール近くで本田選手が満男選手に出したボールを、周囲がよく見えていた満男選手は、ふわりとDFの裏の中田選手に出します。中田選手が本山選手に戻したボールを、本山選手がシュートしてゴール!

　3点目です。満男選手、ゴール内のボールを拾いあげると、ゆっくり歩いてセンターサークルに向かいます。

　本山選手とワンタッチでボールを回しながら崩せず、自らもらったファール。FKを蹴ろうとする満男選手のところに、ファビアーノ選手が近づきます。ジェスチャーから察すると、どうやら、自分がゴール前に飛び込むから、それに合わせて蹴ってくれということみたい。が、タイミングが合わず、オフサイドになってしまいます。

　32分、内田選手に替わって金古選手が入ります。熊谷選手が右サイドに入って、これで5バックでしょうか。

　隆行選手から、入ったクロスは、右サイドの満男選手は間に合いませんが、そのこぼれ球を拾って、相手DFに当ててボールを出しCKを取ります。

　そして、34分、隆行選手に替わって、柳沢選手が入ります。

　右CKは、今度はニアサイド、ファビアーノ選手の足元ですが、シュートには結びつきません。

　本山選手がオーバーヘッドでゴール前に落としたボールに、満男選手詰めていきますが、オフサイドを取られてしまいます。戻り際、ベンチのほうにでしょうか、厳しい顔つきでなにか要求する満男選手です。さらに、次のプレーが止まったときも、ベンチに何やらジェスチャーします。

　37分、ワンタッチで浮かせて、長めに出したパスは、柳沢選手にぴったりに落ちますが、これはオフサイドです。

　遠藤選手を背中に背負って、後ろからのパスを受けようとした満男選手。いったんは遠藤選手にボールを奪われますが、うまく後ろから足を伸ばしてそのボールに触れ、前の味方選手に繋ぎます。

　38分、本山選手が預けたボールを、満男選手、前に走り込む熊谷選手にぴったりと出しますが、熊谷選手はDFにつぶされてしまいます。ファールの位置がもっと前だと、審判にアピールするけど認められません。今回も、ファビアーノ選手、FKを蹴ろうとする満男選手に言って位置に着きます。今度のFKは、壁を越してからカーブがかかって落ちますが、詰められる選手がおらず、GKが直接キャッチします。

　ボールをキープしようとして、相手選手に突っかけられた満男選手。倒れ込みながら、ボールを守ろうと、ボールの上に乗ってしまいファールになります。

　出しどころがなくなったDFラインから、左サイドで2回ボールを預けられた満男選手、自ら大きなサイドチェンジを出します。右サイドの熊谷選手にぴったり合う、きれいなパスです。

　42分、ペナルティエリア内で転んだヘジス選手に、シュミレーションでイエローカードが出ます。

　ロスタイムは3分。

　45分、秋田選手のヘディングのロングボールがぴったりと満男選手へ。満男選手は振り向こうとして倒されます。ゴール正面、ペナルティエリアのすぐ外でFKを得ます。右に中田選手、左に満男選手が立って、壁が整うのを待ちます。中田選手がフェイント気味にボールを蹴ろうとして止めたところを、満男選手がキック。ボールはきれいに落ちましたが、ゴールポストに当たってしまいました。

　そして、試合終了のホイッスル。満男選手は、ゆっくりと歩きながら、少し上を向き、またてくてくと歩いていきます。前にかがんで、腿の辺りを伸ばす仕草を見せる満男選手、礼のあと、遠藤選手になにやら話しかけられたのか、しばらく言葉を交わし、すれ違いざまに手島選手の肩をポンと叩きます。

　観客に挨拶に向かうとき、本山選手が満男選手の肩を抱くようにして話しかけます。満男選手、なにやら、下を向くようにうなずきます。そして、ゴール裏を通り過ぎた頃、今度は秋田選手が、がっちりと満男選手の肩を抱き話をしています。その直後、相馬選手も、満男選手の頭を抱え、話をしている様子です。

　メインスタンド下に、たどり着く頃、ゴール裏から「小笠原コール」が起こります。2回目くらいで、くるっと体をひねって、片手を上げて答える満男選手の姿は、なんだか大きく見えました。

（バックスタンドより観戦）