2000/12/23(Sat)

　山陰の冬は曇りがちというけど、今日は晴れ。バー ドスタジアムは、アントラーズの陣取るアウエイ側から、ホーム側へと、強風が吹き付けています。

　今日も投げ込みに出てこなかった満男選手ですが、アップの前には、本山選手と二人で、1番にメインスタンド下のアップ場に姿を現します。満男選手は短パン姿。本山選手とパス交換をしたり、リフティングをしたり。満男選手が、軽く蹴ったボールが、近くに立ってた記者の背中に当たって、記者はビックリしてたけど、きっといたずらでわざとやったに違いありません。人が揃ってくると、今日も鳥かご。先月、鳥取に来たときも、関ドクターが楽しそうに鳥かごやってた姿が印象的だったんだけど、今日も、満面の笑顔の関ドクター、楽しそう。

　全員が揃ってのアップはピッチ上で。ボール回しは本山選手と組んで。満男選手、ボールを蹴ってる途中で、突然足が痛くなったようで、ストレッチを始めます。右のふくらはぎか、それとも腿かしら。すぐにボールを蹴り始めましたが、このあとも、何回か同じストレッチをしていて、痛みがあるんでしょうか、少し心配です。

　恒例の、アップから上がるときのシュート。今回はボールが3つ残ってました。右足で2回、角度を変えて左足で1回、なんと全部外してしまって、そのまま上がっていく満男選手です。

　入場してきた満男選手、アウエイの白いユニフォーム、白のストッキングなので、余計に陰影が目立つのでしょうが、右のスネ当ての下に、分厚いクッションを入れているのが分かります。11月18日の試合で痛めた右スネ、もう1ヶ月以上立つのに、まだ治ってないんですね。打撲という話だから、普通ならもう治っているところでしょうが、試合のたびに相手選手と接触して、治る暇がないのかもしれません。

　キックオフの前のコイントス、どちらが勝ったのか分からないのですが、ピッチを交代します。アントラーズは風下へ。攻めも守りも、西日に向かってしなければならず、前半はかなり苦労しそうです。その変わり、後半は、さらに傾いた西日と風がF・マリノスの選手たちを困らせるはず。まずは前半にリードされないことが重要になりそうです。

　今日は、ビスマルク選手がケガで欠場のために、2列目の右に熊谷選手が入って、満男選手は2列目の左です。少し寒いのか、右手と左手、拳に息を吹きかけながら自分のポジションに着いていきます。

　CK・FKは満男選手の役目。左CKは、ゴールの側に巻くカーブをかけてニアのファビアーノ選手のヘッドに合いますが、ヘディングはポストを越えました。ファビアーノ選手、すぐに満男選手の方に走ってきて、何か注文をつけているようです。

　西日が眩しいのでしょう、手をかざす仕草も見えます。満男選手は、体のキレは、今ひとつですが、前の試合、あとからエンジンがかかってきて、徐々にペースが上がったせいなのか、前半から無理にでも体を動かそうとしているようです。フリーのいいポジションでボールをもらうために、細かくポジションを替える満男選手の動きが目立ちます。

　8分、右CKは、低めでニアのファビアーノ選手を狙いますが、混戦の中で相手ボールとなります。

　相手ボールをカットした中田選手が、満男選手に繋いだボール、満男選手、DFの目の前で柳沢選手にパスを送ります。ボールをキープした柳沢選手、倒されてFK。ゴールから20メートルほど右寄りのいい位置です。左に満男選手、右に中田選手が立ち、最後にボールを置き直したのは満男選手。右足でカーブのかかったボールを蹴りますが、ゴール右下で川口選手にキャッチされてしまいます。

　10分、ゴール前で、隆行選手が波戸選手に倒されて、波戸選手にイエローカードが出ます。そこで得たFK、満男選手は、ゴール前の選手の方に指図を送ります。ホイッスルが鳴ると、一瞬右側を確認して、ゴール前にボールを上げる振りをしながら、右サイドライン寄りの名良橋選手に。名良橋選手がもう一度満男選手に返したボールを、満男選手、ワンタッチでぴったりと熊谷選手に合わせて、ヘディングシュート。残念ながらGKにキャッチされてしまいます。

　12分、左サイドライン際でボールを受けた満男選手、永山選手に足をかけられて倒されてしまいます。倒れてた態勢のままでのなんとかボールをキープしようとした満男選手ですが、腰を強く打ってしまっていたらしく、立ち上がると腰に手を当てて、プレーが再開されてからも、しばらく痛そうにしていました。ビスマルク選手のいない今日の試合、マークが厳しくなりそうです。

　積極的に、最前線までボールをチェイシングしに行きます。

　16分、ボールを持つと、ドリブルで前に切れ込もうとしますが、上野選手に前から当たられてしまい、ボールを奪われます。

　18分、柳沢選手から右サイドを上がる熊谷選手に出たボール、クロスはゴール前に全速力で走り込んできた、満男選手の頭にぴったり合いますが、ボールはバーを越えてしまいました。

　ファビアーノ選手からのボールを受けようとした満男選手、パスが大きくて、下がりながらラインを越えてしまいストップしようとして、足を滑らせてしまいます。

　28分、ゴール前に走り込んだ柳沢選手に、波戸選手が乗りかかるような形になり、柳沢選手、足を痛めてしまいますが、そのままプレーを続けます。

　プレー再開された直後、ボールを持った満男選手、逆サイド、DFラインの右のスペースに走り込む熊谷選手にぴったりのパスを送り、熊谷選手抜け出しますが、DFに体を寄せられ打ち切れません。

　鈴木選手が主審から注意を受けているあいだ、相手にクイックスタートをさせないよう、FKのポイントのすぐ近くに立つ満男選手。この試合でも、相手FKのたびに、スタートのポイントを確認する姿が見られます。

　今日は左のライン際でプレーすることの多い満男選手、冷静なプレーが光ります。2人に囲まれても、間を抜いてパスを通そうとし、抜けないときは相手の足に当ててボールを出して、マイボールにします。

　38分、右CK、中央の秋田選手のヘディングは、川口選手の足元でワンバウンドして足の間を抜けてゴール!

　満男選手のCKからの初めての得点で、アントラーズ先制します。満男選手、秋田選手と抱き合って喜びを分かち合います。

　ここで、先ほど足を痛めていた柳沢選手に替わって、平瀬選手が入ります。

　40分、木島選手を倒して秋田選手にイエローカード。警告累積で、勝ちあがっても秋田選手は次の試合には出ることができなくなりました。

　43分のゴール前のFK、満男選手、中田選手もボールの後ろに立ちますが、蹴ったのは名良橋選手。グラウンダーのボールは、ゴール右にそれました。

　ロスタイムは1分。アントラーズ1-0でハーフタイムを迎えました。引き上げる満男選手、後ろから秋田選手に呼びかけられたようで、秋田選手が追いつくのを待ち、何やら会話を交わしています。

　後半はアントラーズが追い風。高く上がったボールが押し戻されるほどの強い風が吹き続けています。ピッチに出ようとする満男選手に、セレーゾ監督、何か話しかけます。短い会話だったけど、通訳の人いなくて、満男選手に通じているのかしら。

　開始直後、相馬選手からのクロスがDFの裏の満男選手に出ますが、オフサイドになります。川口選手の目の前まで走り込んで、ボールを持った満男選手、相手FKの位置まで自分でボールを運ぼうとし、ボールを受け取ろうとする川口選手に渡しません。川口選手、いらだった様子を見せますが、満男選手は平然とした表情で、川口選手から遠い方の手にボールを持ち替え、オフサイドの位置はもっと前だろうというようなジェスチャー。熱くなりやすい川口選手を、いらだたせようという意図もあるのかもしれません。

　1分、満男選手、大きく前にボールを蹴り出しますが、GKの前、誰もいないスペースにボールが落ちます。もしかしたら、ロングのループシュートを狙ったのでしょうか。

　4分、左サイドの満男選手、逆サイド、前に走り込む熊谷選手にパスを送ります。熊谷選手はワンタッチでゴール正面の隆行選手にパス。これは、うまく渡りませんでしたが、面白い攻撃でした。

　後半になって、満男選手へのチェックはさらに激しくなり、ボールを持つと、2人がかりで奪いに来ます。

　6分、平瀬選手から受けたボールを、足元にくぐらせるようなきれいなドリブルで、満男選手はゴール前に進みます。

　7分、左CKはきれいなカーブを描いてゴール前に入りますが、ニアの平瀬選手のヘディングシュートは、ゴール左側にそれます。

　8分、足のケガが治らないままに試合に出ていた三浦選手に替わって、エジミウソン選手が入ります。

　アントラーズが攻められる場面が徐々に増えます。

　11分、満男選手、田中選手のボールを奪いに行きますが、かわされて、転んでしまいます。少し、足が動かなくなってきているのかもしれません。その直後には、永山選手に対してファール。画面で見る満男選手、息があがってかなり苦しそうです。このあと、永山選手にチェイシングに行きますが、かわされ方が、いつもとは違い、やはり足が着いていっていないよう。いつの間にか、満男選手の左のストッキングの前面が、縦に一筋、緑に染まっています。

　15分、ボールを持った柳選手に、体を合わせて止めに行った満男選手、倒されてしまいます。

　18分、疲労が足にきている満男選手、荒っぽい守備が増えて、上野選手を前から突き飛ばすように止めます。

　20分、満男選手から、サイドチェンジで熊谷選手にボールが出ますが、オフサイド。旗が上がるのが、少し遅かったのに熊谷選手が怒ったのでしょうか、副審の人に何か言って、イエローカードが出ます。いらついた様子の熊谷選手、満男選手と同じく疲れが出ているのかもしれません。

　満男選手、ワンタッチでDFの裏を狙ったパスを出そうとするのですが、精度が悪くて、通りません。

　26分、隆行選手に替わって羽田選手が入り5バックに。満男選手は、FWの位置に上がります。DF5人が、フラットに横1列に並んだりして、なんとも恐い印象です。

　28分、左サイドでボールを受けた満男選手に、エジミウソンが後ろからタックル、満男選手ははね飛ばされるように転び、エジミウソンにイエローカードが出ます。満男選手は、倒れたままで、なかなか起きあがろうとしません。起きあがると、心配して近寄って来ていた関ドクターから、ボトルを受け取って給水します。足の具合の確認はなく、どうやら大丈夫のようです。

　31分、アントラーズDFのクリアボールを永山選手に決められ、1-1になります。後半に入ってからずっと、F・マリノスペースの試合、苦しい展開になりました。

　試合再開のキックをした平瀬選手から、短いパスを受けた満男選手、いきなり銅像シュートを放ちますが、得点になりません。

　33分、左CKはGKがパンチングでクリア。

　37分、左サイドよりのFKを満男選手、キーパーとディフェンスラインのあいだに落としますが、味方選手が合わせることができず、GKがキャッチします。

　38分、熊谷選手に替わって、本山選手が入ります。90分以内に点を取って勝つというセレーゾ監督の采配でしょうか。

　右サイド、上がっていた名良橋選手の戻りを待たず、満男選手がスローインします。本山選手が入ったことで、満男選手は2列目に戻っています。

　40分、ハーフライン手前でボールを持った満男選手、ドリブルで上がろうとしますが、前から来た上野選手を、左に抜けようとしたところをがっちり止められ、ボールを奪われて、前のめりに転んでしまいます。

　41分、深い位置でボールを持ち、ドリブルで駆け上がる満男選手、相手DFをぎりぎりまで近づかせて、右を併走していた名良橋選手にパスを出します。

　ゴールから40メートルくらいからのFK、満男選手、左方向にボールを蹴りますが、羽田選手が反応することができず、ボールはそのままゴールラインを割ります。遠目から見てもわかるくらい、満男選手、大きく息をつきます。

　42分、右サイドでボールを持った満男選手、ゴールに向かって進み、DFを一人かわして左足でミドルシュートを打ちますが、ゴール左にそれます。

　ロスタイムは3分。

　右サイドでのスローインの時、「モト、前!　前!」。満男選手が、スローインを受けに行くように、本山選手に指示する声が響きます。この展開の中、せっぱ詰まった響きに聞こえます。

　本山選手が入ってから、少しはシュートを打てるようになったアントラーズですが、ペースを取り戻せないままに後半終了。延長戦に突入です。

　ベンチ前に引き上げてきた満男選手、タオルを渡され、ベンチコートを渡されますが、着込む前にまず、給水します。小さなペットボトルから、一気に200mlくらいは飲んだかしら。そして、コートを着込むと、寝転がり、足を上に上げてマッサージを受けます。マッサージを受けている満男選手のところに、セレーゾ監督は通訳の加藤さんと一緒に来て、熱い調子で、しきりと指示をしている様子です。満男選手、表情を全く変えずにそれを聞いているようですが、疲れ切っているところ、どれだけ聞こえているかしら。

　延長戦のコイントスは、マリノスが勝って、風上のピッチを選びます。

　プレーが切れた時、満男選手は羽田選手に必死でコーチングしています。もっと中に絞れといっているようで、羽田選手がポジションを少し変えます。

　3分、満男選手、パスを受けるために前に走ろうとして、足を取られ転んでしまいます。本山選手にボールを預け、そのまま前に走り込み、ディフェンスラインの裏に抜けてボールを受けようとしたところ、ペナルティエリアの中で倒されますが、ファールになりません。

　延長に入る頃から、明らかに足を引きずっていた名良橋選手、ピッチの外で治療を受けます。3人の交代枠が使い切られているので、無理を押して出場を続けます。

　9分、木島選手の突破に着いて、最終ライン付近まで下がってきた満男選手、切り返しに着いていけなかったのか、ころんと転んでしまいます。

　12分、満男選手が見事なトラップでボールを持ち、平瀬選手にパスを出そうとしますが、松田選手にクリアされます。

　延長前半、終了間際。自軍ペナルティエリア直前で相手FK。アントラーズは本山選手をのぞき、全員が壁になります。このFKが上に外れて、延長前半終了。

　サイドを交代して、延長後半開始。

　1分、中田選手が倒されてファール。満男選手はすかさずリスタートします。

　本山選手から預けられたボール、満男選手は苦しい態勢から、本山選手の足元ぴったりに返します。本山選手のはなった鋭いシュートは、惜しくもゴール右にそれました。

　3分のFK、満男選手の入れた低めのボール、羽田選手が屈みながら頭でコースを変えますが、GKにキャッチされてしまいます。そこからの、マリノスのカウンター、満男選手は、GK直前まで守備に走って戻りますが、やはり足が着いていかないのでしょうか、走る方向を変えようとして転んでしまいます。

　4分、平瀬選手が倒れたときには、満男選手、近づいていって、平瀬選手の膝を指さし、痛めた場所を関ドクターに教えている様子です。

　木島選手に替えて、外池選手が入ります。

　満男選手は最後の力を振り絞って、守備に走ります。

　9分、満男選手が前に送ったパスは、DFラインの左のスペースの本山選手にきれいに通りますが、本山選手の上げたボールは、バーの上を越えてしまいます。

　14分、右サイド、フリーでボールを持った満男選手は、ゴール正面の本山選手にクロスを入れます。本山選手のヘッドにぴったり合ったボールですが、バーを越えます。

　ロスタイムは2分。同点のまま延長終了。PK戦になります。ベンチコートを渡されて、着込む前に、給水する満男選手。他の選手たちがマッサージを受ける横で、ストレッチをしたりしています。ベンチでは、セレーゾ監督を中心に、なにかメモを用意しているよう。そして、選手、スタッフ全員が揃って円陣を組みます。

　PK戦のゴールには、アウエイ、アントラーズ側のゴール裏が選ばれます。あとから聞いた話では、審判が西日が邪魔になると、コイントスをせずに決めたようですが、皮肉なほど、PK戦になった途端に雲が出て、日差しは全くなくなっていました。この決定に不服なアルディレス監督は、強烈に審判に抗議しますが、聞き入れられません。

　本田選手が持った紙に、監督が指示したPKの順番が書いてあったのでしょう、満男選手は、ちょっといたずらっ子のような表情で、その紙をのぞき込んで、自分の順番だけではなく、他の人の順番までしっかり見ているようです。ファビアーノ選手は、直接、何か監督に確認に行っています。

　まず最初は、相馬選手のPK。後ろで待つ選手たちは、肩を組みます。満男選手は秋田選手、中田選手と肩を組んで見守ります。相馬選手のPKが、きっちりと決まって、満男選手は、預かっていたベンチコートを相馬選手に返します。

　今日、スーパーセーブを連発した高桑選手、チャンピオンシップの働きもすごくて、PKを受けるためにゴール前に立つ姿が、川口選手に比べて、ものすごく大きく見えます。そのせいでしょうか、柳選手、上野選手と立て続けに外します。小村選手には決められたものの、アントラーズは、相馬選手に続いて、中田選手、ファビアーノ選手が続けてきっちりと決めて、4番目、本田選手が決めれば準決勝進出が決まります。そして、本田選手もきっちりと真ん中に決めてくれます。満面の笑顔の選手たち、高桑選手をねぎらいます。

　礼が終わると、満男選手は、波戸選手、松田選手と挨拶を交わして、ゴール裏に向かいます。羽田選手が、満男選手に対して、なぜだか、もみあげを両手でこするような仕草。満男選手も、同じ仕草を返します。そしたら、またまた、羽田選手が同じ動作をして、満男選手も。すごく愉快そうだけど、どうしちゃったんでしょう。いつも、満男選手に水を持ってきてくれるマネージャーさんに、満男選手、両手を差し出して近づくと、手に水を受けます。そして、その水で顔を洗います。もみあげのところに、何か、着いちゃってたもかも。そして、ゴール裏に軽く手を上げて、帰っていきます。高桑選手のインタビューが続く中、横を通り過ぎていく選手たちの何人かは、わざとカメラに写る方に回って、高桑選手をからかって行ってましたが、もちろん、満男選手はカメラの後ろ側を通り過ぎていきました。

　連戦の疲れを色濃く見せた選手たち、後半の圧倒的なF・マリノスのペースの中で、PK戦に持ち込め、勝てたのは、運があるのでしょう。あと2戦、その運も味方につけて、勝ち抜いて欲しいと思います。

　試合が終わった途端に、雨が降ってきて、見る見るうちに大降りになりました。先月のサンフレッチェ戦のときとまるで同じで、不思議な気分になりました。

（バックスタンドより観戦）