2000/12/29(Fri)

　午後1時キックオフ。気温は低いながらも、よく晴れて、日 なたにいればコートもいらないくらいの暖かい天気になりました。

　満男選手、アップには、早めに出てくることが多いと思うのですが、今日は遅め。中田選手と並んで出てきます。なんだか、ゴール前で、地面を蹴るような動作をくり返している満男選手。どうやら、白いゴミのようなものが落ちていたらしく、それを蹴り上げようとしてたのね。何回か蹴って、そこに、確か里内さんがやってきて、受け取ってくれてました。ボール回しは、本山選手と組んで。今日は、満男選手のけるロングボールが、すごくきれいに見えます。

　入場してきたあとだったと思うのですが、満男選手、寒かったのでしょう、スタッフの人に手袋を持ってきてもらってました。

　コイントスで、ピッチが交代になります。アウエイ側から、西日が差している影響だと思うのだけど、どちらが勝ったのでしょうか。アントラーズは、まず、西日を背に、アントラーズサポーターの陣取るゴール裏に向かって、攻めることになります。

　アントラーズは、柳沢選手、名良橋選手がケガ、秋田選手が警告累積で出場停止と、ベストメンバーをそろえられず、特に、最終ライン、右サイドが内田選手、右のCBが羽田選手と、少し不安なメンバーです。そのせいか、スローペースな立ち上がりになりました。満男選手も、体のキレが今ひとつに見えます。それと、運動量を少し押さえているよう。前の試合で、最初から飛ばして、途中で足がきつくなったように見えた満男選手。それをふまえて、ペース配分を考えているのかもしれません。

　右サイド際から、きれいにラインぎりぎりの平瀬選手にパスを通しますが、平瀬選手、DFに体を寄せられて、ボールは外に出てしまいます。

　橋本選手がボールを持って上がろうとするところ、満男選手が体を合わせますが、ころんと転んでしまいます。

　DFに向かって、手で中に絞るような仕草で指示を送っています。今日も満男選手の右足のスネ当ての下には、分厚いクッションが入れられているようです。

　4分、深い位置でボールを持ち、ドリブルで上がりながら相馬選手にパスを出そうとして、足を取られたように少しよろけてしまう満男選手。でも、きっちりとパスは送りました。

　自陣でビタウ選手がボールを持った途端に、満男選手が厳しくチェックに行きます。

　右サイド、スローインのボールを受ける満男選手ですが、後ろからプレッシャーをかけてきた二川選手にボールを奪われてしまいます。

　9分、右サイドのビスマルク選手から、中央の満男選手にパス。満男選手は、スパイクの裏でワンタッチで隆行選手にボールを落とします。隆行選手はキープして、ビスマルク選手にボールを戻します。DFの裏のスペースに走り込んだ満男選手に、ビスマルク選手がワンタッチで出したパスがぴったり合って、GKの至近距離で、満男選手、右足でトラップして、すかさず左足でシュート。GKなんとか足を出して防ぎます。これは、オフサイドを取られましたが、見事なタイミングの飛び出しでした。

　10分、ビスマルク選手を倒して、ビタウ選手にイエローカードが出ます。

　11分、橋本選手のパスを小島選手に決められ、ガンバに先制されてしまいます。後ろから走り込んできた、橋本選手に誰もつききれていなくて、アントラーズらしくない守備の乱れからの1点でした。

　12分、右サイド内田選手からのクロス、ペナルティエリア内の中央にいた満男選手に通ります。満男選手は胸でトラップ、浮かせたボールを頭でコントロールして、右足でボレーシュートを放ちますが、これはバーのはるか上を越えました。満男選手らしい個人技からのシュートでした。

　右から内田選手のクロスに、ファーサイドに走り込む満男選手。ボールは、GKにキャッチされました。ビスマルク選手が出場できるようになったこの試合、満男選手は、前に飛び込む動きが普段より目立ちます。ただ、パスをさばくビスマルク選手が、今ひとつ調子が良くないようで、攻撃のテンポが少し遅い感じがあります。14分には、左サイドで、相馬選手からのパスを受けようとしますが、オフサイドを取られます。

　今日も、満男選手へのチェックは激しく、15分、後ろから満男選手を倒した二川選手にイエローカードが出ます。これで、天皇杯が始まってから、4試合連続して、満男選手を倒した選手にカードが出ていることになります。厳しいチェックを受けながら、試合を続けている満男選手です。

　21分、ハーフライン付近で中田選手がボールを持つと、一気に前方に走り出す満男選手。ペナルティエリア左隅でボールを受けると、ファーサイドに走り込んだ中田選手にクロスを上げますが、惜しくも合いませんでした。

　激しいプレッシャーを受けながらボールをキープしようとした隆行選手。相手ファールで、ゴール前のFKになります。隆行選手のそのプレーに、満男選手は拍手を送ります。そのFK、初めはビスマルク選手の左側に立っていた満男選手、蹴る直前に壁に向けて走り込みます。ビスマルク選手は、左側、フリーでいた相馬選手にパスを出し、相馬選手のシュート。このボールが壁に当たって角度が変わったところを、中田選手がシュート、GKが弾いたところを、もう一度シュートして、見事にゴールを決めました。これで同点です。

　満男選手、手を出してボールを要求しますが、出てきません。今日の試合、ビスマルク選手の方にボールが集まっている印象です。

　26分、満男選手がワンタッチで右サイド、ビスマルク選手に出したボールは、この距離にしては珍しくパスミスになり、タッチラインを割りますが、ビスマルク選手、満男選手に拍手を送ります。

　ファビアーノ選手のファールで小島選手が倒ます。抗議を受けながら、審判が後ずさり、そこには倒れている小島選手がいて、審判、危うく小島選手の上に乗ってしまうところでした。

　34分、ビスマルク選手からのパスを受けて、フリーで満男選手、中央に進みます。ビタウ選手に倒されますが、流されます。

　35分、ビスマルク選手から前方に走り込む満男選手の足元にパス。満男選手、強烈なミドルシュートを放ちますが、前方の選手に当たってしまいます。

　39分、右サイド寄りのFK、ゴール前に入っていた満男選手、するすると後ろに抜け出します。ビスマルク選手のパスが満男選手に出て、満男選手、シュートを打ちますが、ジャストミートできませんでした。

　ゴール左寄りからのFK、こぼれ球を、正面から満男選手、胸でトラップしてシュートしますが、前方の選手に当たってしまいます。

　ハーフタイム、ライン際にいたので、真っ先に上がっていく満男選手ですが、本山選手に話しかけたよう。本山選手、ピッチの隅の方を指さしています。それから、その先にいた里内さんにも話しかけて、やっぱり同じ方向を指さされて、そちらに向かって歩いていきました。入場の時は、真ん中から出てきていたから、どちらから出入りするのか迷ったのかしら?

　後半開始前、入ってくる選手にタッチして送り出していた本山選手ですが、満男選手にはタッチしなかったよう。言葉を交わしただけのようです。

　14分、右サイド、熊谷選手からのクロスに、満男選手、ゴール前に飛び込んでヘディングしますが、オフサイドを取られてしまいます。

　16分、相手ゴール前、ビタウ選手がボールを持った途端に厳しく詰め寄り、ビタウ選手を倒してファールを取られます。

　18分、ゴール前での相手FK、壁から少し離れた位置に立っていた満男選手、ビタウ選手がボールの位置を少しずらしたせいでしょうか、高桑選手に壁にはいるかどうか確認します。高桑選手に、離れているよう言われて、そのままの位置に留まる満男選手です。

　19分、左サイドゴールライン付近で、相手選手と交錯したのか、相馬選手が倒れてしまいます。痛んでラインの外に出ることすら、ほとんどない相馬選手。担架に乗せられ、ピッチの外に出たところで、トレーナーの人がベンチに手で×マークを出します。あとからの診断では左膝半月板の損傷だったそうですが、その場にいるだけでも、ことの大きさが感じられる光景でした。相馬選手は、そのまま担架で運び出されて、替わりに本田選手がボランチの位置に入り、中田選手が左サイドに回ります。

　24分、左サイド高い位置でボールを受けた満男選手、二川選手のマークを受けながら、ラインぎりぎりでボールをコントロールします。このあと、再び同じ位置でボールを受けた満男選手、マークをかわしながらゴールラインぎりぎりまで進み、クロスを入れようとしますが、DFの足に当たり、タッチラインを割ります。

　27分、右サイドでボールを受けた満男選手、ドリブルでゴールに向かって進み、隆行選手とのワンツーで突破を計りますが、隆行選手のパスが少し大きくて受けることができませんでした。

　29分、センターサークル付近でボールを受けた満男選手、ドリブルで相手選手をかわしながら左斜め前に進み、チェックにあって、ボールをキープしながら後ろ向きにターン。一瞬、前方を確認すると、二川選手のマークでボールを失いそうになりながらも、ファーサイド、DFの裏に走り込む平瀬選手にぴったりのパスを出します。平瀬選手は、胸でトラップ、相手DFに詰められ、シュートを放つことができませんでしたが、見事なプレーでした。

　今日も羽田選手のポジショニングが気になるのでしょうか、指を差して熱心に指示。羽田選手も、手で合図して、確認し合っています。

　37分、ボールを受けた満男選手、相手選手に寄せられながらも20メートルほどをドリブルで進み、ペナルティエリア直前で橋本選手に倒されます。これはファールを取ってもらえず、ボールを奪った橋本選手の足を、満男選手が引っかけて倒す形なり、ファールになります。フィジカルの強さを見せる、満男選手のドリブル、ここ何戦か、とても目立ってきていると思います。

　38分、内田選手に替わって、本山選手が入ります。入ろうとする本山選手が「オガサ、ボランチ」と指示を伝えます。満男選手も、本山選手に近づいて、何か動きを指示しているよう。手で、右の前のスペースを示しています。前半では、1.5列目と言ってもいいくらい、前への飛び出しをくり返していた満男選手、一転して、今度はボランチ。本山選手が中盤に入れば、後ろの守備の負担はぐんと増えるはず。それでも、きっちりとこなせるという、ベンチの信頼を感じます。

　39分には、ガンバ、片野坂選手に替わって、大黒選手が入ります。直後、多分、さっきの打ち合わせ通りに、右前方を指さして走り出す本山選手のスペースをめがけて、ロングパス。これは、本山選手が追いつけず、ゴールラインを割ってしまいました。

　42分、右サイドの本山選手から、隆行選手に速いパスが出て、フリーになった隆行選手、シュート!

　ゴール右隅に決まって、2-1となります。

　43分、ドリブルで突破しようとする大黒選手から、満男選手、スライディングで見事にボールを奪います。

　1点のリードを守りたいアントラーズ、ゆっくりとボールを回し始めます。左サイド、中田選手から出たパスが、コントロールが少し悪く、満男選手と大黒選手のあいだに落ちようとするところ、両方の選手が猛然と走り込み、正面からぶつかる形になって、満男選手のスパイクが相手選手の足に入ってしまいます。主審がイエローカードを出して、意外という表情の満男選手ですが、熱くなることはなく、余裕ある表情で主審に抗議します。時間稼ぎの意味もあるのか、熊谷選手、本田選手など、アントラーズの選手たちが審判を取り囲んで、抗議を続ける中、満男選手は、一人その輪から離れて、次のプレーに備えます。

　カードのことはともかく、今回のプレーは、悪くすると相手のスパイクが自分の足に入って、ケガする可能性もある危ないプレーでした。ボールと次のプレーに気持ちがいってるんでしょうけど、ケガだけはしないでやっていって欲しいです。

　この直後、中田選手がゆっくりとピッチを離れ、根本選手が入ります。中田選手も腰を痛めての交代だったそう。まさに、満身創痍のアントラーズです。

　ロスタイムの46分、ガンバは、森下選手に替えて、中山選手を投入。

　そして、47分、CKからの混戦の中で、ガンバにゴールを許し、同点にされてしまいます。その一瞬、腰に手を当てて茫然としていた満男選手ですが、すぐに気持ちを切り替えたのか、手を叩いて、みんなに集中をうながします。

　そして、ホイッスルが鳴って、延長戦に突入。満男選手はベンチ前に戻ると、まず、ペットボトルを受け取り給水します。そして、タオル、ベンチコート。最初は、立ったまま、一人でストレッチなどをしていたのですが、関塚さんに声をかけられ、寝転がってマッサージを受けます。そこに、通訳の加藤さんを連れたセレーゾ監督がやってきて、声をかけます。二言、三言、声をかけて、また、他の選手に声をかけに行くセレーゾ監督。マッサージが終わった満男選手は、体育座りになり、本山選手の前側の位置に座っています。

　延長開始直前、満男選手の体の動きは、あまり疲れを感じさせません。寒いのか、腕組みをして、試合の再開を待つ姿は、こちらの見る目がそう感じさせるのか、もっと長くサッカーができることを楽しんでいるようにすら見えます。

　ガンバのキックオフで試合再開。満男選手はさっきのボランチの位置より、少し高めに入っているでしょうか。右サイド、熊谷選手と二人で相手にプレッシャーをかけ、ボールを奪い取ろうとします。そして、DFラインから渡ったボールを、右のライン際、ハーフライン手前から、前線に美しいロングパス。ペナルティエリアに走り込む平瀬選手にぴったりと合いますが、GKにキャッチされてしまいます。

　2分、左サイド、根本選手が突破して、CKを得ます。ビスマルク選手のCKに、ファーサイド、後ろから走り込んできた熊谷選手が、ぴったりと合わせて、高い打点から、見事なヘディングシュート!

　アントラーズ、決勝進出を決めました。満男選手、大きく手を上げて万歳をすると、熊谷選手に拍手を送ります。そして、熊谷選手と抱き合うように祝福を交わします。整列して、もう一度、何か話をしているみたい。そして、礼が終わると、小島選手、都築選手と挨拶を交わします。

　ゴール裏に、他の選手たちと一緒に歩いてきた満男選手、サポーターに向かって、両手を上げます。

　めったにケガをしない相馬選手まで、大きなケガをして、ハードスケジュールで戦い続けているアントラーズの選手たちは、文字通り満身創痍です。今度は中2日で、元旦の決勝戦。精神的にも、肉体的にも極限でしょうけど、3冠という大きな栄誉を目指して、あと1戦、戦い抜いて欲しいです。

（バックスタンド2階から観戦）