2001/2/10(Sat)

午前

　 明らかに東京より暖かい宮崎ですが、この日は曇。日が差さないと、やはり冷え込んできて、練習見学には少し寒い陽気でした。　

　 練習開始が9時、5分前にチームバスが到着します。一番前の、左端の席に座っていた満男選手、先に降りようとした柳沢選手に頭を叩かれて、何か話をしているみたい。最後の方に降りてきた満男選手、手にコピー用紙のようなものを持っています。グランドにはいるとさっそく、その紙を広報の野見山さんに渡します。そして、先に練習グランドに来ていたトレーナーの竹田さんと、再びグランドの外に出ていきます。そういわれれば、今日の満男選手の恰好はいつもと違います。サンダル履きに、長袖のウインドブレーカーの上下。ズポンの裾のところのチャックが両方とも開けっ放しで、裾がヒラヒラしてます。　

　 竹田さんと、スタッフが移動に使っている車に乗り込んで出かけていった満男選手。帰ってきたのは10時半でした。練習見学に来た男の子が満男選手がいないことに気づき、「小笠原は?」「病院行ってんじゃねぇの?」などと噂してます。また別の中学生くらいの男の子は、大胆に、練習中のコーチを呼び止めて、「小笠原は? いないの? 小笠原?」とたずねます。コーチは「病院行ってるから。来るから」と答えてます。　

　 全体の練習は、まずは、社長のお話から始まりました。今日からビスマルク選手と青木選手が合流して選手全員が揃ったからでしょうか。満男選手は、出かけていなかったから、この話は聞けませんでしたけど、結構長めの話だったから、もしその場にいたら、またお行儀悪くなってたかもしれませんね（笑）。その後、関塚コーチの話があって、練習開始。ハンドボールみたいなアップから始まって、足だけとか頭だけのリフティングとか、ホイッスルが鳴ると、ほかの選手とパス交換したり。いろいろとバラエティに富んでます。最後に、10対10のミニゲームを行いました。青木選手は、さっそくほかの選手と一緒のメニューをこなしてましたが、ビスマルク選手は里内コーチに付き添われて、ウォーキングからランニング。熊谷選手と柳沢選手が二人揃って、ゆっくりペースのランニングの後に、コーンを使ったサーキットトレーニング。金古選手は、フィジカルコーチに付き添われて、ゴムを使ったりして、きつそうなフィジカルトレーニングを行ってました。　

　 満男選手が帰ってきたのは、もうミニゲームも終了した頃だと思います。竹田さんを置いて、さっさと一人でテントのところに戻って来ると、シューズに履きかえます。　

　 確か、この時に、テントの近くにいたスタッフさんや、柳沢選手などに話しかけられて、何か答えていたのですが、その都度話し相手が、微妙な笑顔になっていたように見えました。満男選手自体の表情も、なんとなくぱっとしません。治療のために病院に行ったのか、それとも、何か検査があって、その結果が思わしくなかったのでしょうか。　

　 昨日の午後、パス交換につき合ってくれたフロントの人が、すぐに満男選手につき合ってくれます。ボールを足元、左右に投げて、満男選手が蹴り返したりという、試合の前のアップでやっているようなトレーニングです。これも、特に決められたメニューというわけではなく、満男選手が自主的に体を動かしているという感じ。相手をしてくれる人がいるのは、ありがたいのだけど、この方も、トレーナーとかコーチというわけではないので、満男選手がこうして欲しいとその都度指示して、ボールを投げたりしてもらっているのでしょうか。　

　 あまり調子のでない感じの満男選手でしたが、パス交換をするようになって、だんだんに笑顔になっていきます。確か、この時だったか、クールダウンをしている曽ヶ端選手の足元に、ボールを蹴りつけました。曽ヶ端選手、怒ってボールを思いきり蹴り返したら、とんでもなく高いボールになって、フェンス越え（笑）。隣の駐車場に止めてある車にぶつかってしまいました。曽ヶ端選手、そこで、フェンス越しに見学していたおじさんに向かって、頭を下げてたけど、多分、その車の持ち主じゃないと思うんですけど（笑）。　

　 そんなこんなで、またまた、ほかの選手たちが上がっていっても、ボールを蹴り続ける満男選手。相手をしてくれてたフロントの人も上がろうとして、まだ去りがたかったのか、ポツンと残されたミニコーンを片づけに来た里内コーチにパスを出します。里内さん、ボールを蹴り返して、「分かった? 分かった?」。どうやら、誰か選手の真似をして、それを満男選手に当てさせようとしてるみたい。満男選手、すごく大きなうれしそうな声で「ジョルジーニョ!!」。そして、もう一度「ジョルジーニョ!!」と言いながら、強くて長いパスを里内さんに返します。このジョルジーニョっていう言葉の言い方が、独特の抑揚があって、ちょっと歌ってるみたいにも聞こえて、満男選手、ジョルジーニョ選手が大好きなんだなってことがとても伝わります。　

　 里内さんは、今度は、左右にお尻を振りながらパスを出します。「分かった? 分かった?」。満男選手、それに答えたけど、どうやら違っていたようで、里内さん、「今のはねぇ……」ととっても楽しそうに語りながら上がっていきました。二人はサッカー選手の話をしているようだけど、最後のは、見学席からはコメディアンにしか見えなかった気もしますけど（笑）。　

　 満男選手、上がっていった時間は10時45分くらいでしょうか。午前中は、わずか15分から20分くらい、わずかにボールに触ったという程度の練習でした。土曜日とあって、見学者の数もものすごく多く、グランドの出入り口から、バスの昇降口まで、ロープを張って通路を作ってあったのですが、満男選手はそこを、立ち止まらずに、さっさと歩いていったと思います。といっても、その人ごみに紛れて、実はよく見えなかったんですけど。4712001.2.10宮崎キャンプ4日目午後レポート.....2/12(Mon)21:39　

　 午後も、天気は曇。練習開始の3時半には暖かかったのですが、時間が経つにつれて、かなり冷え込みました。連休初日の土曜の午後とあって、ものすごい数の見学者。練習開始前には、チームカメラマンの櫻井さんと、広報、野見山さんが、ファンクラブの入会用紙を配って歩きます。1時間も前からグランドに現れたスタッフの人たちは、スムーズに練習ができるように、準備を進めます。コーンやポールが置かれて、午後はフィジカルトレーニングのようです。　

　 練習開始の5分前に、チームバスが到着。満男選手は、ナップザックを背負って、両手をポケットに突っ込んで降りてきます。テントのすみに、ポスターが置いてあるのを目ざとく見つけて、すぐに広げて見る満男選手。変わったものを誰より早く手に取ってみるところ、いかにも、満男選手らしい感じです。　

　 そのポスターは、国立競技場をホームに行うアントラーズの試合の告知ポスター。右前面に大きく満男選手が、そして、斜め後ろ、中央に中田選手、さらにその斜め後ろに本山選手がいる構図。満男選手が手にしたポスターを、ほかの選手たちも次々とのぞき込みます。17番をつけて大きく映った姿、話題になっていたかもしれません。　

　 選手たちは、トレーニングシューズに履きかえます。トレーニングシューズは、お揃いの白地で赤いラインが入ったもの。ホペイロさんがあらかじめ、ずらりと並べておいてくれているのですが、なぜか満男選手は、マイ・トレーニングシューズがあるよう。置いてあった荷物の中から、シューズバッグを探しだし、それを履いています。色も型も同じものだと思うのですが、何かこだわりがあるのかしら。　

　 選手たち、みんなが心拍数を測定するベルトを胸に巻いたので、今日も持久走のようです。里内コーチの簡単な説明の後、開始時間までストレッチ。本山選手が、なぜか満男選手の肩に手を回して、話しかけています。確か、昨日も一回、この日も、もう一回こういう光景を見たのですが、普段は、見かけない姿です。満男選手、軽い笑みを返します。その後、満男選手、先輩4人ぐらいと、ずっと話をしながら、時に笑顔を見せてストレッチをしていました。　

　 里内さんの合図で、持久走開始。今日は、全員が一緒に走り出します。見慣れない人は、ちょっと驚くかもしれにけど、選手たちバラバラの方向に走り出すんですよね。利き足の関係とかあるのかしら? よく分からないけど、ほとんどの人が左回りにグランドを回るんだけど、何人かは右回りです。満男選手は、常に左回り。今日は、昨日からずっと練習につき合ってくれてるフロントの人が、満男選手にぴったり伴走しています。　

　 最初は2人でずっと走っていたところに、秋田選手、池内選手などが合流。5人のグループになって走り続けます。しばらくして、誰だか、「気持ち悪くなっちゃったよ。○○さん、何かしゃべってよ」とわがままなこと言ってます。　

　 大部分の選手たちは20分くらいで走るのを止め、グランドの隅に作られた、コースでサーキットトレーニングを行います。満男選手とビスマルク選手は、そのまま走り続けていて、熊谷選手と青木選手は、昨日ほかの選手がやっていた、スピードを変えて走る持久走をやっています。　

　 20分すぎたくらいでしょうか、伴走していたスタッフの人が遅れ気味になって、満男選手、一人で前を走るようになります。それから、しばらくして、振り返って声を掛けます。「時間は? あと何分?」。手を大きく上げて、右手で左手首を指さしますが、スタッフの人は気づいてくれません。スタッフの人、少しして気づいて、グランドを横断して「あと4分」と満男選手に声を掛けます。少し目先を変えたかったのでしょうか、満男選手は、大回りにグランドを回るのを止めて、ゴールと反対側のゴールを回るように走ります。　

　 そして、30分とスタッフの人から告げられて、持久走終了。歩いてクールダウンを行う満男選手です。ゆっくりと歩いていたのですが、体を屈めるようにします。そして、左手でみぞおちの辺りを少しの間、押さえます。あまりにはっきりと痛いと分かるような仕草で、ドキッとします。手を離すと、今度は両手を膝について、しばらく屈み込んだままでいる満男選手です。　

　 クールダウンも終わって、サーキットトレーニングの方を、じっと眺める満男選手。フィジカルトレーニングはきつくて辛い練習のはずですが、なんだか、みんなと一緒にできないことが恨めしいようにも見えます。　

　 スパイクに履きかえると、先ほどのフロントの人とパス交換。いつもなら、ボールを蹴り始めたと同時に、すっかり元気になる満男選手、今日も笑顔は見られますが、なんとなく元気がない感じ。昨日と同じ調子で、パスを蹴っていきますが、同じことをするのも飽きるのか、途中で、関塚コーチにもパスを送ります。関塚コーチも、ちょっとふざけた感じでボール蹴り返してくれます。　

　 そして、フロントの方の出したクロスを、シュート。これが、あまりに外れてしまって、立て続けに外して、もうイヤというように、ころんと仰向けに転がってしまう満男選手。ゴールの向こう側にいる、ホペイロの増川さんに、拾って蹴り返してもらいます。満男選手も、ゴールの向こうまで拾いに行くと、今度は、そのホペイロさんともパス交換。帰ってきて、グランドの真ん中を歩いている野見山さんを見つけると、野見山さんともパス交換。実は、野見山さん、練習見てるだけでは体が冷えるのか、さっきはホペイロさんとボール蹴りあってたんですよね。サッカー好きそうな野見山さんは、何回か満男選手とパスを交換します。　

　 元気がないだけでなく、パスの調子も悪い満男選手、また、フロントの人とパス交換を始めたのはいいのですが、見学者が並んで座っている、小高く土手のようになっているところに、ボールを蹴り込んでしまいます。ミスキックしたと分かった途端に、まるで、子どものように、逆方向に走って逃げる満男選手。帰ってきたボールを、フロントの人が走って取りに行くのを見て、今度は競争して走って取りに行きます。そして、次のキックも、なんと見学席に蹴り込んでしまって。これは、見学の男性が、立ち上がって投げ返してくれたので、満男選手、頭を上げたまま、腰を曲げてお辞儀をしてました。　

　 その後も、少しの間ボール蹴ってたんですが、お相手のフロントの方は、持久走で疲れ切ったらしく、満男選手も調子が出ず。やはりシュートを外してだったか、またまたコロンと転がって、そのまま終わりになりました。ほかの選手たちの練習も、この少し後に終了。みんな一緒に、ストレッチです。熊谷選手と並んで、ストレッチをする満男選手。熊谷選手が、満男選手に何か話しかけているようです。　

　 三々五々帰り支度をする選手たち。見学者に向けて、スタッフがマイクで「明日の練習は、3時からです」などと、少しつたない放送をした後、いきなり、テンションの高い声が流れてきます。「鹿島アントラーズから、みなさまにご連絡があります。今日は、寒い中たくさんのご来場、あれ? ご来店、あれ? あ〜、ありがとうございました。選手の皆さん、練習お疲れさまでした。明日も頑張りましょう。中田浩二さん、お疲れさまでした」。マイクのある管理事務所から走り出てきたのは、名良橋選手です。いったんグランドに向かった名良橋選手、またまた、管理事務所に向かって、帰ってきたら、選手たちの「入ってないよ、入ってないよ」の声。またまた、管理事務所に走り出す名良橋選手、そして一言、「元気ですか!!」。そして、事務所から出てくると、グランドに向かって、頭の上に手で大きな○を作って、「丸? 丸?」とたずねてます。この施設、公共のものだと思うのだけど、もう使い放題という感じ。でも、さすがに心配してか、コーチがついてきていて、マイク・パフォーマンスはそこでおしまいになりました。　

　 チームのムードはとても楽しく、満男選手が完調でさえあれば、とっても楽しいキャンプ見学になったのでしょうが、最終日の午後、苦しそうな満男選手の顔を見てしまって、少し心残りに宮崎を後にすることになりました。