2001/3/11(Sun)

　カシマスタジアム改修中のため、国立競技場をホームに行われる開幕戦。空はよく晴れて、日なたにいると、とても暖かです。

　1時55分頃に、選手入場。ベンチコートをはおっての登場です。開幕戦のセレモニーは何もなく、選手たちはコートを預けると記念撮影、ピッチに散ります。コイントスの結果、ピッチを交換することになったようで、アントラーズは最初、西日を背に、アントラーズサポーターの側のゴールに向かって攻めていきます。

　一人遅れて走ってくる名良橋選手を迎え入れると、いつものように円陣。満男選手や、何人かの選手は手袋をはめています。

　2時ちょうどくらいにキック・オフ。満男選手は、先週のゼロックススーパーカップの時のような、高いポジションは取らず、ビスマルク選手と並んで、2列目右に構えます。まずは、守備の安定を考えているポジショニングに思えます。

　3分、高く上がったルーズボールを、ヘディングで前線にパスする満男選手。ぴったりと隆行選手に渡ります。落としたところを、柳沢選手がつなぎ、FKから上がったままになっていた秋田選手がシュート。GKがパンチングしたボールを拾って、中田選手がクロスを上げ、柳沢選手のヘディング。これを再びGKが片手でパンチング。こぼれたところをビスマルク選手が詰めますが、これもGKに防がれます。ビッグチャンスでしたが、GK下田選手のファインセーブで得点になりません。

　4分、最終ラインで本田選手が奪ったボールを拾った満男選手、左サイド近くを、全速力で上がっていきます。前方、中央の柳沢選手に、きれいにパスを通し、そのまま、柳沢選手を追い越す位置まで上がります。柳沢選手から右サイドへのパスはミスになりましたが、満男選手、今日は、運動量も多く、体のキレも悪くないようです。

　6分、右サイド、名良橋選手から、斜め前の満男選手に強いグラウンダーのパス、満男選手はワンタッチで、前線、右側の柳沢選手にあげると、瞬時にニアサイドに走り込みます。パスは、やや山なりになりましたが、ぴったり合い、柳沢選手は、ファーサイド、隆行選手に。隆行選手のヘディングしたボールは、DFに当たって、ゴールライン際に落ちます。満男選手、ライン、ギリギリでそれを拾うと、中田選手に。中田選手のスルーパスはキレイに通り、隆行選手、反転してシュートしようとしますが、DFにクリアされます。

　ここで得たCK。満男選手は、コーナーに行くとすかさず、ショートコーナーを使います。ボールを受けたビスマルク選手のクロスを、フリーの中田選手、ヘディングしますが、ポストに弾かれてしまいます。

　8分、左サイド、柳沢選手が、ポストに入って、満男選手に落としたボール、満男選手は、カーブをかけて、柳沢選手に着いて走るDFの右側を通し、左前にいる、柳沢選手の走り込みにぴったりと合う、グラウンダーのパスを出します。

　ビスマルク選手とバランスを取りながら、左右のポジションチェンジを繰り返す満男選手、9分に、右サイド際で、相手選手とヘディングで競り合って、倒れたきり、動けなくなります。どうやら、相手の足がお腹に入ってしまったよう。ボールが外に出て、審判や、ドクターが駈け寄りますが、全く動く気配のない満男選手。息が止まってしまったのかもしれません。担架が運び込まれ、ようやく上体を少し起こす満男選手。ラインの外で、関ドクターに状態をチェックされると、特に処置はなく、ゆっくりと起き上がります。右手で、右の腰のところを押さえながら、ピッチに戻る満男選手です。

　このあと、しばらく、あまり動けなくなる満男選手、歩いている時間が多いようです。交代の選手がアップを始めたりすることもなかったので、たいしたことはなかったのでしょうけど、心配な姿でした。

　13分、本田選手が相手選手と競ってこぼれたボールを、満男選手、2タッチで、DFの左のスペースの柳沢選手に出します。柳沢選手から、隆行選手にボールは渡りましたが、シュートにはなりませんでした。

　15分、自陣左サイドで、満男選手は、中田選手からの短いヘディングのボールを右腿で受け浮かすと、すかさず体を反転させ、右足でボレー、前の鈴木選手に当てます。落ちたボールを、満男選手が、DF裏のスペースへ。バックスピンのかかったボールは、柳沢選手の走り込みにぴったりと合いましたが、柳沢選手のペナルティエリア内からのシュートは、枠の上にいってしまいます。

　その直後、藤本選手のFKから、トゥーリオ選手が決めて、1点リードされます。またもや、サンフレッチェのセットプレーから点を取られてしまいました。

　右サイドを上がる名良橋選手から預けられたボールを、満男選手、一瞬のタイミングを計って、左足でオーバーラップする名良橋選手に返します。名良橋選手のクロスは、DFにクリアされ、CKになります。

　20分、上がっていく藤本選手に着いた満男選手、藤本選手にボールが渡ると、巧く手を使って体を入れ、ボールを奪うと、攻め上がろうとします。藤本選手がボールを奪い返そうと、後ろから満男選手を倒して、イエローカードが出ます。

　暑くなってきたのか、アントラーズCKで、満男選手、ゴールラインに駈け寄ると、手袋をピッチの外に投げ捨てます。

　30分の相手セットプレー、満男選手、片足立ちになって、左足を後ろ手に持ち、ストレッチをします。もう足がつりかけているのかと、少し心配になります。

　前半、何回か、危ないシーンを迎えるアントラーズ、セットプレーから失点したせいか、相手のセットプレーのたびに、はらはらします。満男選手は、FKになるたびに、マークを確認。ボールを持って、クイックスタートを防ぐ、いつも通りの姿も見られます。

　サイドチェンジも巧く使って、攻撃を組み立てる満男選手、32分、右サイドからボールを受けて、逆サイド、祥朗選手にパスを出しますが、祥朗選手の上がりが遅く、追いつけません。満男選手のパスが厳しすぎたというわけではなく、走ってくるべきところに、祥朗選手がいなかったという印象のパスでした。

　今日も、ピッチギリギリまで出て、指示を出しているセレーゾ監督、第4の審判員の方に、注意されてしまいます。

　42分、左サイドライン際で、沢田選手から、満男選手、うまくボールを奪います。

　43分、祥朗選手からボールが入ると、満男選手は桑原選手を背中に背負ったまま、体を反転させ、ワンタッチで柳沢選手のスペースにパスを出します。難しいパスを、柳沢選手、足先でコントロール、シュートはGKにキャッチされてしまいました。

　前半のロスタイムは2分。46分、名良橋選手からの鋭いパスを受け、左足でバックピンをかけて、DFの頭を越し、裏のスペースに出す満男選手。走り込んで受けた柳沢選手、シュートを打ち切れませんでした。

　前半終了して0-1。ベンチの脇の方から引き上げていく満男選手に、本山選手が声をかけます。

　後半開始直前、ピッチに散った選手たちの中で、満男選手と柳沢選手が話をしています。満男選手は笑顔。前半、1点のビハインドにもかかわらず、勝てるという自信を感じさせる表情です。

　そして、開始1分、アントラーズは同点に追いつきます。ビスマルク選手のFK、DFのクリアを左サイド上がっていた祥朗選手が、絶妙のクロス。ゴール正面でフリーになっていた隆行選手がヘディングでキレイに決めます。選手たちは、いっせいに祥朗選手の方に駈け寄ります。ゼロックススーパーカップのときも、そして、今日の前半も、どこか思いきりの悪いプレーに見えていた祥朗選手、このあと、がぜん、プレーがのびのびとしてきます。

　同点になってから、サンフレッチェのフィジカルコンタクトが激しくなっていくようです。

　4分、自陣内、左サイドでのルーズボールに、積極的に走り出す満男選手。ライン際でボールを取ると、ライン沿いに前方の柳沢選手に。スペースに抜け出た柳沢選手にキレイにボールは渡りますが、柳沢選手が、中央に走り込む本田選手に出したパスは、直接GKにキャッチされてしまいます。

　5分、左サイドで、中田選手からの短い横パスを受けた満男選手、ドリブルで、中央に進み、短く後ろのビスマルク選手にパスを出すと、瞬時に裏のスペースに走り出します。中央に切れ込み、パスとシュート、両方が狙える態勢を作ろうとする満男選手です。

　名良橋選手と交錯して倒れた、トゥーリオ選手の治療が行われているとき、満男選手は本田選手に何かしら話をしています。前線を指さして、走る方向を指示しているよう。先ほどの本田選手の上がりに関する、確認なのでしょうか。頷いて話を聞く、本田選手です。

　8分、左サイドでボールを持つと、先ほどと同じように、ドリブルで中央に切れ込んでいく満男選手。DFに囲まれてボールを奪われてしまいましたが、意図の分かるプレーです。

　今日の主審は、シンガポールのシャムスル・マイディンさん。満男選手、相手選手が足を蹴ったというように、キックのポーズをしたり、臆することなく抗議するいつも通りの姿が見られます。

　13分、ハーフライン付近からのビスマルク選手のFKからの流れで、左、本田選手が落としたボールを、満男選手、右のスペースに向かって素早く出します。名良橋選手のクロスは、相手DFにクリアされましたが、いい攻撃です。

　16分、左サイドで祥朗選手がボールを持つと、満男選手は大きく手を上げて右サイドを駆け上がります。祥朗選手のパスは、ぴったり満男選手に合いますが、クロスを上げることはできませんでした。

　左サイドでボールを持った柳沢選手、中に走り込む選手たちを見ながら、自らシュートを打ちますが、ゴール左に大きく外れてしまいます。この瞬間、コーチングボックスの一番前に立っていたセレーゾ監督、くるりと後ろを向くと、ベンチに戻り、選手交代の指示を出します。DFラインの裏を何回もつき、動きはよかった柳沢選手ですが、この試合、絶好のチャンスを何回か逃してしまいました。

　18分、柳沢選手に替わって、本山選手が入ります。サンフレッチェの選手も2人が交代です。いつもの交代に、満男選手も特に確認をしたりはしません。全てが分かっているという感じです。サンフレッチェの交代選手のほうが気になるらしく、じっと2人のポジションを見ています。

　相手FK、満男選手が長身の久保選手のマークにつきます。久保選手の動きに合わせて、体を寄せていく満男選手です。

　本山選手から、名良橋選手への長いスルーパス、DFにクリアされ、名良橋選手、シュートすることができませんが、惜しいプレーです。そのあと、隆行選手も、決定的なチャンスを逃します。

　28分、ゴール前で本山選手が倒されこぼれたボールを、名良橋選手が、ワンタッチで満男選手にパス。満男選手は、スライディングタックルに入ったDFをかわすと、ゴール左前で、ドリブルで前に進みます。一旦外に出るようにフェイントをかけ、右足でボールをまたぐと、右アウトサイドで小さくボールを押しだし、右足のインフロントでシュート。25メートルほどのミドルシュートは、きれいなカーブを描いて、ゴール右上に突き刺さります。両手を上げて喜びを表すと、腰のあたりで、小さく2回ガッツポーズ。アントラーズの選手たちが、祝福に押し寄せ、満男選手を取り囲み、頭を叩きます。

　36分、自陣、右サイドライン際でクリアボールを拾った満男選手、DFの裏のスペースに、40メートルほどのロングパス。隆行選手を走らせます。隆行選手、うまくトラップできず、DFに詰められて、シュートは枠の外に外れてしまいます。

　38分、蹴り込まれたボールを、GK下田選手が、ゴールエリアの外まで走り出てクリア。そのボールを拾った満男選手、前に走りながら、ゴールから35メートルほどのところからループシュート。惜しくも、ボールはゴール右にそれましたが、判断の速い、いいシュートでした。

　終了直前、示し合わせたようにボールをキープし始めるアントラーズ。ピッチ全体の雰囲気が、一気に変わったのが伝わり、意思統一が図られているのが分かります。

　ロスタイムは2分。アントラーズの勝利で、試合終了です。試合が終わった後の表情をTVで見ると、満男選手は渋い顔。やはり気持ちが悪かったのでしょうか。ピッチの中央に歩いて戻ると、アントラーズの選手同士、声をかけ、肩をたたき合います。満男選手は、一礼をした後、膝に手を当てたまま、しばらく顔を上げることができません。

　広報の野見山さんに呼ばれ、トステム賞の受賞に向かう満男選手、途中で、マネージャーさんの方に行って、水をもらいます。隆行選手は、マネージャーさんが首にかけていたタオルで顔を拭いています。

　トステム賞のボードを、両手で高く上げて、くるっと回る満男選手。写真撮影が終わると、ロープの際まで行って、ボードを、オフィシャルカメラマンの櫻井さんに渡します。そして、先にサポーターに挨拶をしている選手たちを追いかけるように、バックスタンドの方に来て、軽く、右手を上げます。

　ゴール裏に向かうと、回る広告のあたりで、名良橋選手が待っています。話をしながら、ゴール裏で、手を上げる満男選手。小笠原コールが起こって、また手を上げます。ゴール裏の端まで歩いていくと、そこでも手を上げる満男選手です。そこに、野見山さんが呼びに来ます。先に行われていた隆行選手のヒーローインタビューが終わってしまったので、次の満男選手のインタビューまで間を開けまいと、駆け足になる野見山さんですが、満男選手は、ゆっくりしたペースのまま。もしかしたら、体が相当きついのかもしれません。

　いつも通り、大げさな表情はなく、でも喜びをにじませたヒーローインタビュー。終わると、ゴール裏から小笠原コールが響きます。ゴール裏に手を上げる満男選手です。そして、メインスタンド下に消える直前、メインスタンドにも手を上げて行きました。

　ビスマルク選手が、まだ体調が整わない様子の中、満男選手の活躍の目立つ試合でした。病気のために、充分な走り込みもできないまま迎えた新シーズン、コンディションは少しずつ上がってきているようです。さらに、これからの活躍を期待させるゲームでした。