2001/3/9(Fri)

　 前日から冷え込んで、クラブハウスの日陰には、わずかですが、溶けかけた雪が残っています。空は晴れていますが、寒の戻りで、日が落ちるにつれて、凍えそうな寒さになりました。　

　 開幕戦を2日後に控えて、念入りなミーティングが行われているのでしょうか、選手たちがグランドに姿を現したのは、練習開始の予定時間3時半を、15分ほど回ってからです。グランドの端に、マットレスがひかれ、選手たちは、3列になって、並び、ストレッチを行います。今日も短パンに、ストッキングを思いっきり上げて、足がほとんど見えない恰好の満男選手は2列目。左に根本選手、右に金古選手が並びます。マットレスを片づけて、金古選手と組んでストレッチ。　

　 ストレッチが終わると、グランドの中央に出て、やはり、3列になって、走ったり、腿上げをしたりのアップです。満男選手、笑顔で平瀬選手と話していたり、楽しそうにやっています。　

　 この時間帯だったでしょうか、ロッカールームの前に、トレーニングウェアの中嶋選手の姿が。リハビリとトレーニングを、クラブハウスで行っているようです。　

　 アップが終わると、試合2日前恒例の、紅白戦。といっても、今日は、絶えず、監督がピッチの中に通訳の人といて、セットプレーなどのたびに、プレーを止めて、確認しながらなので、きちんとしたゲームではありません。　

　 スタメン組のビブスなしチームのメンバーは、高桑、名良橋、秋田、羽田、祥朗、本田、中田、小笠原、ビスマルク、隆行、柳沢。ビブスチームは、曽ヶ端、内田、金古、池内、根本、青木、野沢、本山、平瀬、小林。と、多分、山口選手。ベンチには、3人がいて、加藤、長谷川、幸聖選手だったかな。　

　 ゲームが始まる前に、セレーゾ監督は、スタメンチームを集めて作戦会議。通訳の鈴木さんを通じて、熱心に話している相手は、主に秋田選手なのかしら。こういうとき、じっとしていられないのが満男選手。全く別の方向を向いて、体を動かしてみたり、ストレッチをしてみたり。　

　 4時20分頃にキックオフ。Aグランドで、スタメンチームが、右から左に攻めていきます。見学席の目の前は、左サイドバックの祥朗選手。近いせいか、祥朗選手への周りからの指示がよく聞こえます。大声で、たくさん指示をしているのは中田選手。もっと寄せてとか、早く帰れとか、細かい指示がたくさん飛んでいます。ほかの選手にも、指示を出し続ける中田選手、最後には声が枯れてきていました。　

　 こうやって、指示の声を聞いていると、不安になるもので、明後日は大丈夫かと思ってみてしまうから、余計なのかもしれないけれど、ビブスチームの方が、優勢気味。スタメンチームは、攻め込まれる時間が長いようです。　

　 満男選手は、最初、体の切れ自体が、少し戻ったかなと思ったのですが、2回ほど、足を滑らせて転ぶシーンもあって、まだ、本調子ではないようです。昨日の雪の影響で、ピッチが湿っていたのでしょう、転んじゃう選手は、他にもいたのですけど。　

　 ビスマルク選手は、目立つパスミスがあったりして、まだ調子が上がりきってはいないよう。ゲーム開始時には、右に満男選手、左にビスマルク選手という形になっていたのですが、すぐに、満男選手が左側に流れてくるようになり、そのまま、最後まで左でプレーしていました。インタビューによると、ビスマルク選手が動くので、バランスを見ながらポジションを取っているということなのですが、今回は、満男選手が左サイドのカバーに回るという意味合いが大きいような気がします。なぜか、満男選手がボランチの二人よりも後ろ側で、しばらくプレーしていたり、全体のバランスが、まだまだなのでしょうか。　

　 左サイドに流れてきた、満男選手、「祥朗! 祥朗!」と声を出して、右サイドの選手に、祥朗選手に対してボールを出すように要求しますが、なかなか出てきません。祥朗選手がワンタッチで、前方の満男選手にパスを出して、シュートには結びつかなかったけど、いい形になることも1度ありました。　

　 周囲の選手に対して、中田選手ほど指示することはないのですが、満男選手も、声を出してボールを要求します。「ホンダ!」。「タカ!」。柳沢選手のこと、「ヤナ!」って怒鳴ってた気もするけど、これは聞き違えかも。周囲の選手、特にFWの二人は、「ミツオ!!」とボールを要求します。　

　 満男選手、2列目から前線に飛び込んで、ボールを受けるシーンは、それほどなかったと思うのですが、ペナルティエリア手前あたりで、ボールを持ち、ドリブルで切り込んで、FWに短いスルーパスを通すことが2回ほど。2回目は、DFを抜いた直後にパス。キレイな抜き方に、見学席からも声が上がります。　

　 スタメンチーム、満男選手のパスなどで、ゴール前でチャンスを作っても、シュートがなかなか決まりません。ビスマルク選手のFKからのこぼれ球、満男選手のミドルシュートも、ポストにはじき返されてしまいます。「ナイスプレー」と本田選手。　

　 バランスの崩れがあるのでしょう、プレーが止まると、セレーゾ監督がすかさず、指示を出し始めるだけでなく、本田選手、秋田選手も、大声で指示を出します。通訳の鈴木さんの声も合わさって、4人の声がガンガン響く、練習グランドです。　

　 スタメン組、唯一の得点は、柳沢選手のシュートがこぼれたのを、詰めていた隆行選手が決めたのだったかしら。　

　 45分くらいで、一旦休憩。本山選手がビブスを脱いで、スタメンチームに入ります。ビブス組から、小林選手が抜け、長谷川、幸聖選手が入ったはず。　

　 入ってきた本山選手のポジションが左サイドだったのには、驚きました。左サイドバックは、もちろんDF。本山選手をMFに使って、中田選手が左サイド、満男選手がボランチに入る形は、今までもやったことがあるし、安定感があると思うのですけど。左に入った本山選手が、上がったときには、すかさず中田選手がそのポジションを埋めます。「オレが左サイドにはいるから」と、中田選手、本山選手に声をかけています。攻撃から守備に切り替わったときに、長い距離を走って戻ることは、本職ではない本山選手には難しいようですが、周囲もそれを分かっていて、自由にやらせて、それをフォローしている感じです。後半は15分で終了。そのあいだには、守備には、大きなほころびは見えませんでした。　

　 終了する少し前に、表に姿を現して、Bグランドをランニングしていた熊谷選手に気を取られていたので、試合が終わった瞬間を見逃してしまったのですが、わたしが見ている限りでは、満男選手が足を気にしたり、お腹を気にしたりする仕草は見えませんでした。　

　 サブのメンバーは、監督の指導の元、そのままシュート練習を開始。スタメン組は、練習終了。ストレッチなどを始めます。秋田選手は羽田選手に何やら話をしているよう。中田選手も満男選手に、しきりと話をしています。満男選手も、疲れた顔ながら、真剣に話を聞いている様子。今のゲームでの問題を、修正しようとしているのでしょう。　

　 シュート練習の逆さまの、左のゴールの前に、関塚コーチがFKの練習用の人型を用意して、中田選手と満男選手は、FKの練習開始です。最初は、ゴール前、やや左よりの位置から、5人の壁を越して、直接ゴールを狙う練習。ゴールネット、右上隅の方に、黄色いビブスが掛けられて、どうやら、何かの目印か、標的のようです。満男選手、少し強いボールを蹴ろうとしているのか、直接人型にぶつけてしまい、なかなか決められません。中田選手も、カーブがかからず、ゴールの上を越すことが多くて、なかなか決まらなかったのですが、最初に決めたのは、中田選手。満男選手、10本くらいは外したでしょうか、うまくいかないなという顔を見せてましたが、練習の成果あって、カーブがかかり壁の上を越すようになります。ボールはゴール左にそれたのですが、関塚コーチから「いいよ〜、今の」と声が飛びます。そして、同じようなボールがもう1度。そして、ついにキレイに決まります。そして、その後は、続けて決めていく満男選手。すっかりコツをつかんだようです。　

　 中田選手と関塚コーチが人型を動かして、今度はゴール前、右寄りからのFKの練習。もともと、この位置は得意な満男選手、最初から、かなりの確率で決めていきます。壁を越えて、急激に落ちるカーブがキレイです。　

　 関塚コーチのホイッスルに合わせて、交互に蹴っていく2人。中田選手が、蹴る準備をしているときに、トレーナーの人が、近くを通ると、満男選手はポーンとボールを蹴って、蹴り返してもらいます。そして、熊谷選手が通りがかると、また、ポーンと。　

　 「あと3本」と関塚コーチから声がかかって、中田選手と交互に、2本目までこなしたところで、クラブハウスからジーコ総監督が歩いてきます。なにやら、声をかけながらゴールのところに来たジーコさん、ゴールネットに掛けてあったビブスを取ると、ポストに引っかけます。その位置からだと、ここを目印にしたほうがいいと言ったのでしょうか。満男選手の蹴ったFKは、ぴったり、そのビブスの位置に飛んで、ポストを叩きます。その位置に当てろということじゃなかったんだと思うんですけど、あんまりぴったりなのには驚きました。　

　 そして、FKの練習が終了。満男選手は、もう少し、ボールを蹴りたそうに、足元でボールを転がしながら周りを見渡します。グランドには、シュート練習の続いている選手たちと、話をしている4人のコーチがいるだけ。満男選手、そのコーチたちに向かって、強いボールを蹴ります。かなり外れたボールに、里内コーチは、気づいたのに、なかなか拾いに行ってくれません。Bグランドに転々と転がっていくボール。里内さんに何か言われたのか、満男選手は急にボールを拾いに走り出します。同時に走り出す里内コーチ。ボールに追いついた後も、二人は何かしら話をしていました。　

　 ボールを拾って、さっきFK練習をしていたところまで戻ってきた満男選手は、そこにあった10個ほどのボールを、ポンポンと、速いペースでゴール横に置いてあるボールの方に蹴っていきます。そこに、ボールをしまうネットを持って出てきた関塚コーチ。満男選手は、ネット一つ分だけボールを入れて、ほかのボールはそのままという、なんだか、中途半端な後始末の後で、上がっていきました。