アウェイ、長居競技場での試合。開場してからも、急に大粒の雨が降り出したと思ったら、すぐに日が差してきたり、おかしな天気です。

　アップのためにピッチに出てきた満男選手は、とても調子がよさそう。走りながら腕をグルグル回すのも、普段の力の抜けた感じとは全く違っていて、元気いっぱい。一瞬、幸聖選手と見間違えてしまったぐらいです。体も、とても軽くてきれているように思えます。

　ボール回しは、本山選手と。湿った芝の影響で、トラップにやや苦しんでいるようですが、ロングパスは、いつも通り精度がよくて、本山選手の足元にぴったりと決まります。調子いいなと思っていたら、とんでもないミスパス。はるか左方向、バックスタンド側の地面に置かれた広告の方に、ボールが飛んでいってしまいます。そして、次のパスも、同じ方向に、しかも、もっと大きく外れて広告を越えていきます。満男選手、もうイヤという風に、その場に、ゴロンと倒れてしまいます。

　芝の状態も気にして、いろいろなトラップや、ステップも試してみる満男選手。本山選手とのアップは、慣れたもので、お互いやりたいことが分かっている雰囲気です。他の選手が、ボールを蹴っていないあいだも、2人で蹴りあいます。

　ダッシュに入る前に、ボールを拾った満男選手は、ミドルシュートを一本。これは、バーに弾かれてしまいました。引き上げていく時には、今日は、シュートを打たずに真っ直ぐメインスタンド下の通路に。暑くなったのか、歩きながら、上に着ていたウインドブレーカーを脱いでいます。

　2時少し前、選手入場のアナウンスと同時に、突然、あられが降ってきます。満男選手、ピッチに出てくると、手のひらを上に向けて、氷の粒だと確認してるみたい。渋い顔です。降ったのは、ほんの数分でしたけど、本当におかしな天気。このあと試合中は、晴れたり曇ったりでした。

　急な雨で、ベンチコートを着ていなかった選手たちは、セレモニーの間、体が冷えないように、軽くジャンプしたり、体を動かし続けます。写真撮影が終わった途端に、数人の選手はベンチに向かいます。満男選手は、いったんピッチに散って、体を動かし始めてから、遅れてベンチに向かい、置いてあったバッグをのぞき込みます。それを見たマネージャーさんが、ロッカールームに飛んでいきます。マネージャーさんが帰ってくるのを待ちながら、ベンチ前の、トラックの上で、横にステップを踏んでいる満男選手。待ちきれなかったようで、ベンチにでてきたトレーナーの人に声をかけると、手袋をもらって、ピッチに駆け出します。同時に「小笠原コール」。満男選手は片手を大きく上げて答えます。

　円陣を組む頃には、ヒョウも雨もすっかり上がっていて、髪の毛の水滴を払うように、頭をゴシゴシとこすります。

　アントラーズの選手がボールを蹴って、キックオフ。満男選手、前線に走り出していきます。スターティングメンバーには、ゼロックススーパーカップの直前に左腿の肉離れで戦列を離れていたファビアーノ選手が入りっています。急に濡れたピッチの上で、選手たち、ボールコントロールが難しそうです。

　1分、満男選手がドリブル、パスした瞬間に、ユン・ジョンファン選手が後ろからタックルしてファール。起き上がると、本田選手とともに、審判に抗議しますが、カードは出ません。

　試合直後から、左サイドでプレーすることが多い満男選手です。

　7分、中央、中田選手から、左サイドのフリーの満男選手へのパス。満男選手、少しボールをキープ、タイミングを計ると、ループシュート。バーのわずかに下くらいの位置、枠に飛びますが、GKがジャンプして、パンチングでそらします。

　17分、セレッソのパスを、本田選手がカット、前に出します。走り込んだ満男選手がボールをコントロールしようとするところを、前から走り込んだキム・ドグン選手に右足を引っかけられる形になり、キム選手のファール。満男選手は、右膝を押さえて倒れこむと、全く動かなくなります。ドクターが駆けつけ、声をかけても、ほとんど体を動かさない満男選手。今日は、関ドクターは来てないようで、他の先生です。満男選手、担架で外に運び出されます。

　担架がピッチの外に出る前に、プレーが再開。ピッチの外に出てからも、なかなか動くことができない様子です。しばらくしてから、大きなケガがないことが確認できたのでしょうか、スプレーをかけられます。どうやら、痛みがあるのは、右膝の下、内側の部分のようです。足をゆっくりと動かして、ドクターのチェックを受ける満男選手。プレーに戻れることになり、ライン際に立ちますが、それからも、慎重に足を曲げたり伸ばしたりしています。ピッチに戻ってから、少しのあいだだけ、右膝を気にしていて、その後、痛みを感じさせることなくプレーを続けていましたが、しばらくして、もう1度、膝を気にする仕草がありました。

　23分、最終ライン、右サイドで名良橋選手がカットしたボールを拾って、前にあがります。ハーフラインの10メートルほど手前から、前線上がっていく柳沢選手に、大きなパス。柳沢選手は、DFの1歩前に抜け出し、爪先で、見事なトラップをしますが、シュートははるか枠の左に行ってしまいます。満男選手と柳沢選手、二人のらしさの出たいい攻撃でした。

　この後くらいから、アントラーズらしい、少ないタッチのパス回しができるようになっていきます。

　28分、左サイドで、ノ・ジョンユン選手に祥朗選手が抜かれたのを見た満男選手、ドリブルで駆け上がるノ・ジョンユン選手を追って、5メートルくらい後方から全速力で駆け出します。相手陣内のペナルティエリアの端から、自陣中央付近まで、50メートルほどを走って追いつくと、チャージします。意外というのは失礼かもしれないけど、足の速さを見せる満男選手です。

　32分、ペナルティエリアの端辺りで、ビスマルク選手が落としたボールに飛び込んだ満男選手、DFに足をかけられ後ろに転ばされてしまいます。そのまま、また、しばらく起きあがれなくなる満男選手です。

　ファビアーノ選手が戻ってきたせいか、去年の動きを思い出したかのように、美しい守備を見せてくれるアントラーズ。パスコースを限定して、罠にかけるように相手ボールを奪い取っていきます。

　前半途中からは、満男選手は右サイドにいることも多いようです。

　42分、こぼれ球を拾ったユン・ジョンファン選手に、スライディングタックルを仕掛けます。そのルーズボールが、今度は右サイドのノ・ジョンユン選手に渡ると、すかさずマークにつく満男選手。しっかりとマークを続け、ユン選手から、最後には、見事にパスカットします。

　46分、アントラーズが相手ゴール前でパスを回します。本田選手から、ゴール正面の満男選手にパス。満男選手、一瞬のフェイントで相手DFを一人かわすと、右足ですかさずミドルシュート。残念ながら、ボールは、バーを越えてしまいました。このシュートの直後にホイッスルが吹かれ、ハーフタイムです。

　試合中に、痛みを感じているときには、ホイッスルが鳴った途端に、座り込んだり、足を引きずったりすることが多い満男選手ですが、今日は、特に変わった様子もなく引き上げていきます。どうやら、さっきのケガは、たいしたことはなさそうです。

　後半開始。アントラーズは、祥朗選手と熊谷選手が交代、中田選手が左サイドに入ります。2月の代表候補合宿で右のふくらはぎの具合を悪くし、ファビアーノ選手と同じく、ゼロックススーパーカップの直前の練習試合で肉離れを起こしてから、試合に出ることができなかった熊谷選手。まだ、コンディションが充分ではなく、90分は無理ということだったので、予定通りの交代だと思われます。

　アントラーズが攻め込む場面の多い、後半立ち上がり、満男選手は、やはり左サイドにいることが多いようです。

　6分、隆行選手の落としたボールに、スライディングで寄せられながらも、DFの上をジャンプして飛び越え、ボールをコントロールしようとします。

　8分、DFから左サイドに出た長いボールにライン際で追いつくと、競ろうとした相手DFに体重を預けるようにして、クルリと体を返します。そこへ、相手選手が足をかけてファール。アントラーズボールになりますが、セレッソの選手はボールを渡しません。一瞬、もみ合いになるかと思われたのですが、満男選手は冷静に主審に抗議します。

　後半14分、ゴール正面、やや左寄り、ペナルティエリアのすぐ外で、ビスマルク選手が倒されFKを得ます。ちょうど、一昨日に練習していた位置。FKのポイントに来る満男選手を、名良橋選手が抱え込むようにして捕まえ、強い表情で何か言います。足を引きずりながら立ち上がるビスマルク選手。ボールの後ろに立ったのは満男選手。その脇で、中田選手と、名良橋選手はしきりと壁に指を差して指示を出します。壁の中での競り合いのせいで、なかなかホイッスルが鳴らず、ようやく鳴ったホイッスルからも1拍置いて満男選手はFKを蹴ります。ボールは、DFの頭に当たってコースが変わり、ゴールラインを割ってしまいました。満男選手、天を仰ぐようにして、悔しがります。

　満男選手、2人の相手選手を翻弄して、パスを繋ぎますが、ボールを蹴った後で、倒されてしまいます。前半から、厳しいマークを受けていた満男選手ですが、さらに厳しくなってきた印象です。

　24分、サイドチェンジのボールがミスパスになり、右サイドからカウンターを仕掛けられてしまい、逆サイドを全力で戻る満男選手。ノ・ジョンユン選手にパスが渡ると、コーナーまで追いつめ、ボールを外に蹴り出して、自分のミスを取り返します。

　その直後、パスを受けようと駆け上がってきて、ボールをコントロールしようとした瞬間に、転んでしまいます。少し、足に疲れがでているようです。

　ここで、ノ・ジョンユン選手に代わってルーキーの大久保選手が入ります。右サイド、ヘディングでボールを競ろうとした満男選手、大久保選手と、もう一人のDF、二人の選手に挟まれて、倒されてしまいます。この交代と同時に、左サイドに開いてきたビスマルク選手に合わせて、満男選手は右に流れていきます。

　30分、柳沢選手が平瀬選手と交代します。36分、相手GKのスローインからのカウンター、ユン選手が左サイドを上がるのを、全力で追う満男選手。体を寄せたところでかわされ、さらに後ろから追いついて、体を寄せてボールコントロールを妨げようとします。

　43分、田坂選手に後ろから足をすくわれて、FKを得ます。満男選手は、座り込んだまま右のストッキングをおろして、足首の少し上の辺りをチェック。そこを蹴られたのでしょう。立ち上がった満男選手ですが、明らかに足を引きずっていて痛そうで、少しのあいだ、満足には走れません。それでも、カウンターになると、ボランチの位置まで全力で走って戻ります。後半になってからは、入ってきた熊谷選手を高い位置に上げ、下がり目にいる回数も多い感じです。

　47分、セレッソのカウンターに、守備に駆け戻った平瀬選手が、自陣ゴール前で相手選手を倒してFK。ボールのすぐ後ろには、キン選手とユン選手並んで立ちます。そのさらに後方に、大久保選手が。壁の横に立った満男選手、ダッシュの構えをして、試合の再開を待ちます。キン選手がボールを横に出した瞬間に前に飛び込んでいく満男選手。ユン選手が止めたボールに、大久保選手が走り込んでキックした瞬間、スライディングで、そのボールを弾き返します。

　ホイッスルが鳴って、後半終了。延長戦に入ります。満男選手は、トレーナーの方と少しだけ声を交わすと、クーラーボックスからペットボトルを出して給水。そして、ベンチコートをはおると、ピッチに座ります。アイシングを行ったり、ドクターのチェックを受けたりはしていないので、どうやら、足は大丈夫そうです。ゴロンと仰向けに寝ころぶ満男選手。そのあと、うつぶせになったり、立ち上がって手をついて、片足をもう一方の足首の上に乗せるストレッチをします。座っている満男選手に、イッカさんが近づいて、何やら話しかけています。作戦伝授しているのでしょうか。円陣を組む前に、まだ出番のない、本山選手が近づいてきて、満男選手の背中を、何度も叩き励まします。試合に出たい本山選手の気持ち、満男選手も感じていることでしょう。

　延長にはいるとき、大柴選手に代わって、2年前までアントラーズにいた真中選手が入ります。

　アントラーズのボールでキックオフ。鈴木選手、いきなり、ハーフライン上から、ロングシュートを狙います。この距離からは、あまりシュートを打たない鈴木選手、イッカGKコーチのアドバイスは、ロングシュートを蹴れということだったのかも。残念ながら、シュートはバーを越えていきます。

　4分、左サイド中田選手から、ペナルティエリア内へのスローイン。競り合いの中で、ペナルティエリアの中、左寄りにいた満男選手の目の前にボールがこぼれます。すかさず、左足でシュート。強いボールがワンバウンドしてゴールに飛びますが、GK正面でした。

　左サイドで、後方の中田選手からのパスを受けた満男選手、ドリブルで上がります。キム・ドグン選手を交わすと、足の着いていかないキム選手、しりもちをつきます。

　6分、本田選手に代わって、本山選手が投入されます。入ってきた本山選手は攻撃的MFの位置に。満男選手は、1つ下がって、左のボランチの位置に入ります。守備もしっかりできることを買われての、ボランチ起用ですが、正直、満男選手の攻撃のセンスは、この位置では充分には生きません。元気な熊谷選手に、上がりをまかせて、守備面を重視した動きをしたこともあって、この後、攻撃面ではほとんど目立たなくなってしまいます。

　8分、ユン選手が満男選手を倒してファール。この2人のマッチアップは続いています。

　13分、大久保選手についたファビアーノ選手、ファールを取られて審判に抗議、セレッソの選手へのカードを要求して、イエローカードを出されます。興奮して、審判を取り囲むファビアーノ選手、ビスマルク選手、本山選手などアントラーズの選手たち。満男選手もやってきて、審判に抗議します。どうやら、絡んでいた二人とは離れたところでファールがあったと言っているようです。取り合わない審判に、さらに詰め寄ろうとする3人を、満男選手は胸を押して、押しとどめ、なだめます。

　15分、左サイドをドリブルで上がろうとする大久保選手、満男選手、素早く駈け寄ってボールを奪います。

　アントラーズペースで試合を進めながらも、ゴールを奪えないままに、延長前半終了。すぐにサイドを入れ替えて、後半の開始です。歩きながら、熊谷選手と満男選手は何か話しています。ゲーム途中から、急に組むことになったボランチの、位置関係の確認でしょうか。それから、満男選手は、手を叩いて、他の選手を鼓舞します。手を叩いているだけではありません、大声で、みんなに声をかけ続けています。その近くには、やはり、手を叩き、声をかける中田選手の姿。1年間で、すっかり軸の選手に成長した、21歳の2人の姿です。

　攻め込むアントラーズ。分厚い攻撃を仕掛けますが、ボランチの位置で守備に備える満男選手は、そこに上がっていくことができません。本当にもったいない場面です。

　9分、満男選手が大久保選手を倒してファール。違うポイントから、FKがスタートされたことに怒って、審判に抗議します。

　11分、足がつってしまったセレッソ山内選手に代わって、以前、ジュビロにいた久藤選手が入ります。

　13分、左サイドをドリブルで上がる満男選手、しっかりと中を見て、隆行選手に合わせてセンタリング。DF2人に挟まれた隆行選手、ボールを頭に当てることはできませんでしたが、素晴らしいクロスでした。

　15分、左サイド、ライン際でDF2人に囲まれ、股抜きで抜こうとした満男選手ですが、失敗、ボールを奪われて、相手に当たられ、倒れてしまいます。この前にも、いくつかミスパスのあった満男選手。すっかり足にきてしまっているようです。

　16分、相手陣内中央の左サイドで、熊谷選手からボールを受け、そのまま右に上がっていく熊谷選手に出したパス。ミスパスになって、相手にカットされ、カウンターを仕掛けられてしまいます。思わず、両手で頭を抱えてしまう満男選手です。

　17分、自陣内で、ボールを奪った満男選手、転びそうになりながらも体勢をたち直し、左サイドの本山選手にロングパスを送ります。左のスペースでボールを受けた本山選手、絶妙のクロスを上げますが、飛び出してきたGKにキャッチされ、隆行選手が触ることができません。

　直後にホイッスル。満男選手はセンターサークルの中で、ピッチに倒れこみます。その横を通り過ぎる真中選手、声をかけながらでしょうか、満男選手の胸を、ポンポンと叩いていきます。しばらくして、体を起こした満男選手、口に芝が入ったのでしょうか、手で取っている様子です。

　ゆっくりと立ち上がって、列に向かう満男選手、主審に何か抗議している様子ですが、どうやら取り合ってはもらえないようです。

　礼の後、少し他の選手から離れたところを、疲れた様子でゴール裏に向かう満男選手に、キム選手と、西谷選手、そして、久藤選手選手が近づいてきて声をかけます。久藤選手は、満男選手が靱帯を痛めてしまった、一昨年のファーストステージのジュビロ戦以来、もしかしたら、ピッチで顔を合わせるのが、初めてだったのかもしれません。

　満男選手は、ゴール付近まで近づくと、サポーターに軽く片手を上げて、ゴールの手前を帰っていきます。他の選手のように、ゴール裏に近づかなかったのは、体調がいっぱいいっぱいだったせいでしょうか。メインスタンドに近いところで、平瀬選手と並び、本山選手と言葉を交わします。

　試合のペースを握りながらも、セレッソに勝つことができず、次節のジュビロ戦は、優勝争いに残っていくために、絶対に落とせない試合になりました。体の切れは戻っても、まだスタミナ面で不安の残る満男選手ですが、体調の回復とともに、コンディションは上向き。普段よりも、さらに気合いが入るジュビロを相手に、どんないいプレーを見せてくれるのか楽しみです。