2001/5/12(Sat)

　前日は、最高気温が10℃くらいだった札幌。一転して、晴れ上がったスタジアムは、初夏のような陽気です。札幌市内では、今季初のホームゲームとなるこの試合。コンサドーレサポーターが競技場を埋め、2万人ほどが収容できるスタジアムが満員です。アントラーズサポーターは、アウェイ側ゴール裏の1画、1/3位のところに隔離されています。

　ホーム側、第2ゲートの下でストレッチを行ったアントラーズの選手たちが、アップのためにピッチに出てきます。満男選手の様子は、ようやく、元に戻ってきたかなという感じ。だるすぎる様子でもなく、かといって、緊張した様子でもなく、安心して見ていられます。ビスマルク選手と組んでの、ストレッチとパス交換。ちょっと、スパイクが芝に引っかかるような感じが気にはなりますが、パスの精度はいいようです。

　ビスマルク選手は、パス交換の途中で、いつものように里内コーチに手伝ってもらって、入念なストレッチを始めます。相手のいなくなった満男選手は、ゴールへシュート。ボールはポストギリギリ左にそれてしまって、ボールボーイに投げ返してもらうと、ゴールのすぐ近くから、シュートを打って、ネットに当たって跳ね返ってくるボールを、またシュート。何回も繰り返します。しばらくして、それにも飽きたのか、今度はリフティングです。

　ダッシュが終わると、真っ直ぐに引き揚げていく満男選手です。

　アップ前や、ハーフタイムにも登場したチアガールたちが踊り終わると、選手入場です。スタジアムの観客が一斉に、入り口で全員に配られた小ぶりの膝掛けを、頭の上にかざします。スタジアムの全周が、赤と黒の横縞に染め分けられ壮観な光景。そのあと、バックスタンドにはビッグフラッグが広げられ、ホームのゴール裏には、SAPPOROと白い人文字が浮かび上がりますが、入場を終えて1列に正面を向いた選手たちには、見えなかったのではないかしら。

　写真撮影を終えて、いつものように、落ち着いて歩いていく満男選手は、背中をすっきりと伸ばしたいい姿勢。アウエイの白い長袖のユニフォームを着ています。

　フィールドの交換はなく、不規則な風の吹くスタジアムで、前半は、アントラーズが風上から攻めることになります。

　相馬選手、中嶋選手、本山選手、ファビアーノ選手、羽田選手、高桑選手の6人が重傷で試合に出られない上に、今、チームの中で最も調子のいい、名良橋選手、柳沢選手の2人を出場停止で欠くアントラーズ。GKとDFは、秋田選手以外、経験の少ない選手ばかり。ベンチには、ボランチが2人にて、苦しいやりくりを感じさせます。

　2時過ぎにキックオフ。右サイドのライン際、苦しい態勢でボールを受けると、何とかキープしようとする満男選手。相手が蹴り出して、アントラーズのボールになります。

　3分、センターサークルの前辺りから、DFラインの裏を狙って、鈴木選手にパスを出しますが届きません。

　6分、ビスマルク選手が、競り合いで後ろから押され、倒されます。担架が入りビスマルク選手が乗るまで、少し離れたところで様子を見ていた満男選手ですが、外に出されることになったところで、水を飲みに向かいます。

　中田選手がインターセプトしたボールを、相手選手をジャンプしてかわして拾った満男選手。一気に右サイドライン際を上がり始めた熊谷選手のスペースに、パスを出します。

　アントラーズ、なぜかロングボールを一気に前線に入れる攻撃が多く、なかなか形になりませんが、早いリスタートなど、らしさも見せてくれます。

　12分、ビスマルク選手からの横パスを受けたフリーの満男選手、ゴールから30メートルくらいのところから、グラウンダーのシュートを放ちますが、やや弱くなってしまい、ゴール左にそれます。

　左サイドから、平瀬選手が上げたDFの裏を狙った縦パスに、満男選手が走り込みますが、GKに直接キャッチされてしまいます。

　中盤が作れず、リズムがつかめないアントラーズです。背後に森選手につかれた形で満男選手に中田選手からのパスが入りますが、パスの出しどころを探して下がるうちに、押されて前に倒され、ボールの上に倒れます。左足のカカトを押さえる満男選手。交錯したときに蹴られたようで、審判に訴えます。

　15分、ゴール正面、30メートルほどの距離から、強いロングシュート。これは、バーの少し上でした。

　ハーフラインの10メートルほど前から、中央、裏のスペースに平瀬選手を走らせるスルーパスを出す満男選手。残念ながら、オフサイドです。

　さっきと同じくらいの、やや左寄りの位置から、右サイド裏のスペースに、大きな展開の美しいパスを出す満男選手。平瀬選手がコーナー付近で追いつき、ドリブルで中に入りますが、クリアされ、CKになります。

　右サイド、フリーで駆け上がる選手の前に体を入れる満男選手。ぶつかって倒してしまい、ファールになります。

　後ろから入ったパスに、素速く振り向いて、DFに寄せられながら、前の隆行選手にパスを出す満男選手。後ろに転がるように倒れながらの、得意の正確なパスです。

　中田選手が出した短い距離の横パス。完全なミスパスになって、カウンターの危機になります。先週の試合、出場停止だった中田選手ですが、この後も、ミスパスがあり、調子が戻ってきていないようです。

　21分、FKのこぼれ球、平瀬選手が中央に戻したところを、満男選手、今日3本目のミドルシュート。20メートルほどの距離ですが、これは、わずかに右に外れます。

　コンサドーレの攻撃は、素速くゴール前にボールを入れてくるという感じ。アントラーズは、DFラインが若いために混乱してしまうのか、何回かピンチを招きます。

　ゴール前の混戦の中で、足を蹴られた内田選手。担架で、いったんピッチの外に出ますが、大事はなかったようで、ピッチに戻ります。

　26分、隆行選手が短く戻したパスを受けた満男選手、芝に足を取られたのか、バランスを崩し、尻もちをつくように後ろに転びます。すぐに立ち上がって、後ろにボールを戻します。芝は、短く刈り込まれているようですが、アップの時から、足が引っかかる様子でした。スタジアムで見ているときには、はっきりと分からなかったのですが、TVの画面で見る限りでは、かなり荒れているのではないでしょうか。

　GKがボールを持つと、いつも真っ先に動き出す満男選手。高桑選手の時には、そこにボールが出てくることは、まずなかったのですが、曽ヶ端選手は、その満男選手を見てフィードしてきます。ボールを離すまでの時間も、曽ヶ端選手の方が早い感じです。

　28分、ボールを追っていて、また、前に手をつくように転んでしまう満男選手。すぐに立ち上がると、ボールを追いかけて、猛烈とダッシュします。芝の具合は、かなりプレーしにくそうで、コンサドーレにも、転んでしまう選手がいました。隆行選手と2人で、相手選手からボールを奪う満男選手です。

　32分、平瀬選手が持ち込んだボールを、ゴール前、隆行選手がシュート。GKが弾いたところ、ビスマルク選手がシュートしますが、バウンドに合わせられず、バーに弾かれます。決定的なチャンスを逃してしまうアントラーズです。

　右サイド、満男選手が出したサイドチェンジのパスを受けた根本選手、隆行選手に預けて上がっていこうとしますが、隆行選手がDF2人がかりでつぶされます。いつも、体の強いところを見せてくれる隆行選手ですが、コンサドーレDFの力ずくの守備で、なかなか、うまくポストプレーができません。

　フリーキックになる度に、周囲の選手にポジショニングの指示を細かく出す満男選手。経験の少ない選手が多いため、かなり気をつかっている感じがあります。

　左サイド、駆け上がる相手選手につく満男選手。ライン際、ファールにならない程度に体を寄せますが、抜かれてしまいます。

　ペナルティエリアの右端、5メートルほど手前で、隆行選手が倒されて得たFK。満男選手と中田選手が、ボールの前に立ちます。中田選手が左足で蹴ったFKは、枠に行きますが、GKにキャッチされてしまいます。

　中田選手の後ろからのパスを受け、前を確認すると、右から左に走り込む平瀬選手に、軽く浮かせた巧いパスを通す満男選手。残念ながら、シュートまでは行きませんでした。

　左サイド、根本選手のスローインを、背中にDFを背負って受けた満男選手、ボールを高く浮かせて、自分の後ろに出し、すぐに体を返します。ボールは、隆行選手の足元に入りますが、後ろのDFにつぶされてしまいます。

　43分、ビスマルク選手から受けたパスを、左足でトラップした満男選手、右足に持ち替えようとしますが、ビジュ選手に足を払われます。倒れたまま動けなくなった満男選手を見て、アントラーズの選手たちが一斉にボールを外に出すように、手を横に上げて示します。根本選手が蹴り出して、関ドクターがピッチに駈け込みます。

　満男選手は、左足のスネを抱えています。前の試合でも、かなり気にしていたところです。担架に乗せられ、ピッチを出る満男選手。しばらくすると立ち上がって、ピッチに戻りますが、直前まで、うつむいてスネを気にしています。

　3分のロスタイム。満男選手が左足で浮かせて蹴ろうとしたボールは、ミスキックになって、そのまま相手選手に渡ってしまいます。さっき、左スネを痛がっていたことの影響があるのでしょうか。

　ちょうど、満男選手にボールが渡ったところで、前半終了のホイッスルが鳴ります。ボールを、審判の方に蹴って上がっていく満男選手です。

　若い選手が多いと言っても、技術的には、コンサドーレに、優っているアントラーズですが、形を作れないままに前半が終了。気温が高いことといい、ちょうど1年前の、サンフレッチェ戦を思い出してしまいました。あの時は、後半になって柳沢選手に一発レッドが出て、負けてしまったのですけど。

　ハーフタイムが終わって、ピッチに出てくる選手たち。満男選手は、ベンチに出てきたセレーゾ監督に呼ばれて、通訳の鈴木さんから、指示を受けます。ロッカールームで、指示は出ているはずですが、セレーゾ監督、思いついたら言わないと気がすまないのかもしれません。遅れて、円陣に入る満男選手。今、受けた指示のことなのか、身振りを交えて秋田選手と話をします。

　後半は、アントラーズペースになります。きっちりと中盤を作ってボールを回す選手たちです。

　3分、ビスマルク選手にパスが入るのを見た熊谷選手と、満男選手、いっせいに前に走り出します。ビスマルク選手からのパスは、右サイドの満男選手に通ります、ワンタッチで、GKの手前にクロスを入れた満男選手。熊谷選手がスペースに走り込みますが、一歩合わず、ボールに触ることができなくて、GKにキャッチされます。

　中田選手が倒れて得たFK、倒れた中田選手にみんなが集まるあいだに、満男選手はポイントにボールをセットして立ちます。ゴール正面、やや右寄り、25メートルくらいの距離の、満男選手の得意な場所です。

　満男選手の目の前に立ち、ボールを遠いところに足で動かすビジュ選手。満男選手は、ビジュ選手を押して引き離すと、押し返してくるビジュ選手には見向きもせず、腕で押し留めながら、審判に声をかけます。さらに、満男選手に頭突きをするビジュ選手。主審が、それを見ていないため、満男選手は、大声で副審を呼び、抗議します。その後も、今の状況を、冷静に主審に抗議する満男選手。こんな挑発に乗る選手ではありません。

　このFKは、やはり満男選手が蹴りますが、直接、壁に当たってしまいます。こぼれ球を中田選手がシュート。これは、バーの上です。手を頭にやって、悔しそうな満男選手です。

　攻められて、ゴール前の混戦、ペナルティエリア近くまで守備に戻っていた満男選手は、ボールがクリアされ、味方選手が持つと、即座に前に駆け上がります。隆行選手の落としたボールに、スピードを落とさずに走り込んで、右足で巧くトラップすると、左に開いていた平瀬選手にパス。平瀬選手はペナルティエリアに入って、DFを股抜きして進もうとしますが、GKにキャッチされます。

　ペースをつかんでいたアントラーズですが、8分、相手左CKから、ウィル選手のヘディングで先制されてしまいます。

　得点が決まったあと、満男選手は、ハーフライン方向に行きかけて、またゴールの方に少し戻っていきます。今日、初先発でゴールを守る曽ヶ端選手に、声をかけたのかもしれません。

　ビスマルク選手のFK、満男選手は素速く走り出します。左サイドでパスを受け、上げたクロスは、平瀬選手に届かず、DFにクリアされます。

　相手のパスミスから中田選手、ビスマルク選手と短く早くつないで、ハーフライン上、中央よりやや右寄りで満男選手がボールを持ちます。一気に、前に進む満男選手。ペナルティエリア内、ゴール正面、やや左寄りまで、DFを引きつけながら走り込むと、ループシュートを放ちますが、これは、やや高く、右側に外れます。よく前を見て、狙ったシュートです。でも、なかなか得点の入らない展開のために、こちらがそういう目で見てしまうせいか、自分が決めるんだという気負いを感じてしまいます。

　ピッチに倒れているアントラーズの選手のすぐ側を、ドリブルで駆け上がっていくコンサドーレの選手。満男選手は、体を寄せて走ります。ボールが外に出されることなく、コンサドーレは攻撃を続けますが、ようやく、アントラーズボールになり、ボールが外に出されます。

　17分、根本選手に代わり、本田選手が入ります。1対1でも、積極的にドリブルを仕掛けていっていた根本選手ですが、危ないゾーンでのミスでピンチを招いてもいました。左サイドには、替わりに中田選手が入ります。

　この時、熊谷選手がトレーナーの人に、薬を塗ってもらったようです。右足の内転筋辺りでしょうか。ケガが治って、前々節から試合に復帰している熊谷選手ですが、まだ、本調子ではないようです。

　ヘディングで競り合ったアウミールが、倒れた体の上に、そのまま落ちてきて、満男選手、主審に抗議しますがファールにはなりません。

　20分、ウィルを倒したということで、金古選手にイエローカードが出ます。累積3枚目。次節は出場停止です。

　アントラーズゴール前、ヘディングで競り合ったボールのこぼれ球を、相手選手がフリーで受けようとするところに、満男選手が、すかさずスライディングして、クリアします。さらに、その球を拾われ、つながれますが、オフサイドになります。

　左サイド、ライン際を上がった中田選手が、熊谷選手にボールを戻します。パスを受けた途端に前を見て、満男選手がペナルティエリア内、やや右寄りに手を上げて走り込むのを確認した熊谷選手、走り込みにぴったりと合わせたパスを出しますが、惜しくもGKにキャッチされてしまいます。勢いがついて、そのまま、GKの上を飛び越していく満男選手です。

　このプレーの直後の25分、熊谷選手に替わって、青木選手が入ります。

　26分、ビスマルク選手が下がって受けたボールを、左サイドで、縦に平瀬選手に出します。ワンタッチで渡されたパス、満男選手のトラップは少し大きくなりますが、奪いに来たDFに巧く体を寄せ、1回転するようにボールをキープ、タイミングを計って、後ろから走り込んできたビスマルク選手にパスを出します。ペナルティエリアの端からビスマルク選手が放ったシュートは、DFのあいだを抜け、ゴールの左端に突き刺さります。流れの中からの美しいシュート。満男選手のアシストです。

　28分、隆行選手が胸で落としたボールを拾った満男選手、ドリブルで前に進むと、平瀬選手にスルーパスを通します。ペナルティエリア内でパスを受けた平瀬選手ですが、シュートを打てません。

　カウンターになって、最前線に走り込んでいる満男選手。ワンツーで、平瀬選手に出したパスは、相手に読まれカットされます。相手ボールを奪おうと、全速力で駆け出す満男選手。ビジュ選手にアプローチしたところで、思いきり手で押され倒されます。なぜか、このプレーがファールにならず、満男選手、芝を叩いて悔しがります。

　この後も、コンサドーレの選手が、腕で突き飛ばすことが続き、主審に抗議する満男選手です。

　攻め込まれて、クリアボールを拾う満男選手。相手選手が寄せてくるのを見計らって、逆方向にトラップしてかわします。そして、もう1人のDFがスライディングに来る、ギリギリのコースを、速いパスを隆行選手に通し、そのまま、前に駆け上がります。

　攻め込んで、戻されたボールを受けた満男選手、黄川田選手に右足首を蹴られ、倒されます。黄川田選手にはイエローカードが出されます。

　左サイドで、平瀬選手が奪われたボールを持って上がるビジュ選手。パスを受けようと、ダッシュするアウミール選手に満男選手が、素速く駈け寄ります。アウミール選手がパスを受けると、切り返しについていって、前からボールにアプローチ、交錯して倒れながらも、足でボールを蹴って、味方につなげます。

　右サイドでボールを持った相手選手にアプローチして、シュートコースを消す満男選手。しかし、後ろで、うまくパスカットすることができません。この辺りが、今年のアントラーズの守備の不安定さを示しているようです。

　42分、平瀬選手に替わって、長谷川選手が入ります。

　44分、ビスマルク選手とのワンツーで、ペナルティエリア左端に進んだ満男選手、切り返して完全にDFを外すと、長谷川選手にクロスを上げますが、クリアされます。

　左サイドを駆け上がるアウミール選手を後ろから追う中田選手。アウミール選手のふくらはぎを踏みつけてしまい、レッドカードが出されます。そして、審判に抗議したビスマルク選手には、即座にイエローカードが示されます。ビスマルク選手も、累積3枚目のイエローカード。これで、2人とも、次の試合には出場できなくなりました。

　交代枠を使い切っているアントラーズは、内田選手を左サイドに回し、青木選手が右、ボランチに満男選手が入りますが、バタバタとしてしまいます。

　ビスマルク選手が左サイドから上げたクロス、長谷川選手がヘディングで落としますが、走り込んだ満男選手は間に合いません。

　そして、48分、ウィル選手がペナルティエリアに入り、やや外にドリブルで進もうとしているところを、秋田選手がスライディングタックル。ウィル選手が倒れてPKになります。

　まるで、もうゴールが決まったかのように喜ぶ、コンサドーレの選手たち。満男選手は、キッカーのウィル選手の真後ろに構えます。

　PKが決まって、2-1。もう時間がありません。ゴールから、大きくボールを蹴り出す曽ヶ端選手。満男選手は、前線に長いボールを入れますが、FWに合いません。

　そして、51分。長いホイッスルが吹かれて、試合終了です。センターサークルの中央にいた満男選手は、そのまま立ちすくみます。

　一礼が終わると、アントラーズのゴール裏に向かい、深々と頭を下げる選手たち。満男選手は、ゆっくりと歩みを進めると、いつも通り、軽く片手を挙げ、去っていきました。