2001/6/23(Sat)

　今日は、夜にカシマスタジアムでF・マリノス戦。朝9時からの練習は、試合に出場しない選手だけの練習です。

　満男選手は9時20分くらいに、ロッカールームの扉を開けて、ウインドブレーカーをかぶりながらの登場しました。ちなみに、この日は、満男選手が出てくる直前まで日が差していて、上着を着ていては、少し動いただけで汗をかくくらいの暑さ。すごく不機嫌そうな顔をしていて、外が眩しいせいかとも思ったけど、このあと、ランニングだったから、きっと眩しかったためだけではない気がします。ウインドブレーカーの裾をきちんと下げないで、だらしない格好で歩いていて、歩きながら、裾が、自然に落ちてくるから、とっても妙な感じです。

　近道をして、鹿ガーデンの前、見学席のあいだから、柵を越えてグランドに入り、Aグランドの真ん中を突っ切って、みんなが練習しているBグランドに向かいます。わざと大きく腕を振って歩いたりしてるのだけど、明らかに、腕の曲がり方が、右と左で違います。10日前に見たときよりは、ずいぶんよくなっているものの、左ひじは、まだ十分に曲げ伸ばしすることができないようです。

　50メートルくらい進んだところで、二つのグランドの境目の端の方にいた関ドクターが、ポーン、ポーンととボールを2つ満男選手の方に蹴ってくれます。満男選手、それを蹴り返しながら、関ドクターの方に向かいます。

　関ドクターのところに行くと、手伝ってもらってストレッチ。いつもは他の人に手伝ってもらうことは少なく、マイペースで、しっかりとストレッチしている満男選手ですが、今日は、ちょっと勝手が違います。関ドクターに、ぐいぐいと押されています。立ったまま開脚しての前屈なんて、ドクター、背中を思いっきり押してます。

　そして、2人並んで走り始めるドクターと満男選手。去年の8月、やっぱり満男選手のケガで、カシマスタジアムでの試合の朝のサテライトの練習を見学に来たときも、関ドクターはコーチや選手と走っていたので、きっと、試合当日のランニングは、関ドクターの日課なのでしょう。今日は、満男選手の練習メニューがランニングと聞いて、出てくるのを待っていたのに違いありません。さっき、ぐいぐいと満男選手を押していたのも、早く走りたかったせいかも。でも、フィジカルトレーニングの時は、いつも、不幸そうな顔の満男選手だから、一緒に走ってくれる人がいれば、気も紛れるし、うれしいでしょうね。

　満男選手は、他の選手たちが練習している方向に向かって、大きく腕を上げて「時計!」と叫びます。コーチに時間を計ってもらうように頼んでいるのでしょう。こういう時、ちゃんと腕時計をはめてきて、自分で時間を計りながら走る選手もいるのだけど、満男選手は、コーチに頼むことが多い気がします。アクセサリーが嫌いという満男選手、腕時計もうっとうしいのかもしれません。

　A・B・Cグランドの周囲、一番大きくグランドを使って、比較的ゆっくりなペースで走ります。見学席の前を通ったとき、関ドクターが「1人で来るんだけど、ダイジョブかな」と言って、満男選手は見学席の方をちらと見てました。視線を前に戻してから、もう一度、チラッと見てたんだけど、関ドクターの言葉とは関係なかったかも。

　最初から苦しそうな顔の満男選手だったのですが、途中から急にピッチを上げて、関ドクターを引き離します。逆側で見学していた方の話では、里内コーチに、ペースが遅すぎると指摘されていたとか。わたしは、てっきり、最初はゆっくり、途中からペースを上げて走る予定だったのだと思っていたのですが、そうではなかったようです。さすがにJリーガーの意地を見せた満男選手、ペースを上げてからは、みるみる関ドクターとの間隔を開けて、あっという間に周回遅れにしていました。

　その後もペースを落とさず走っていた満男選手、30分ほど経ったところで、里内コーチから終了の合図をもらいます。ひざに手をついて、ぐったりと疲れた様子。もう何もしたくないといった雰囲気が漂います。でも、すぐに休むことは許されないようで、里内さんから合図をもらって、手首のところで心拍数を計ります。計り終わって、「45!」と叫ぶ満男選手、ゆるゆると里内さんのほうに戻っていきます。

　たどり着く前に、里内さんから、「180!」と声をかけられる満男選手。15秒の心拍数が45回。1分に計算すると180ということだったのでしょう。多分、時間を計ってもらうだけでなくて、その計算も里内さんにやってもらったのではないかしら。しかも、満男選手が近くに戻ってくると、なぜだか、手を取って、脈を計り出す里内コーチ。満男選手の計測は信用してないのかしら。それとも、少し時間が経ってから、もう一度計り直さなければならなかったのかな。でも、ともかく、手間がかかる満男選手のランニングなのでした。

　全体練習は、ポジションごとに別れたフィジカルトレーニングをやっていて、満男選手は、クーラーボックスのところに行くと、そこに座って、その様子を眺めます。ゆっくりとシューズの紐を結び直したりしながら、関ドクターやスタッフと話しています。穏やかな、落ち着いた笑顔がみられます。

　そして、一息ついてから、引き上げていく満男選手。トレーナーの人も、一緒に引き上げていって、満男選手がロッカールームから出てきたのが、それから1時間後と、普段よりかなり遅めだったので、多分、室内でトレーナーの人に手伝ってもらってリハビリをしていたのではないでしょうか。聞くところによると、腕の曲げ伸ばしをするリハビリは、かなりつらいそう。見学のわたしたちには見えないところで、がんばっていたのだと思います。

　私服に着替えてロッカールームから出てきた満男選手は、グランドのほうに向かいます。リカルド・フィジオセラピストに、何かを伝えに行ったよう。ごく短時間ですが、通訳もなく2人で話をしていました。2人とも、晴れやかな笑顔で、順調にリハビリが進んでいるのだろうなと、思わせてくれました。