2001/8/11(Sat)

　3週間の中断期間を経ての、2ndステージの開幕戦。鹿嶋は朝から激しい雨が断続的に降っていたそうですが、試合開始時には曇り空。その後も、ハーフタイムに、パラッと雨が降った程度でした。気温は低く、風もあって、Tシャツ一枚では寒い感じです。

　5時半から、ワールドカップのファン・サポーター販売チケット半券応募の公開抽選会が、社長、セレーゾ監督と選手全員で行われます。監督以下、選手たちは、ラフな私服姿で現れて、こういうところ、すごくアントラーズっぽい感じです。みんなが、ずらりと並んて、抽選箱から、1枚ずつ半券を取り出していくのですが、始めに引いた社長や監督が手を突っ込んで、奥の方の半券を取って行ったのに対して、選手の真ん中くらいの順番で引いた満男選手は、全く、選ぶふりも見せず、あっさりと一番上の半券を選んで行きました。

　7時少し前に、選手入場。アントラーズの選手たちが先に登場。続いて、コンサドーレの選手たちが登場します。アントラーズは、3日前のナビスコカップで、秋田選手、中田選手がレッドカードをもらい、この試合、出場停止。スターティングメンバーは、曽ヶ端、名良橋、羽田、ファビアーノ、アウグスト、熊谷、本田、小笠原、ビスマルク、柳沢、隆行。一方、コンサドーレも、得点源のFWウィル選手と、キャプテンの野々村選手をケガで欠いています。

　7時4分に、アントラーズボールでキックオフ。柳沢選手が、そのまま中央をドリブルで上がり、シュートを放ちます。積極的な攻めに、歓声が上がります。満男選手は、ゆっくりとした走り出し。少し、抑え目の立ち上がりなのかもしれません。

　2分には、FKのこぼれ球に名良橋選手がスライディングでシュート、惜しくもGKがキャッチ。

　ビスマルク選手と自由にポジションを代わりながらの満男選手。開始早々に左側に来ます。試合中、左寄りにいた方が多かったでしょうか。

　6分、柳沢選手が倒されて得たFK。ゴール前中央、25メートルほどの、直接狙える距離です。満男選手は、ボールをセットする、アウグスト選手、ビスマルク選手の少し後ろに立っていましたが、ボールが蹴られる直前に、壁の方に向かいました。そして、このFKをアウグストが蹴って、ゴール右端にきれいに決めます。アウグスト選手は、バックスタンドに向かって、大きく両手を上げてパフォーマンス。試合開始直前に、バックスタンドから飛んだ「アウグスト!!」の声に、手を上げて答えていたのですが、その声援へのお返しだったかもしれません。

　相手のセットプレーの度に、大声を張り上げる満男選手。特にアウグスト選手に対しての、マークの指示が多いようです。

　10分、くさびのパスを受けた柳沢選手、満男選手に落として上がろうとしますが、意図が合わなかったのか、ミスパスになり、相手ボールになってしまいます。

　羽田選手からのロングパス。満男選手にぴったり合いますが、トラップが大きくなり、相手に取られてしまいます。満男選手に軽く接触して相手選手は倒れます。満男選手は、主審にダイビングをアピールしますが、認められません。

　コンサドーレは、1トップの播戸選手以外が、低めに位置して、プレッシングをしない、押さえ気味の立ち上がり。自分たちの守っているゾーンにパスが入れられたときに、いっせいに取り囲い込んでボールを奪います。この時間帯くらいからは、特に、最終ラインから2列目までの距離が狭くなって、全くスペースがなくなります。満男選手は、このゾーンでの、ワンタッチの速い攻撃を減らし、確実にパスを回すようになったように思えます。

　11分、左ライン沿いで、アウグスト選手の切り返しに、芝がごっそりとはがれ、アウグスト選手は転びます。ピッチに水が浮いたりは全くないのですが、かなり湿っているのでしょう。そのせいか、アントラーズの選手たち、少しボール扱いにとまどっている感じがあります。満男選手も、ミスが見られ、途中、足を滑らすシーンもありました。

　柳沢選手がワンツーを狙って満男選手にパスを入れますが、満男選手が戻したパスをDFに狙われて、カットされてしまいます。

　コンサドーレは、1点のビハインドでも、全く試合を急ごうとしません。ボールがタッチを出た時に、足元にあるボールを投げて、スローインの選手に渡したりも、全くしない徹底ぶりです。

　16分、右サイドで2人のDFにライン際に追いつめられる満男選手。2人のあいだを通して、鈴木選手にパスを出します。いつも通り、落ち着いたプレーです。そこで隆行選手が倒されて得たFK、ビスマルク選手は、ゴール正面右寄りにいた満男選手に横パスを出します。満男選手は、左足でシュートしますが、当たりが弱く、ゴール左にそれてしまいます。

　コンサドーレは、カウンターを狙って播戸選手にいいボールが入りますが、ミスパスも多く、助かる場面も多くあります。

　19分、柳沢選手に入った縦パスを、すぐ近くで受けた満男選手、出しどころを探しながらボールをキープ、DFが詰め寄るタイミングでビスマルク選手にパスを通します。

　22分、右サイドで熊谷選手がボールを持つと、全速力で手を上げながら、ファーサイドのゴール前に駈け込んで行く満男選手。ニアの隆行選手にパスが出てオフサイド。満男選手、ちょっと悔しがります。

　この時だったか、満男選手、右サイドでクロスを上げた選手に、自分がファーにいたことを知らせようと、プレーが途切れたあと、手を上げます。その選手が、全然、こちらを見てくれなくて、3〜4回、手を上げて合図を送ったあと、さらに、中央の方に進んで行って、大声を張り上げて伝えていました。こういう、細かい確認が重要なのは分かるけど、すごい執念。伝えたいことは、キッチリ伝えないと気がすまない満男選手です。相手の選手は、名良橋選手だったと思ってたのだけど、熊谷選手だったのかしら。見間違えることはないと思うのだけど。

　左サイドを深くえぐられアウグスト選手が対応します。相手が苦し紛れに蹴ったボールがルーズボールになったのに、満男選手、すかさず飛び込んで自分のボールにします。相手選手を正面にして、満男選手、右足から、左足にボールを持ちかえてすぐに、ライン際を上がったアウグスト選手にパス。細かいプレーですが、うまいとスタンドもわきます。

　23分、右寄りで熊谷選手からボールを受けた満男選手、周囲の状況を見て、パスコースを探しながら、細かくステップを踏みます。まるでダンスをするような見事な足さばき。ワンタッチ目に右足の裏でボールをコントロール、体の下に入れると、ステップを踏みながら、左ひざの内側辺りでボールコントロールしたのですが、全く足元を見ないままです。完全にボールを支配下に置いている雰囲気が素晴らしくて、すごく好きなシーンになりました。そして、2人のDFの動いている間、ごく狭いところを通してのビスマルク選手への横パスです。

　25分くらいから、満男選手が、下がり目の位置にいることが多くなります。

　28分、左サイドから、逆サイドでフリーで手を上げていた熊谷選手へサイドチェンジ。ぴったりに飛んでいきます。

　29分、ビスマルク選手からのパスを後ろ向きで受け、前に向こうとした満男選手、足を滑らせて倒れそうになり、ビジュ選手にボールを奪われます。思いっきり取り返しに行く満男選手、ビジュ選手がスピードを落としたところで、スルリとボールを奪います。

　そこから、自分でそのままドリブルで横に進み、前を確認、わずかに方向を変えると、右足のアウトサイドで、DFの裏に、柳沢選手を走らせる絶妙のスルーパス。GKと1対1になった柳沢選手ですが、シュートはGKの足に弾かれてしまいます。

　31分、左ライン際のビスマルク選手のFK、中央の満男選手へ横パス。満男選手、右足でシュートを打つが浮いてしまいます。

　35分、柳沢選手に入ったロングパスを満男選手に落とし、満男選手、左サイドに柳沢選手を走らせるパスを出しますが、DFの方が一歩早く、クリアされてしまいます。

　36分、バックラインがボールを奪って、熊谷選手から満男選手へ繋がってカウンター。満男選手、いったんはDFの足に当たってはね返ったところをさらに自分のボールにして、前に進みますが、2人のDFに囲まれて奪われてしまいます。前線、柳沢選手へのパスのタイミングを計っていたと思いますが、残念なプレーでした。

　44分、ビスマルク選手からの横パスを受けた満男選手、すばやく動くと、前線、柳沢選手へパスを出すふりをしながら、ゴール前30メートル付近から右足でシュートを狙いますが、これもバーをこえてしまいました。

　ロスタイムは2分。DFラインを下げ、自陣に入ったまま全くプレスをかけてこないコンサドーレに対し、満男選手は、ハーフラインの10メートルくらい後ろで、他の選手とパスを回しながら、挑発するようにボールをキープします。30秒くらいもそうしていたでしょうか、じれて、ボールを奪いに来たビジュ選手が、後ろから満男選手を倒し、ファールになります。

　バックラインからのパスを、ヘディングで前にそらし、柳沢選手につなげようとする満男選手。面白いプレーでしたが、残念ながら、これは相手選手にカットされてしまいます。

　相手右サイドの森下選手にボールが入った瞬間に、パスコースを読んで、背後から山瀬選手に近づく満男選手。山瀬選手にパスが来た瞬間に体をかわしてカットします。そして、自陣内でパスを回すうちに前半終了。

　引き上げていくとき、満男選手は、ユースの時に仲がよかったという播戸選手と交差するようにすれ違いましたが、特に言葉を交わすことはなかったようです。

　後半開始前、ピッチに出てきた満男選手は、隆行選手と声を交わします。両ももを伸ばすストレッチをしながら、笑顔で話をしています。

　開始早々、右サイドの満男選手からの、サイドチェンジのパスに、アウグスト選手は追いつけません。

　コンサドーレの選手の足元に来るファールが多くなり、柳沢選手、隆行選手が倒れて、ボールが外に出されるシーンが続きます。なかなかペースのつかめないアントラーズです。

　4分、速いパス回しをしていたアントラーズですが、攻め上がったところでボールを奪われ、アントラーズの右サイドからカウンターになります。、ドリブルで上がる和波選手に、羽田選手が対応しますが、そのままシュートを打たれ、ボールはゴール右隅に突き刺さります。

　8分、ファビアーノ選手に対するファールについて、横から出ていったビスマルク選手が抗議、イエローカードが出されます。

　そして、このあと、コンサドーレのチェックは、もっと激しくなって、立て続けにイエローカードが出されます。

　ゴール前、ビスマルク選手のFKは、横パスで満男選手に。満男選手、右サイドを狙いますが、DFにヘディングでクリアされます。そのこぼれ球を名良橋選手が拾い、すかさずクロスを入れましたが、シュートに結びつきませんでした。

　左サイドで、裏のスペースに出したパス、アウグスト選手が追いつきません。

　15分過ぎくらいから、アントラーズのペースになってきました。

　左サイド、アウグスト選手、隆行選手、満男選手とつながったパス、オーバーラップしたアウグスト選手にぴったりと満男選手がパスを出します。

　23分、ハーフラインの5メートルほど後ろから、左足で放ったロングボールは、ゴール前の、GKとDFのあいだに落ちますが、そこにはアントラーズの選手は誰もいません。右サイドにいた柳沢選手を狙ったのでしょう。

　24分、センターサークルの前から、右サイドに名良橋選手を走らせるパス。ぴったりに届きますが、シュートに結びつきません。

　25分、羽田選手からのパスを自陣左寄りで受けた満男選手、中央を見ながら、柳沢選手の左に開く動きに合わせて、ハーフライン付近から、長いパスを入れます。

　27分、相手陣内中央で、柳沢選手とのワンツーを狙って、パスを出した瞬間に走り出す満男選手。柳沢選手のパスと合わず、DFに取られてしまいます。柳沢選手とのコンビが、あまりうまくいかない感じです。

　31分、ビスマルク選手の右CK、羽田選手がゴールの真ん前で、いったんは真下に落としてしまったボールを、すかさず右足をふり抜いてゴール。1点勝ち越します。アウグスト選手に乗りかかられ、もみくちゃにされる羽田選手。満男選手は、みんなの輪が解けて、羽田選手が歩き始めた頃に、トコトコと近づいていって、笑顔で頭をペシと叩き、祝福します。

　そして、自陣に戻りながら、アウグスト選手に話しかける満男選手。手で小さくしているジェスチャーは、上がりのタイミングのことなのか。アウグスト選手も分かっている様子です。それにしても、いつも思うのだけれど、何語で話しているのでしょう。

　32分、ゴール前30メートルくらいのところでボールを持った満男選手、右足で強く打ったのですが、詰めて来たDFに直接ぶつけてしまいます。

　そして、34分、ハーフライン付近で、スライディングタックルでボールを奪ったビスマルク選手、ゴール前左寄りの柳沢選手にパスを出します。その瞬間、ゴールに向かって一直線に上がって行く満男選手。20メートルほどを走って、柳沢選手が中央に落としたボールを、そのまま、右足でゴールの左、サイドネットに突き刺します。スタジアムもわき、満男選手も座ったままで片手を上げ、笑顔で、隆行選手や熊谷選手の祝福を受けたのですが、最初にパスを受けた、柳沢選手のポジションがオフサイド。右ライン沿いの審判が、旗を上げ続けていました。

　いい組み立ての攻撃でしたし、あれだけのスピードで走りながらのゴールは、なかなか決められるものではないと思われるだけに、ものすごく惜しいプレーでした。

　38分、隆行選手に入れたパスをカットされたところ、満男選手、すぐにボールを奪い返しに行き、体を寄せ、あきらめずに付いていきます。そこからのパスを後ろの本田選手がカットします。

　40分、隆行選手がパスカットしたのを見て、ハーフラインの10メートルくらい後ろから、上がってくる満男選手。柳沢選手、ビスマルク選手とパスが渡り、柳沢選手へのラストパスは惜しくもカットされますが、ゴール前まで、満男選手は詰めて来ています。

　ずっと、引いてカウンターを狙っていたコンサドーレですが、この時間になると、やや前がかりになってきます。

　43分、熊谷選手が相手を倒してFKを与えますが、ビジュ選手のグラウンダーのキックを、曽ヶ端選手がしっかりキャッチします。

　44分には、2枚目のイエローカードで森下選手が退場になります。

　そして、ロスタイムに入って、担架で外にでたビスマルク選手が、主審に許可なくピッチに戻ったということで、イエローカードをもらってしまいます。主審に対しての異議で、すでに1枚目のイエローをもらっていたビスマルク選手、これで退場です。アウグスト選手、隆行選手、満男選手が主審の側に行って、抗議します。アウグスト選手は、副審か、第4の審判の方を指さして、許可があったとアピールしているようです。いったんは、判定を受け入れていたビスマルク選手が、主審に詰め寄るところを、満男選手は、手で制して、主審と話をしますが、やはり受け入れられません。

　次のエスパルス戦は、2ndステージ優勝に向けてのポイントになる重要な試合。この退場の重さを、ビスマルク選手だけでなく、他の選手もすぐに感じたでしょう。ホイッスルが吹かれて、勝ちが決まっても、喜びをあらわにする選手は、全くいません。思うような戦いができなかったことを、もどかしく思っているような表情です。

　一礼がすむと、満男選手は、ひざに手を当てて、腰を屈めます。5月12日のコンサドーレ戦以来の、3ヶ月ぶりのフル出場。しかも、中2日での試合で、疲れが来たのでしょう。播戸選手と素っ気ないほどの、タッチを交わして、スタンドに挨拶に向かいます。ホームゲームでは、いつもバックスタンドにも挨拶をするのですが、みんな忘れていったんゴール裏に向かい、名良橋選手1人が、バックスタンドに向かうのを見て、思い出したようにそちらに従います。満男選手は、ストッキングを下げ、スネ当てを手に持っています。途中で、軽くストレッチ、やはり、かなり足に疲れが来ているようです。

　そして、いつも通り、ゴール裏に向かうと片手を上げて挨拶、引き上げていきました。

　ケガからの復帰2試合目の満男選手、まだ、運動量と強いキックの精度が、戻っていないようです。どちらも、すぐには上がってこないでしょう。早く、調子のいいところを見たいけど、もうしばらく待たなければいけないようです。

　それでも、満男選手、魅せるプレーをしてくれました。3点目の幻のゴール、惜しかった。