芝生日和

紹介日和-PROFILE 情報日和-NEWS 縁側日和-BBS 波乗日和-LINK

home

2001/8/18(Sat)

2nd 第2節 エスパルス戦

 晴れたり曇ったりの天気のこの日、日本平スタジアムには、強風が吹いていました。風向きはアウエイ側ゴール裏からホーム側に。小高い山の上にスタジアムがあるせいか、上に吹き上げていきます。半袖では、涼しすぎる天候です。

 今年の猛暑のせいで芝が病気になったらしく、ピッチのかなりの部分が茶色になっています。スタジアムは最近、子どもの大会に使われたということで、一回り小さいピッチのラインが、消えかけになって残り、そのライン沿いに、芝がごっそりとはがれてしまっていて、足がかかって危なそう。開場してから、ピッチでは、4〜5歳くらいの子どものサッカー大会、ワールドカップのチケットの抽選会、チアガールのダンスと、盛りだくさんなイベントがあったのですけど、余計に芝が荒れそうで心配になります。

 アップのためにピッチに出てきた満男選手も、足元にボールを置くと、他の選手に向かって、芝が悪いから引っかかって進まないよといった感じのジェスチャーを、3回も繰り返します。ゴール裏の高いところを指さして、他の選手と見上げながら話をしたり、アップが始まる前には、本山選手、秋田選手と、軽くパス回し。アップ中、ストレッチの時には、野沢選手と顔を近づけて、話し込んでいます。試合前のアップでも、ボールが側にあれば、つい引き寄せてしまう満男選手。仰向けになるストレッチで、1人ボールを枕にして、すごく気持ちよさそうに寝転がります。

 黄色いビブスを着けた、FWと2人の攻撃的MFのシュート練習。球出しはセレーゾ監督です。新スタジアムでは、アップを外で行わないので、復帰後に、アップを見るのは、10日前のレッズ戦以来。その時は、ボールが足に着かない感じがあったのですが、今日は、絶好調。トラップもキッチリと収まりますし、シュートも決まっています。

 苦手エスパルスに対するこの試合、ビスマルク選手が出場停止。本田選手が肉離れで出場できず、右ひざ痛の熊谷選手と、ももに打撲を負った名良橋選手が、無理を押して出場せざるを得ないという苦しいチーム状況。さらに、あとから分かったことですが、中田選手は38℃の熱を押して出場していたそう。いつもの遠征には、ベンチ入りメンバーの他に1人だけ選手が帯同するのですが、今日は野沢選手、松島選手の2人が付き添っていて、それだけでも、選手のコンディションがきわどいことが分かります。

 アップが終了して、上がって行く足元に、ボールが1つ転がっています。いつも、シュートを打って上がって行く満男選手が、今日に限って、ポーンと、ゴール前にいる本山選手の足元にぴったりのパスを出します。あとから思えば、これは、この日の象徴的なシーンでした。ビスマルク選手に代わって入った本山選手と組み、2列目に入った満男選手は、この試合ではシュートは1本だけ。ピッチの真ん中でボールをさばき、2人のFWや本山選手を走らせて、得点のひとつ前のプレーをすることに徹したのでした。

 試合開始の前に、メインスタンド下に出てきて選手入場を待つ満男選手は、列に並びながら、右ももの後ろを触ります。張りが出やすいところなので、ちょっと気になります。

 そして、手を動かしながら、本山選手と話しをします。両手に握りこぶしを作って、左のこぶしを前に出し、右のこぶしを脇の方に引きます。そして、今度は右を前に出して、左を脇に引きます。自分と本山選手の位置関係を、確認してるのでしょうか。1人が攻撃で中央高い位置に出ていったときに、もう片方が、バランスを取って低い位置で開くイメージ。今日の布陣、満男選手が引き気味にはいるのではなく、2人が同じ高さに入りそうです。

 チアガールたちがフラッグで作るトンネルを通って選手入場。アントラーズ側で集合写真を撮るのは、アントラーズのオフィシャルカメラマンの櫻井さんと、もう1人の女性だけ。メインスタンドの下が狭いせいでしょうか。

 日本平のお客さんは、年齢層が高くて、落ち着いた雰囲気。サッカーになじんでいるという雰囲気が伝わります。

 アントラーズボールで試合開始です。前半、風上になったアントラーズ、隆行選手は、風を利用するかのように、いきなりロングシュートを放ちます。ゆっくりと動き出す満男選手。やはり、2列目の右に満男選手、左に本山選手が、同じ高さに並ぶフォーメーションです。

 2分、満男選手が低い位置で、フリーでボールを持つと、エスパルスの選手が背後から走り込んで体当たりし、ファールになります。さっそく厳しく来た選手は、戸田選手でしょうか。

 3分には、戸田選手を隆行選手が倒し、早々にイエローカードをもらってしまいます。

 エスパルスの中盤は、どことなく緩くて、はっきり目が覚めてないような印象。第1節が延期になり、ナビスコカップもなかったエスパルス、2ndステージになって、これが最初の試合だということが影響しているのでしょうか。

 ビスマルク選手がいないので、CKキッカーは満男選手です。6分、アントラーズの最初のCKは左から。満男選手の上げたボールは、風にも乗って、ファーサイドのいい位置に行き、味方選手がヘディングシュートを放ちますが、DFにヘディングでクリアされます。

 このプレーの後で、本山選手と左右の位置をチェンジ、満男選手は左寄りになります。

 8分、ルーズボールを受けようとした満男選手を市川選手が手で止めてファール。満男選手は、すかさずプレーを再開、右の本山選手にパスを出します。

 その後、曽ヶ端選手からのフィードが、フリーの伊東選手に渡ってしまいますが、満男選手、本山選手と挟んで、うまくボールを奪います。そして、すぐに右サイドの隆行選手を走らせるパスを出しますが、隆行選手、うまくクロスを上げられませんでした。

 9分、エスパルスに攻め込まれますが、シュートはGKがキャッチします。

 市川選手からのスローインが、伊東選手に渡ったところを、すかさずタックルに入る満男選手。スルリと体を前側に入れるようにしてボールを奪うと、右の本山選手にパス、そのまま全速力で前方に走り出します。本山選手から、走る速度に合わせて帰ってきた、ぴったりのパスを受けると、ペナルティエリアの左から、右足でクロスを上げます。これは、DFにクリアされましたが、魅力的な攻撃でした。

 12分、隆行選手からのパスを前向きで受けた満男選手、DFの裏のスペースにパスを出そうとしてミスパスになります。DFのクリアボールが短くて、満男選手の目の前に落ちてくるところを、すかさずボレーシュート。反応の速い、意表をつくシュートでしたが、大きくゴール右にそれてしまいます。

 ルーズボールに満男選手とヘディングで競った澤登選手、背中から乗りかかるように満男選手を倒し、ファールになります。

 13分、左、高い位置からのFK、ファーサイドにスライスするボールを蹴りますが、これは相手に直接渡ってしまいます。

 手を使って、大声で周囲にコーチングする、いつも通りの姿も見られます。

 14分、パスコースを読んで、うまくボールを奪う満男選手ですが、パスミスで自陣内の危険な位置で、相手にボールが渡ってしまいます。ここから、相手左サイドのアレックス選手にパスが通り、クロスを上げようとするところを名良橋選手がクリア、CKになります。

 このCKから、クリアボールが自陣内の本山選手の前にこぼれ、今度はアントラーズのカウンターです。ドリブルで駆け上がる本山選手、名良橋選手も全力で上がると、ハーフライン付近で本山選手とクロスするように、左側をゴールに向かって上がって行きます。本山選手は、ディフェンスラインの右のスペースに隆行選手を走らせるパス。隆行選は、DFに囲まれてクロスを上げることができず、フォローに来た満男選手にバックパスします。満男選手が、ワンタッチでグラウンダーのパスをペナルティエリア内に送り、ニアサイドで名良橋選手が相手と競りながらボールをキープ、ペナルティエリア内、中央まで駈け上がって来た熊谷選手につなぎます。熊谷選手、すかさずシュートしますが、これはGKにキャッチされてしまいました。

 スピーディーで気持ちのいい攻撃だったのですが、名良橋選手と熊谷選手が同時にペナルティエリア内まで上がったことで、続くエスパルスの攻撃に対して、右サイドの最終ラインに満男選手が入ることになってしまいます。エスパルス戦では、アレックス選手に対する対策として、右サイドの高い位置では満男選手と名良橋選手、低い位置では熊谷選手と名良橋選手がペアになって、数的優位を作る形にしているアントラーズなのですが、この時、上がって来たアレックス選手に対応できるのは、満男選手1人。エスパルスは、すかさずそこにボールを入れてきます。

 ライン際でアレックス選手と1対1になり、アレックス選手が縦に抜けようとするところを、体を寄せて、一瞬ユニフォームをつかむ満男選手。ユニフォームを離した瞬間にアレックス選手が倒れホイッスル。満男選手は、引っ張ってないよと両手を上げてアピールしますが、これはファールです。

 互角以上に戦っていたアントラーズですが、アレックス選手が蹴ったこのFKを、市川選手に押し込まれ、先制されてしまいます。

 これで、チームのムードが少し悪くなったでしょうか。心なしか、満男選手の足取りも重く見えてしまいます。

 19分、左コーナー付近からの満男選手のFKは、ニアに飛びますが、直接クリアされてしまいます。

 21分、右サイド低い位置での澤登選手のFK。本山選手と満男選手が壁になりますが、澤登選手は、左にパスを出してきます。とっさに反応して走り始める満男選手。本山選手は、一瞬、動きが遅れます。こういうところの集中も、いつも通り高い満男選手。対して、本山選手は、セットプレーの時や、フリースローを受ける動きなど、少し頼りなく思える場面もあります。

 22分、中田選手からのパスを相手選手とぶつかりながら受けた満男選手。うまくコントロールしてカーブをかけたパスを出し、本山選手に通します。

 23分、最終ラインの手前でパスをカットした中田選手、縦に満男選手にボールを送ります。センターサークルの左でパスを受けた満男選手、ディフェンスラインの左に30メートルほどのパス。柳沢選手が受けて、アウグスト選手につなぎますが、シュートには結びつきませんでした。

 このプレーで得た右CK。満男選手は大きく、ゴールから遠ざかるようなカーブのかかったボールを蹴ります。ファーサイド、遠いところで味方の頭には合いますが、こぼれてしまいました。

 25分、クリアボールをダイレクトで名良橋選手がロングシュート。枠に飛びますが、GKにキャッチされます。

 26分、ゴールライン際からの柳沢選手のクロス、DFにクリアされます。ゴールラインを割ったボールを持った柳沢選手、CKを蹴りに来る満男選手を待つあいだに、ヘディングで軽くリフティング。まるで、鹿嶋のグランドで見るようなリラックスした様子に、1点差をつけられた不利な状況にいることを、一瞬忘れてしまいます。

 左からショートコーナーを使う満男選手、アウグスト選手が上げたクロスは、GKが直接キャッチします。

 29分、隆行選手に蹴ったパスが、相手選手の手に当たり、ファールをアピールする満男選手。審判がホイッスルを鳴らします。

 今日、何回目かのトラップミスをするアウグスト選手。練習中には見事なクロスを上げているのですが、この試合では、クロスの精度も今ひとつ。その代わり、ディフェンスでは経験を感じさせてくれます。

 30分、柳沢選手の突破を、足の前に体を投げ出すようにして止める森岡選手。痛んで担架が入ります。長い距離を走って、審判に話しに行く満男選手。熱くなっている様子ではありませんが、抗議し、確認している様子です。

 32分、相手DFラインから前に送られたボール、ミスパス気味になったところを、満男選手がパスカットすると、2タッチ目で、すかさず右に開いた柳沢選手にパスを送ります。ニアサイドに隆行選手が寄っていくのを見て、ゴール前に走り込む満男選手。クリアボールが高く上がったところを、ヘディングで競りますが、シュートにはつながりません。

 33分、ルーズボールを戸田選手に拾われ、奪いに行く満男選手。前に立ちはだかる満男選手を抜こうとして、戸田選手は自分から倒れてしまいます。倒れながらも止めようとして、手で満男選手を引っ張って倒してファール。満男選手に対しての強いマークの意識は感じられますが、この試合、戸田選手に関しては、ほとんど怖い印象はありませんでした。

 左サイド、アウグスト選手が倒されて得たFK。アウグスト選手がポイントにボールを置いて、蹴りたそうなそぶりですが、満男選手は譲りません。ゴール前に蹴り込む満男選手。中田選手に合わせたボールですが、GKがパンチング。クリアされて目の前に流れてきたボールを拾った満男選手、今度は低く速いクロスを、手を上げてゴール前に走り込む柳沢選手に出しましたが、これは、クリアされてしまいます。

 このクリアボールがアレックス選手の目の前に落ち、満男選手はダッシュしてアプローチ、パスの出る瞬間に足を伸ばして、ミスパスを誘います。これを拾ったアウグスト選手が倒され、こぼれてきたボールを満男選手、速い展開で、右サイドの柳沢選手にさばきますが、柳沢選手に渡ったパスは奪われてしまいます。

 36分、右CKは、やはりカーブをかけて、ニアサイドのポール近くへ。これはDFにクリアされ、満男選手のところにこぼれてきます。満男選手、低めのボールをニアに送りますが、これもクリアされます。

 37分、自陣中央で本山選手からのパスを、2人のDFに寄せられながら受けた満男選手、ワンタッチでボールを後ろに下げて、DFを1人外し、ついてきたアレックス選手を、鋭く切り返して抜くと、左足で、右サイドを上がった名良橋選手にロングパスを送ります。このボールをカットした古賀選手が、そのまま上がって行こうとするのを見て、右サイドの守備に入る満男選手。自陣深い位置のアレックス選手がボールを持ったところを、熊谷選手と2人で対応してサイドに出させ、アントラーズボールにします。

 39分、アウグスト選手から、左ライン沿いに出た縦パスを隆行選手が受け、中央に走り込んだ柳沢選手にパス。柳沢選手は、さらに右側に走り込んできた満男選手に速いテンポでパスを出します。満男選手、右足でトラップすると、シュートを狙いますが、コースがなかったのか、もう一度中央に戻し、柳沢選手がシュート。GKの左を抜いて、ゴールが決まったかと思ったのですが、ゴールの中にいた斉藤選手にクリアされてしまいます。これは、決定的なチャンスでした。

 ここで得た右CKは、隆行選手の頭に合いますが、シュートは左に外れてしまいます。

 41分、アントラーズのフリースローで、わざと遠くにボールを蹴った澤登選手に、非スポーツ的行為で、イエローカードが出されます。

 42分、足を痛めた中田選手が、いったん、ピッチの外に出ます。

 エスパルス最終ラインからのロングボール、ピッチ中央の久保山選手に渡ったところで、厳しくチェックに行く満男選手。アレックス選手、戸田選手とパスが渡るところをマークして、攻撃を遅らせる満男選手です。

 43分、澤登選手が、アントラーズ陣内で秋田選手とヘディングで競って、頭をぶつけて倒れます。痛がる澤登選手。担架が入ります。

 このあいだに、外に出ていた中田選手は、治療を終えて中に入ります。

 担架が要請されたために、いったんは乗って外に出なければならなかった澤登選手も、ラインを越えた時には平常に戻っていたらしく、外に出るとすぐ立ち上がって、ピッチに入ってきます。

 秋田選手のファールで、エスパルスのFKで試合開始。入ってきた澤登選手がすぐにパスを受け、クロスを入れます。これに気づいた、柳沢選手、満男選手が、澤登選手を指さして抗議しますが、プレーは続けられ、なんとかアントラーズがクリアしてプレーが途切れます。

 

 プレーが切れると、即座に審判に抗議に行く満男選手。ボールを奪うときのように、スルリと主審の前に体を入れると、話しかけます。ピッチの外に出た選手は、主審の許可がなければ中に入ることができず、無許可で入った場合はイエローカードになるはず。直前のコンサドーレ戦では、ビスマルク選手が全く同じパターンで2枚目のイエローカードをもらってしまい、この試合は出場停止。1stステージのジェフ戦でも、柳沢選手が同じ違反でイエローカードをもらっていて、さすがに選手たちはそれを見逃しませんでした。

 柳沢選手、熊谷選手たちも抗議する中、主審はイエローカードを準備しながら澤登選手に近づいていきます。第4の審判から許可をもらったと主張する澤登選手の言い分に耳を傾ける主審。満男選手は主審がイエローカードを掲げないのを見て、目の前に割って入って抗議します。あなたの許可が問題でしょうと言っているらしい、大きな身振りです。

 主審が、第4の審判の方に走って確認に行く後ろで、満男選手は、他の選手たちに、行こうぜ!と言ったふうに、手を下から大きく回して招きます。他の選手たちを引き連れて、小走りに第4の審判の方に向かって行く満男選手。ガキ大将を想像させる光景です。

 第4の審判に何を確認したのか、いったんは離れていく主審に、さらに選手たちは抗議。主審はもう一度第4の審判に近づいて話をし、ようやく澤登選手にカードを出します。2枚目のイエローで退場です。審判の優柔不断な態度に、今度はエスパルスの選手たちが治まりません。いっせいに抗議し、スタンドも騒然となります。3分以上の中断ののちに、プレーはようやく再開されました。

 ロスタイム終了間際、満男選手がボールを持ったところに、多分、久保山選手でしょうか、足で挟むようにタックルに入って、満男選手は倒されてしまいます。先ほどからのムードに影響されてしまったのでしょうか、危険なプレーです。

 ロスタイム終了。エスパルスサポーターの怒声の中、審判と選手たちは引き上げていきます。

 ハーフタイムには、チアガールたちのショー。そして、2ndステージ開幕を祝う花火が上がります。

 後半戦に向かい、ピッチに出てくる選手たち。満男選手と柳沢選手は、プレーのことでしょうか、何やら真剣に話をしています。

 円陣を組む前に、手を叩く満男選手。ピッチに出てから、シューズを直す癖のあるアウグスト選手を待ち、隣りに迎え入れて肩を組みます。落ち着いた様子です。

 両チームともメンバー交代なく後半開始。

 1人人数の少なくなったエスパルスは、攻め込まれる一方になります。開始早々から、満男選手は、立て続けに2本のクロスを上げます。

 3分には、本山選手を抜いたアレックス選手を、熊谷選手がペナルティエリア内で止めたところから始まって、こぼれ球を右サイドで拾った名良橋選手から、低い位置の本山選手、自陣中央の満男選手、ハーフラインまで駈け上がった名良橋選手、サイドチェンジで左サイドの柳沢選手、戻してアウグスト選手と、ワンタッチでパスがつながり、ボールを大きく動かす攻撃で、エスパルスを振り回します。

 5分の右CKは名良橋選手を使ったショートコーナー。コーナーキックも数が多く、満男選手は、いろいろな工夫を凝らします。

 7分、最終ラインの手前でボールをキープするアレックス選手にファビアーノ選手が対応、フォローに入った満男選手がボールを奪うと、右サイドを、前にドリブル、追うアレックス選手に背中につかれそうになると、縦に大きくグラウンダーのボールを出し、自分で走って追いつきます。自分で自分にパスを出す感じのプレーです。そして、サイドを変えて、左の本山選手に長いパスを入れます。

 8分、DFの裏のスペースに走り込む柳沢選手に縦パス。これはオフサイドになりました。

 10分、ゴール前でアレックス選手を熊谷選手が倒してFK。抗議に詰め寄る選手たちですが、遠くからゆっくりと歩いてきた満男選手は、壁に向かって指示を出すと、ポイントから少し離れていたボールを、わざわざ拾いに行き、アレックス選手の前に置きます。奇妙なくらい冷静な満男選手です。

 12分、FKを素早く始める満男選手。この辺りの抜け目のなさは、今日も冴えています。

 14分、アウグスト選手と満男選手のワンツーから、アウグスト選手が浮かせて出したクロスに飛び込んだ隆行選手、後ろから押されて倒れPKです。満男選手がポイントのところに立ちます。抗議をするエスパルスの選手たち。アレックス選手は、腹立ちまぎれに、ポイントのところの芝を荒らすように、足で強く蹴って行きます。満男選手は、それを審判に抗議します。

 PKは、満男選手が蹴るのではないかと見ていたのですが、隆行選手がやって来て、審判からボールを受け取り、セットします。離れていく満男選手。今日は、中心になってゲームを作っているだけに、蹴らせてあげたい場面でした。

 隆行選手がポイントを踏んで、ボールをセットしているところに、名良橋選手がやって来ます。隆行選手の真正面に立つと、両手で隆行選手の頭を持って、額がくっつかんばかりに顔を寄せて、力付けているようです。隆行選手が、少しナーバスになっていたのでしょうか。隆行選手のPKはGKにパンチングされてしまいます。

 弾かれたボールを、満男選手はゴール左で拾い、すかさずクロスを上げますが、クリアされてしまいます。

 この少しあと、DFのクリアボールに対し、足を高く上げて当て、ワンタッチで前線、本山選手に出す満男選手。これをカットされて、もう一度目の前に来たボールを縦に隆行選手に。これも、クリアされてしまいます。

 17分、アウグスト選手が左サイド高めの位置でボールを持つと、さらに外側を上がって行く満男選手です。

 18分、アントラーズ陣内、左サイドでのエスパルスのスローイン。中田選手がカットして、満男選手の前にボールがこぼれます。少し、後ろに下がる形でこのボールを受けた満男選手、市川選手に体を寄せられながら、ももでトラップ、肩で浮かせると、背後から体をつけられながら、右足で2回リフティング、最後に右足のかかとで浮かせると、ボールを自分の頭越しに背後に出し、その瞬間、反転して、市川選手をかわし、前に向かってドリブルで進み始めます。思わず満男選手を倒す市川選手、ファールです。

 このプレーには、アウエイのスタジアムが一瞬、静まりました。

 アントラーズの攻撃でペナルティエリア内走り込んだ本山選手、倒されて左の足首の辺りを痛めます。ここで、交代の準備をしていた長谷川選手が入って、本山選手と交代になります。ゴールラインがすぐのところだったので、四つんばいにはって出ることになった本山選手、痛々しい姿でしたが、その後の様子からするとたいしたことはなかったようです。

 久々のスタメンだった本山選手は、バランスに気を使ってプレーをしていましたし、いいパスも通していましたが、前線に出たり、ボールを持った時に、つぶされることが多く、ボールに触れる回数も、あまり多くはありませんでした。

 長谷川選手が入って、3トップになったアントラーズは、さらに攻め立てます。満男選手は、ファビアーノ選手へのバックパスや、熊谷選手への横パスなど、さばけるところは簡単にさばいていきます。

 21分、熊谷選手がカットしたボールを、すかさず、柳沢選手に30メートルくらいの縦パスを送る満男選手です。

 24分、ゴール前に飛び込みシュートを打つ名良橋選手。打ったあとでエスパルスの選手と交錯し、右足首を押さえて、転がり回って痛がります。担架で外に出された名良橋選手、治療が終わって、いったんはピッチに戻ろうと立ち上がったのですが、右足に体重をかけようとして、倒れこんでしまいます。ベンチに向かって×印が送られ、名良橋選手は、スタッフに両脇を抱えられてロッカールームの方に去っていきました。

 このあとしばらくは、10対10で試合が続きます。数的不利になっていないので、ベンチも交代を焦ってはいないようです。

 28分、中田選手と満男選手、2人で相手選手を囲んでボールを奪います。この辺りから、ルーズボールをことごとく拾えるようになり、圧倒的なアントラーズペースになります。

 29分、ゴール前でパスを回していたアントラーズ、満男選手が、浮かせたパスをDFの裏に。柳沢選手が抜け出しますが、これはGKが直接キャッチします。

 右サイドを上がった熊谷選手から、ゴール前の満男選手にパス。DFに体を寄せられながらもボールをキープした満男選手、クロスを上げる素振りを見せながら、右の熊谷選手にパスを送ります。

 ケガで退いた名良橋選手に代わって、平瀬選手が入ります。11対10の戦いとはいえ、FWが4人という極端な戦い方。、柳沢選手がポジショニングを下げ、1.5列目くらいの位置取りをします。

 30分、右のCKは、ファーサイドのアントラーズの選手の頭に合いますが、ボールはバーを大きくこえてしまいます。

 31分、左に開いてボールを受けた平瀬選手からのクロスを、DFがクリアして左CKになります。満男選手が蹴るゴールに向かってカーブのかかったボールを、ニアの秋田選手がヘディングシュート、ゴールの中にいたエスパルスの選手が、いったん弾き出したところに、長谷川選手が突っ込んで頭で押し込みゴール!! 待望の1点です。

 34分、隆行選手が左CKをショートコーナーにして、満男選手に蹴ります。満男選手が入れたパスは、ファーサイド、ゴールポストの前の長谷川選手に。高いヘディングで長谷川選手が落としたボールは、フリーの中田選手の目の前に落ちますが、中田選手の右足のシュートは、バーを越えてしまいます。これは、惜しい攻撃でした。

 35分、自陣中央でアレックス選手にボールが渡ります。駆け戻ってきた満男選手、アレックス選手がパスを出す瞬間に足を出してボールを奪います。ルーズボールを受けようとする選手の後ろから走り込んでボールを奪ったり、守備面でも効いた動きを見せる満男選手です。

 37分の右CKは、ニアに蹴ったのですが、これはミスキックでしょうか、短すぎてエスパルスの選手にクリアされます。

 38分、左サイドライン近くからのFK、アウグスト選手が自分が蹴ろうかと声をかけたのでしょうか、満男選手、右手を横に振って断ると、自分の胸を指さして自分が蹴ると伝えます。その間も、視線はずっとゴールの方向に。ゴールへのラインが見えていたのでしょう、満男選手は、ループシュートで直接ゴールを狙いますが、バーの少し上を越えてしまいます。後半に入っても、強い風が吹き続けていて、このボールは、向かい風を計算してのものだったのかもしれませんが、思うように落ちなかったようで、満男選手も走って戻りながら悔しそうな表情を見せます。

 40分、高い位置での右フリースロー。熊谷選手がボールを投げます。隆行選手、柳沢選手とパスが回り、右のライン際にいた満男選手に。満男選手は、いったんボールを下げ、アレックス選手がついて来たところを、すかさずターンしてマークを外します。前向きになり、ゴール前を確認する満男選手。右サイド高い位置にいた熊谷選手にパスを出すのではないかと、一瞬思ったのですが、満男選手の選択は、中央へのクロス。速くてのびのあるボールがゴール前に飛びます。ペナルティエリア内で体を投げ出すようにしたのは、アウグスト選手。見事なダイビングヘッドで勝ち越し点です。

 ゴール裏に向かってアピールするアウグスト選手。そこに長谷川選手が背中から飛びつきます。アウグスト選手のパフォーマンスの派手さに気おされたのか、他の選手が近寄らないところ、ちょっとのあいだその姿を見ていたように見えた満男選手、トコトコとアウグスト選手に向かって走り出します。自陣に向かって歩いて来たアウグスト選手を前から祝福するのかと思ったら、わざわざ後ろに回ると、背中に飛びつき、乗りかかる満男選手。前の試合で羽田選手がゴールを決めたときに、アウグスト選手が後ろから乗りかかったのが始まりだけど、アントラーズ選手の中では、おんぶがちょっとしたはやりになっているのかもしれません。満男選手がアウグスト選手に、体全体で「ありがとう!!」と言っているようなパフォーマンスでした。

 42分、柳沢選手に出したパスを、カットされると、すかさず守備に戻って、ボールを奪う満男選手です。

 43分、隆行選手に代わり、金古選手が入ります。

 44分、DFの裏のスペースに浮かせて出したパスは、平瀬選手と合いません。

 満男選手に対する、激しいチェックは最後まで続きます。ヘディングでボールを受けようとする満男選手に、伊東選手が後ろから乗りかかるようにして倒します。

 ロスタイムに入っても、満男選手は、前からのチェックに走ります。

 3分のロスタイムが過ぎて、ホイッスルが響き、試合終了です。キャプテンマークを巻いた秋田選手は、真っ先に大きく手を上げて、満男選手のところに走り寄り、ハイタッチを交わします。今日の満男選手がチームにどれだけ貢献したかを、示してくれるシーンです。苦手エスパルスに勝利した選手たちは、本当にうれしそうで、お互いに祝福し合っています。満男選手も曽ヶ端選手とハイタッチ。アウグスト選手と抱き合い、平瀬選手と両手でタッチ。金古選手とは叩くようにタッチを交わし、ファビアーノ選手とは握手します。

 一礼して、スタンドに両手を上げた満男選手。どっと疲れが出たのか、両ひざに手を置いて、下を向きます。そして、戸田選手や、市川選手と挨拶、そして、他の選手たちと一緒にゴール裏に向かいました。

 この勝利は、アントラーズにとって、とても大きなもの。そして、この試合は、満男選手にとっても、ものすごく重要な試合になったと思えてなりません。ケガから戻ってきて、完全復活した姿を見せたというだけでなく、ケガ前以上のキレで、今までで1番いい姿を見せてくれました。

 そして、満男選手、本山選手が組んで2列目に入ったアントラーズの中盤は、スピーディーで、運動量も多く、必要以上の時間稼ぎもなく、見ていて気持ちのよいものでした。11対10と数的優位に立った後半だけでなく、前半の始めから、ここにビスマルク選手がいてくれればと、一度も思わさせない試合運びに、これからのアントラーズが楽しみになりました。

(バックスタンドから観戦)

index 2001 <<<< previous << >> next >>>> next match

芝生日和

紹介日和-PROFILE 情報日和-NEWS 縁側日和-BBS 波乗日和-LINK

home