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2001/12/5(Wed)

 午前9時からの練習。ミーティングに約1時間。選手たちがグランドに姿を現したのは、9時50分頃です。

 真っ先に現れたセレーゾ監督は、1人ロッカールームの前にいた顔なじみの記者に、気さくに話しかけると、手をバシンと合わせます。チャンピオンシップ第2戦に向けての気合いが感じられます。

 3日前のチャンピオンシップ第1戦の試合終了直後、1人では歩けず、関ドクターに支えられてピッチを去った満男選手も、他の選手たちと一緒に、ロッカールームから出てきます。いつもと、特に変わった様子は見えません。

 今日の練習は、青々と芝の生えたAグランド。出てきた選手たちは、見学席から遠い、Bグランド寄りで、2人一組になってストレッチ。満男選手は、秋田選手と組んでいます。選手たちの顔は、普段よりも、やや静かな感じ。じゃれ合ったりする選手は見かけません。

 少し暖かさのある朝で、短パンの選手もいますが、満男選手は、長袖のウインドブレーカーの上下。ストレッチが終わると、次の練習までに、ちょっとリフティング。少しだけ渋い表情に思えます。

 別に練習をしているGK4人をのぞいて、ピッチに出てきたフィールドプレーヤーは、22人。羽田選手、中嶋選手、松島選手、根本選手、幸聖選手の姿が見えません。30分位してから、幸聖選手はリカルドフィジカルトレーナーと一緒に姿を現して、別メニューのトレーニング。羽田選手は私服でいるところを見かけましたが、他の3人の姿を、この日、見ることはできませんでした。

 ストレッチの後は、5〜6人組になってのパス回し。ボールを使いながらのアップです。

 少し目を離してしまっているあいだに、満男選手の姿が見えなくなっていて、気がつくと、グランドの隅に座って、トレーナーの方2人に、足をいじられています。ちょうど、トレーナーの1人の方の陰になっていたので、ちゃんとしたことは分からないのですけど、具合がよくないのは、足首か、ふくらはぎの辺りでしょうか。しばらく、見てもらってから、満男選手は立ち上がると、小走りに建物の方に向かいます。右足のウインドプレーカーの裾のチャックを開けたままです。

 満男選手は、3分ほどして、また、走って戻ってくると、練習に戻ります。どうやら、それほど大きなケガではなさそうです。

 戻ってきた満男選手に、本山選手がボールを蹴ります。満男選手も蹴り返して、パス交換を2回ほど。そして、慌ただしく、またアップを始めます。といっても、他の選手たちのメニューは進んでいるので、自分でリフティングをしたり、里内コーチにボールを投げてもらって、左右の足で、交互に蹴り返したり。1人で、ドリブルをしたりもします。

 建物から帰った満男選手は、特にコーチに状況を説明したりもしていなかったので、どうやら、この練習中に、急に起こったケガではなさそうです。元々、痛みか違和感があったのでしょうか。

 10時15分くらいになって、ビブス組と、ビブスなし組に別れて、フルコートに選手たちが散ります。ビブスなしは、柳沢選手、平瀬選手、満男選手、ビスマルク選手、熊谷選手、中田選手、名良橋選手、秋田選手、ファビアーノ選手、アウグスト選手の、チャンピオンシップ第2戦でのスタメンと思われるチーム。黄色のビブス組は、金古選手、山口、池内選手がDF。長谷川選手、本山選手の2トップ。それに、青木選手、本田選手、内田選手、相馬選手、野沢選手で、ジュビロを仮想した、3-5-2になっています。

 どちらのチームにも入らず、手持ちぶさたに見ているのは、隆行選手と小林選手。ミニゴールを背に立っている小林選手から離れて、隆行選手は、途中から、ベンチに1人座ります。その姿、ちょっと寂しげに見えました。

 選手たちがピッチに散ってから、関塚コーチの長い説明が続きます。なんだか、少し固い顔で聞いている選手たち。満男選手は、前の方で、じっと話を聞いているかと思ったら、途中で、両手で顔を拭うようにしてみたりします。

 左CBの池内選手がスローインして、練習開始。始まったのは、プレスの練習です。ビブス組がパス回しをしているところに、レギュラー陣がプレスをかけていきます。ライン沿いに追い込んで、縦につないだところを、パスカットという風に見えます。特に、満男選手のいる右サイドで、ボールを奪う形が多いようです。

 ビブス組に、ボールを回す順番の指示が出て、プレスをかける選手への、セレーゾ監督の声も響きます。

 去年のチャンピオンシップ第2戦の前、ちょうど同じ試合3日前の練習では、縦に速く攻める形の練習をしていたと思います。今年は、守備面が課題になっているよう。第1戦では、しっかりとプレスをかけてくるジュビロに、内容的にはやられてしまったアントラーズ、プレッシングの意識を統一しようとしているようです。

 10時半くらいに、今度は、コートの右半分に、2チームの選手全部が移動します。センターサークルの中央からボールを出して、攻め込まれたときの守備の練習です。奪ってからカウンターに移るためでしょう、FWの選手に、ボールを受けてすぐ十分なスピードが出せるように、DFとの距離を取るよう指示が出ています。

 この時間くらいに、幸聖選手がグランドに現れて、ランニングを始めます。隆行選手も、話ながら一緒に走ります。走っている幸聖選手に、ポーンとボールを出す満男選手。幸聖選手が蹴り返します。もう一度ボールを蹴る満男選手。これは、幸聖選手の後ろになってしまって、ちょっと無理という感じのジェスチャーをして、幸聖選手は走って行ってしまいます。

 10時45分くらいから、次の練習。練習に戻ってきた隆行選手と、満男選手は何やら話しています。

 秋田選手は、通訳を通して、セレーゾ監督と話。さっきの練習で、何か問題点があるのでしょう。秋田選手は、納得いかない顔で、話し続けています。

 この真剣な雰囲気の中でも、ちょっとふざけてみせる中田選手。休憩中に、ゴールの中のボールを拾うと、お尻を突きだし、パントキック。ボールを受けた金古選手が、ロングシュート。中田選手がGKになってキャッチしようとしますが、失敗します。

 秋田選手、ファビアーノ選手、金古選手、池内選手、中田選手、熊谷選手が黄色いビブスを着けます。サイド攻撃の形を作って、ゴール前で、2人の攻撃陣と、2人のDFが競り合います。センターサークルの中央から、山口選手、青木選手が球出し、サイドバックの選手がドリブルで上がって、コーナー近くからクロス、それ以外の選手が2人1組になってゴール前に飛び込みシュートを打つのを、ビブスを着けたDFの2人と、GKが防ぐという練習です。

 この辺りで、アウグスト選手、平瀬選手、本田選手が別メニューになったようです。アウグスト選手は、ダッシュとジョグを繰り返す、インターバル走。平瀬選手は、ダッシュのみを繰り返します。本田選手は、ジョギングです。スタメンの予想されるアウグスト選手、平瀬選手ですが、コンディションは大丈夫なのでしょうか。

 左サイドバックの選手が、相馬選手だけなので、左からクロスをあげる係には、本山選手が入ったり、野沢選手が入ったり。満男選手も、一度だけ、左からセンタリングをしています。

 右の内田選手は、足首の調子が悪いらしく、練習の途中でトレーナーさんに、ストッキングの上からテーピングをしてもらい、練習に戻ります。

 途中でDFを1人にして、練習は続きます。名良橋選手からニアに上がったクロス、受けた満男選手は、秋田選手と激しく体をぶつけ合って、キープしようとします。

 クロスに合わせて、山口選手と同時に走り出した満男選手、受けたボールをうまくGKを外して、山口選手にパス。山口選手のシュートが決まります。うれしそうに顔を見合わせながら帰ってくる2人です。

 11時10分くらいから、今度は、ペナルティエリアのラインより少し後ろ目にいる、SBがクロスを入れ、センターの選手が決める練習です。セレーゾ監督、関塚コーチがDF役になり、秋田選手、ファビアーノ選手、金古選手、池内選手のセンターバック組は、別に練習を始めます。監督が説明している合間に、野沢選手と満男選手は、笑顔で何やら話をしています。

 クロスが上がると、2人のFWがペナルティエリアに飛び込み、MFの選手も続きます。基本的には、前の2人にクロスを合わせているのですが、時に、「マイナス!」と声が飛んで、2列目の選手にクロスが入ります。

 そのパターンで、ペナルティエリアの中、ゴール真正面の位置から、満男選手が蹴ったシュートが、ゴールの上のネットを揺らして見事に決まります。迫力のあるシュートでしたが、それに続いて通訳の鈴木さんの声、「決まったけど、実際の試合では……」、遠くで声がはっきりとは聞き取れませんが、実戦を想定して、監督から、細かい指示が出ているようです。

 この練習の途中くらいでしょうか、ビスマルク選手が別メニューになり、コーチにストレッチをしてもらった後、ランニングを始めます。平瀬選手はスパイクを手に上がって行き、アウグスト選手も上がります。本田選手は、1人黙々と、腹筋を始めます。

 満男選手は、シュートを決めたあと、ゴールの中にあった2つのボールを、SBの位置に、1つは右、1つは左と蹴り返します。次の組の練習が始まって、ゴールから出るタイミングを失う満男選手。幸運なことに、次のクロスは、そのまま流れてゴールに入ってしまい、強いシュートは来ませんでした。ゴールから抜け出ながら、曽ヶ端選手のお尻を、ちょこんと叩いていく満男選手です。

 11時半くらいから、今度は、クロスに1人で飛び込んでシュートする練習です。DF陣の練習は終わって、ファビアーノ選手がCグランドでランニングを始めます。金古選手と池内選手は、パス交換をしています。

 上げられたクロスを、ヘディングでシュートする練習が続く中、満男選手は、自分の順番を待つあいだに、突然、右膝を着いて、片膝立で座ることが2回ほど。少し気になる動作です。

 11時45分、今日の最後は、PKの練習です。ゴールラインに、2つのゴールが並べて置かれ、2組に別れて行います。満男選手は、手前の組。関塚コーチが、本番さながらにホイッスルを吹きます。GKは加藤選手と阿江選手が交代で入ります。もう一つのゴールには、セレーゾ監督が着きます。

 満男選手は、少しの待ち時間に、いつものように、リフティングをしたり、ドリブルをしたり、片時もボールを足から離しません。マネージャーの明智さんが運んで来た、クーラーボックスが乗ったカートにボールをぶつけながら、リラックスした顔で話をしたりしています。

 満男選手は5本のPKを総てきれいに決めました。左右に蹴り分けていたけれど、どちらが多かったかは、ここでは内緒です。最後の2本は、全く同じコースに、きれいに決まりました。

 そして、少し離れていたボールを、野沢選手に蹴りかえすと、満男選手は上がって行きました。5本決めたら上がれることになっていたのか、他の選手も順番に上がって行きます。ほとんどの選手が、PKを外すことなく決めました。

 12時ちょっと前、満男選手は、ちょうどCグランドから上がってきたファビアーノ選手と前後するように、ロッカールームに入っていきます。

 チャンピオンシップのあいだの練習、グランドには、普段にはない緊張感があるように思えました。第2戦に向けて、ジュビロ攻略の糸口はつかめたのでしょうか。雲が広がる鹿嶋。練習中に、少しの時間だけ日が差しましたが、気温は上がらず、凍える練習見学になりました。

(Aグランド見学席より)

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