2002/3/9(Sat)

　新しいJリーグのイメージソングをBGMにボールボーイの紹介。サポーターの声が大きく響きます。ゴール裏には、4枚のビッグフラッグが広げられ、そのあと、新しく作られたインファイトの幟が2階席に林立します。フラッグがうち振られる中、新しい本山コールのお披露目。今年10番を着けることになった本山選手に対する期待が、ひしひしと感じられます。

　強い日差しが全面に照りつけるピッチに、選手たちが入場してきます。真っ先に、女の子の手を引いた秋田選手。誰も連れていない中田選手。子どもの手を引いた本山選手と柳沢選手。そして、満男選手は赤ちゃんを抱いています。特別なアナウンスはありませんでしたが、選手たちが自分の子どもたちともに入場しているよう。本山選手と柳沢選手が連れているのは、秋田選手の子どもでしょうか。アウグスト選手が手を引くのは、黒髪に少し浅黒い肌色の男の子です。アントラーズというチームの家族的な雰囲気がよく現れた、素敵な選手入場です。

　真っ赤な服を着て満男選手に抱かれた美海ちゃんは、とても可愛らしく、スタジアムの一種異様な雰囲気にも、カメラマンたちの焚くフラッシュにも、パパを信頼しきっているのか動じている様子はありません。横に並んだ金古選手が、笑いながら美海ちゃんの顔をのぞき込んでいます。柳沢選手に2001年のフットボーラー・オブ・ザ・イヤーを受賞したお祝いの花束が贈られたあと、赤ちゃんを抱いたまま、片手を上げて観客に挨拶する満男選手も、すっかりパパの表情です。

　美海ちゃんを支えて立たせてあげながら一緒に写真撮影をした満男選手。スタッフの男性に美海ちゃんを預けて、ピッチに出ていきます。美海ちゃんを迎えに来た、小柄な女性はママでしょうか。

　午後2時3分、エスパルスのボールでキックオフ。アントラーズは、ホームのゴール裏からアウエイ側に向けて攻めていきます。2列目には、満男選手が右、本山選手が左と並びます。

　足を痛めたファビアーノ選手の欠場で、今日のアントラーズのメンバーは、曽ヶ端選手、名良橋選手、秋田選手、金古選手、アウグスト選手、熊谷選手、中田選手、満男選手、本山選手、柳沢選手、隆行選手。

　エスパルスは、DFの斉藤選手が昨年からのケガで、そして、森岡選手が数日前に起こした肉離れの再発で欠場。ケガからようやく復帰してきた伊東選手は、まだ万全ではないのかベンチスタートと、ベストのメンバーとはかなり違いますが、いつも通りの3-5-2のフォーメーションです。

　前半1分、左サイドで本山選手がボールを持つと、前に走り出す満男選手。満男選手の動き出しを見て、本山選手が裏にパスを出しますが、うまく受けることができません。

　4分、ペナルティエリア付近まで上がっていた満男選手、右サイドから名良橋選手のクロスが上がると、ゴール前に3人の選手がいるのを見て、こぼれ球を拾うために後ろに下がります。DFのクリアボールが高く上がり、ちょうど、その満男選手の前に。すかさず左足でボレーシュート。ものすごい迫力のシュートでしたが、キャッチされてしまいます。

　ここで満男選手と本山選手は左右を入れ替わります。積極的に前に上がる満男選手は、先週の試合よりも体が動いているように思えます。

　5分、自陣でボールを持った満男選手を戸田選手が後ろから倒しファールになります。

　名良橋選手のクロスが、相手DFに奪われると、満男選手が体を寄せて止めに行きます。前から守備をする、満男選手の姿が目立ちます。

　8分、中田選手とのワンツー、隆行選手とのワンツーで中央を上がる本山選手ですが、シュートは打てません。

　9分、相手陣内左寄りで、吉田選手からボールを奪った満男選手、フリーで隆行選手にパス、隆行選手が足で落としたボールに本山選手が走り込みますが、シュートにはなりません。短く繋いだパスを受けた柳沢選手が、左からクロス。ファーサイドの満男選手は、胸トラップで落としてシュートを打とうとしますが、DFの体当たりで倒されシュートを打てません。満男選手の足が、DFに当たったためか、このプレーは満男選手のファールになります。

　この辺りで、満男選手が、また右になります。満男選手と本山選手の左右の入れ替わりもスムーズで、今日は特に、満男選手が中央に近い高い位置でプレーできていることで、チーム全体もうまく動いているようです。

　12分、左寄りで本山選手がボールを持つと、満男選手はファーサイド、高めの位置で、素早く手を挙げますが、本山選手はドリブルを選択、DFに奪われてしまいます。

　13分、平松選手からボールを奪おうと、思い切り詰める満男選手。平松選手は倒れますが、これはノーファールです。

　相手ボールになると、積極的に前に出て、プレスをかけに来る熊谷選手。アジアクラブ選手権では、足を痛めて欠場もあった熊谷選手ですが、今日はコンディションがよさそうです。ゼロックススーパーカップの影響で、第1節が出場停止になっていた中田選手も、お休みをした分だけ体調がよさそう。1週間、試合の間隔が開いたことで、アントラーズの選手全体のコンディションがよさそうで、気持ちがいいくらいに、前からプレスがかかっています。

　16分、相手左サイドでフリーでボールを持った三都主選手からクロスが上がり、ファーサイドで久保山選手がヘディング。高く上がったボールを曽ヶ端選手がキャッチします。

　18分、三都主選手の足元のボールに、斜め後ろから本山選手がスライディングに行きます。ルーズボールに飛び込んだ満男選手が倒れながらもボールをコントロールして本山選手へ、本山選手からの短いパスを受けた満男選手は、センターサークルの後方から、すかさず、センターサークルの前辺りにいる柳沢選手にスルーパスを出します。オフサイドぎりぎりでディフェンスラインの裏に抜け出した柳沢選手は、ドリブルで進むと、狙ってループシュートを放ちますが、GKにキャッチされてしまいます。満男選手の判断が早く、柳沢選手との息がぴったりと合ったシーンでした。

　22分、下がってボールを受けた柳沢選手からの短い横パスを受けた満男選手、左サイド背後のスペースに上がっていた熊谷選手に素早くパスを出します。今日も、熊谷選手の上がりを生かす満男選手です。

　その少し後、アウグスト選手の左からのクロスを、柳沢選手がゴール前フリーで受けますが、振り向きざまのシュートは弱く、GKにキャッチされてしまいます。

　23分、左サイドを上がった中田選手に、本山選手がためて出したパスは通りません。ゴールラインを割って相手ボールに。中田選手が戻る間、本山選手がボランチの左の位置に入ります。本山選手は守備面でやるべきことが、ようやく少し分かってきたようで、さきほどの三都主選手からボールを奪おうとしたプレーなど、積極的な守備も見られます。

　24分、三都主選手を手で倒して、熊谷選手がイエローカードをもらいます。FKの壁に入った満男選手は、戸田選手がボールを蹴るフリをしながら走り過ぎたのを見た瞬間に壁を崩して、戸田選手のマークに着きます。名良橋選手とともにゴールラインに追いつめ、ボールに触らせません。

　26分、DFのクリアボールを後ろから走ってきた中田選手が右足でミドルシュート。強いシュートでしたが、GK正面で止められます。枠に飛ぶシュートが多いアントラーズです。

　同じ26分、ドリブルで持ち込んだ本山選手は、前の選手を使わず自らシュートを放ちますが、ゴール右に外れます。

　29分、名良橋選手から、右に開いた柳沢選手に。柳沢選手のクロスに隆行選手が合わせようとしますが、DFにクリアされます。クリアボールを左サイドで拾った満男選手が、後ろの中田選手に戻し、中田選手がファーサイドの柳沢選手にロングフィード、柳沢選手がヘディングしたボールは、ペナルティエリア手前、ゴール正面にいた本山選手の目の前に飛び、本山選手は左足でボレーシュートを放ちますが、バーの上です。ゴールは決まりませんでしたが、分厚い攻撃でした。

　左ライン沿いでボールを持った満男選手、また戸田選手に後ろからのファールで倒されます。

　30分、大榎選手が隆行選手を倒して、イエローカードが出ます。これで得た少し遠い位置からの右FK、満男選手はペナルティアーク付近にいた本山選手に当て、本山選手が落としたところに名良橋選手が走り込んでシュートを打とうとしますが、DFに遮られます。

　33分、左サイドからのパスに、相手選手が前から走りこんできたのを見て、大きくまたを開いてスルー、真後ろの熊谷選手にボールを通します。相手をおちょくるような、満男選手らしいプレーです。

　序盤のアントラーズの攻勢から、やや動きが落ち着いてきます。

　35分、ハーフラインの15メートルくらい前で、名良橋選手のパスを受けた満男選手は、そのままドリブルで進み、自らシュートを打ちますが、ゴール左です。

　36分、左寄りの高い位置でボールを持った満男選手、4人のDFに囲まれ、倒されてFKを得ます。ファールを誘うプレーにも見えます。満男選手と中田選手がポイントに立ちますが、中田選手はその場を離れゴール前に入り、満男選手が蹴ります。蹴ったボールは、ピッタリとファーサイドの中田選手へ。2人で相談したのでしょうか。GKに直接キャッチされましたが、いいプレーです。

　37分、相手選手にプレッシャーをかけに行った満男選手と隆行選手、2人が絡んで、満男選手が倒れてしまいます。

　39分、曽ヶ端選手のゴールキックの時、柳沢選手、隆行選手と並んで、高い位置の右側に入っている満男選手を見て、本山選手が、右サイドから左サイドに小走りで移動していきます。満男選手が本山選手の位置を意識してバランスを取るだけではなく、本山選手が満男選手を見てバランスを取ることもできてきているようです。このあと、少しして、満男選手と本山選手はまた左右を入れ替わります。前半は、入れ替わりが、かなり頻繁ですが、満男選手が左にいる時間帯の方が長いようです。

　40分、三都主選手に左から上がられ、最後に平松選手のシュート。がっちりキャッチした曽ヶ端選手は、すぐに、左サイドの満男選手にフィードします。カウンターのチャンスに、苦しそうに顔をゆがめて駈け上がる満男選手です。

　全体に疲れが出たのか、この辺りから、プレスのかかりが悪くなり、エスパルス陣内でボールが動くことが多くなります。

　41分、自陣でボールを奪われた満男選手、しゃにむにボールを取り返そうとして、吉田選手を倒しファールになります。

　エスパルスがゴール前に上げたクロスをクリアしようと、ダイビングシュートのように飛び込んだ秋田選手。ボールはゴール左にそれましたが、危ないシーンでした。

　42分、中央でボールを持ちドリブルで上がる満男選手を、また戸田選手が後ろから倒しますが、ファールになりません。

　43分、ハーフライン付近、右寄りで吉田選手が持ったボールに、ちょんと足を出して奪った満男選手、すかさず前線の柳沢選手に浮かせたパスを出します。巧みな動きで裏を取る柳沢選手、シュートには持ち込めませんが、息のあったいいプレーです。

　44分、右サイドを上がった熊谷選手が粘ってCKを取ります。満男選手のCKは、センターで隆行選手と中田選手がかぶってしまい、シュートになりません。

　ロスタイムはなく、前半が終了します。

　後半開始前には、ピッチの1/3ほどが影になります。アントラーズボールでキックオフ。直後に、満男選手はライン際で2人のDFに囲まれ、なんとかボールをキープしようとしますが、ラインを割ってしまいます。後半開始時も、満男選手が右、本山選手が左にポジションを取っています。

　2分、バロン選手のシュートは枠の右に外れます。立ち上がりからバタバタしているアントラーズです。

　3分、市川選手のクロスは曽ヶ端選手が直接キャッチします。

　4分、相手陣内深いところで、戸田選手にプレッシャーをかけに行き、倒してしまって満男選手のファールになります。

　中田選手からのロングフィードをうまく受け、GKと1対1になる隆行選手。シュートはGK正面でキャッチされます。

　この直前のプレーで、熊谷選手は足を痛めたらしく、プレーがとぎれたときにライン上で痛み止めのスプレーを、左ふくらはぎにかけてもらってい、足を引きずりながらピッチに戻ってきます。

　5分、右サイドにいた本山選手から、ペナルティエリア内の柳沢選手にパス。柳沢選手は、後ろから走り込んできた満男選手に、ヒールで落とします。満男選手は、ダイレクトでシュートが打てず、DF2人に防がれシュートコースがないと見るや、シュートコースを探しながらぐるりとターン。自ら2人の間にスペースを作り、倒れながらシュートを放ちます。ポストのぎりぎり外を過ぎる惜しいシュートでした。

　7分、ゴール前に上がった中田選手のカバーに入っていた本山選手ですが、左サイド際で、攻め上がる平松選手にクロスを上げられます。このあと、満男選手と本山選手は、走ってサイドを入れ替わります。自分たちの判断か、あるいは周囲から指示があったのかもしれません。

　8分、満男選手は、相手選手に乗りかかるように倒されFKを得ます。
　9分、満男選手は左寄りの位置から、ゴール右側に上がった中田選手に、裏を取らせるスルーパス。シュートはサイドネットに外側から当たります。後半になって、積極的な上がりの目立つ中田選手です。

　ボールが激しく行ったり来たりする展開ですが、ボールの支配は、ややアントラーズが優勢でしょうか。

　12分、熊谷選手が右足でミドルシュートを狙いますが、ゴール右にそれます。

　この直後、久保山選手に代わって澤登選手がFWに入ります。

　13分、ボールを持つ市川選手に、下がってディフェンスに行った柳沢選手が後ろから倒してしまい、イエローカードを出されます。

　15分、満男選手の左CK、ファーの隆行選手が折り返そうとしますが、ゴールラインを割ります。

　16分、本山選手が倒されますがファールはありません。ここから、相手ボールになりますが、本山選手は座ったきり、どこか痛んだ様子もないのになかなか立ち上がりません。ファールがあったというアピールなのでしょうか。ボールは、座ったままの本山選手の横を過ぎ、ここから三都主選手にペナルティエリア内まで持ち込まれ、決定的なピンチを迎えますが、運良くシュートは枠のぎりぎり右を通り過ぎます。

　前半は、積極的な動きで、周囲といいコンビネーションが取れていた本山選手ですが、満男選手とのポジションチェンジも、後半はほとんど見られず、両方がサイドライン沿いに開くことが多く、いい距離が取れていないようです。

　18分、左サイドで、急いでフリースローをしようとする隆行選手を見て、すかさず動き出す満男選手。隆行選手もそこにボールを投げます。集中力の途切れない2人です。

　ここで受けたボールを右の名良橋選手に流し、名良橋選手が倒されてFKを得ます。満男選手は低いFKをニアに。秋田選手に合わずクリアされて、満男選手、一瞬下を向きます。

　名良橋選手のフリースローを秋田選手がヘッドで流し、柳沢選手がヘディングシュート。これは枠をそれます。

　20分、左サイドラインからの本山選手のスローインを受けようと、ペナルティエリア内に走り込んだ満男選手を大榎選手が倒します。ホームのサポーターの目の前のプレーに、ゴール裏からは大きなブーイングが起こります。主審のスウェーデンのレイフ・スンデルさんはプレーを止め、満男選手は座ったままファールをアピールしますが、ファールはなく、主審は2人の選手を前に立たせて注意するのみ。満男選手は、ポンと軽く大榎選手の背中に手を当てます。

　22分、押し込まれながらなんとかしのいだアントラーズ、ボールを持つと、セレーゾ監督は「ポアラー!　ポアラー!」と上がるよう指示を出します。チームを落ち着かせようと、ゆっくりとボールを回す満男選手です。

　24分、オーバーラップをかけた名良橋選手に本山選手からパスが出ます。DFを一人抜いて、ゴール前に駈け上がりますが、ボールはGKにキャッチされます。

　25分、右サイドを上がった熊谷選手からのクロス、ファーでアウグスト選手が落とします。走り込んだ満男選手はDF2人にピッタリと後ろから着かれボールをコントロールできず、こぼれたボールを柳沢選手が落として、後ろから走り込んできた本山選手がシュート。これはDFにクリアされてしまいます。

　26分、自陣ペナルティエリア内で、アントラーズの選手と絡んで澤登選手が倒れます。PKをアピールするエスパルスですが、ファールはありません。

　ここで市川選手に代わって伊東選手が入ります。ベンチ前では、平瀬選手が準備しています。

　27分、ペナルティエリア前の柳沢選手からの横パスは、満男選手と合わず、ラインを割ります。

　ここで隆行選手に代わって平瀬選手が入ります。

　28分、上がった古賀選手がそのままシュートを打ちますが、弱く、曽ヶ端選手がキャッチします。

　29分、サイドを上がったアウグスト選手を見て、ペナルティエリア内に入っていく満男選手。クロスはDFにクリアされ、逆サイドで名良橋選手が拾います。名良橋選手のクロスにファーサイドの平瀬選手が飛び込みますが、頭に当てることができません。

　足を痛めた熊谷選手ですが、積極的に前からプレスに走ります。

　31分、澤登選手がアウグスト選手を抜いてペナルティエリアまで上がります。カバーに入った金古選手は、澤登選手の足元のボールをきれいに蹴り出しクリアします。ファビアーノ選手の代わりに入った金古選手は、多少危ないシーンもありますが、何度も際どいところを防いでくれます。

　34分、三都主選手の左CKにバロン選手がヘッドで合わせますが、枠を外します。

　35分、右からの本山選手のクロスをファーでアウグスト選手が折り返します。平瀬選手のシュートはDFに当たって、ゴールの真ん前にいた柳沢選手の前に転がりますが、柳沢選手のシュートはバーの上を越えてしまいます。

　36分、名良橋選手からのクロスに平瀬選手がヘディングで合わせますが、バーの上です。ここで名良橋選手にボールを出した本山選手は、いいボールだったでしょと言うように、名良橋選手にタッチを求めます。

　ここで柳沢選手に代わって池内選手が入ります。池内選手は右サイドに入り、名良橋選手が攻撃的MFのポジションに入り、本山選手がFWに上がります。左サイドからドリブルで平瀬選手が切り込むと、さっそくゴール前に駈け込む名良橋選手です。平瀬選手は直接シュート、GKがキャッチします。

　37分、戸田選手が満男選手の足を狙ってスパイクで蹴り、満男選手は飛び跳ねるように倒れます。倒れたきり、全然動かなくなる満男選手。戸田選手にはイエローカードが出されます。満男選手は痛そうに顔をしかめて歩き出しますが、大きなケガにはなっていないようです。

　39分、左サイド角度のあるところからのFK、満男選手はニアの本山選手に合わせ、本山選手がヘディングでそらせて、ファーサイドにアウグスト選手が飛び込みますが、本山選手のボールが直接ゴールラインを割ってしまいます。

　40分、澤登選手の左CK、ゴール前では、三都主選手と満男選手が激しくやり合っています。

　41分、ファールで相手ボールになったところを、池内選手がボールを蹴り出してイエローカードになります。今年から、遅延行為には厳しくカードが出されています。

　42分、バロン選手のゴール前ヘディングでこぼれたボールをすかさず澤登選手がシュート。これは曽ヶ端選手が正面でキャッチします。

　立て続けに攻め込まれるアントラーズ、43分、切れ込んだ三都主選手をペナルティエリア内で倒しますが、ファールはありません。

　44分、ゴール右寄りの平瀬選手がフリーでボールを受けます。切り返して左足でシュート。これはGKがキャッチします。

　ロスタイムは2分。

　46分、満男選手が後ろから澤登選手に倒され、FKを得ます。満男選手の蹴ったボールはDFにクリアされ、ここでホイッスルが吹かれます。延長突入です。

　アウグスト選手が満男選手に話しかけ、満男選手も手でジェスチャーしたりして、話しながらベンチ前に向かいます。セットプレーのことか何かでしょうか。よろしくなというように、話の最後にはアウグスト選手が満男選手の肩を抱きます。

　スタッフからタオルを受け取り汗をぬぐった満男選手は、また別のスタッフからボトルを受け取り、タオルを股の間に挟んで給水します。座り込んだところに、セレーゾ監督が通訳と一緒にやってきて、細かく指示を出しているようです。

　今年、チームに新加入した高嵜選手が、一人一人の選手の頭を叩いて、声をかけて回っています。満男選手は声をかけられ、そちらを見上げます。

　監督の話が終わると、ストレッチをする満男選手。両足のスパイクの紐を整えています。今シーズンからデザインが変わったシューズは、サイドの太いラインが目立ちます。首にタオルをかけたまま、円陣に加わった満男選手のユニフォームは、背中がぐっしょりと濡れて色が変わっています。長い時間、円陣を組んだままのアントラーズ。監督が檄を飛ばしているのでしょうか。

　円陣を離れると、満男選手は池内選手に声をかけ、金古選手と少し話し込んでいます。ベンチに座ったままの熊谷選手の代わりにボランチに入るのでしょうか。

　いったんピッチに散った両チームですが、コイントスの結果、サイドが変わります。エスパルスが、自分たちのサポーターに向かって攻める方を選んだようで、アントラーズボールで延長開始です。アントラーズは、熊谷選手に代わって長谷川選手が入ります。ピッチの大部分が、スタジアムの大屋根の影に覆われています。システムは4-4-2。池内選手が右サイドバック。満男選手と中田選手がボランチ、名良橋選手と本山選手が攻撃的MFになっているようです。

　延長前半1分、長谷川選手のシュートがDFに当たって跳ね返ってきたところを中田選手がシュートしますが、やや弱くGKにキャッチされてしまいます。

　2分、三都主選手のシュートは、ポスト右にそれます。

　3分、本山選手にボールを預けると上がって行く満男選手。ボランチになってからは低めの位置にいて、ボールタッチの回数も減ったように思える満男選手ですが、攻撃にも積極的に絡もうとしています。

　左サイドの高い位置、角度のあるところからの満男選手のFK、クリアボールを名良橋選手がミドルシュート。DFに当たってコースが変わり、GKにキャッチされます。

　4分、ペナルティエリア内からの澤登選手のクロスにバロン選手が合わせヘディングシュート。ゴールネットの上に乗ります。

　6分、ゴール前でアウグスト選手がトラップミス、そのボールを拾われシュートを打たれますが、曽ヶ端選手が反応してゴールは許しません。

　8分、左CKに走って向かう満男選手。引き分けではなく勝ちたいという気持ちが伝わってきます。

　10分、右サイドで三都主選手を体で止め、池内選手のファールになります。右サイドに入った池内選手は、センターバックに入ったときに比べて、攻守ともに積極的、生き生きして見えます。

　12分、左サイドの本山選手からの横パスを、ペナルティエリア近くまで上がってきていた満男選手が受けます。ゴール正面ですが、いい位置にボールを置けなかったようで、シュートを打てずクリアされます。

　相手右サイドから、平松選手がロングシュートを放ちますが、ゴールを大きくそれます。

　13分、相手陣内、左寄りでボールを受けた満男選手、オーバーラップしたアウグスト選手を使い、アウグスト選手がマイナスのクロス。ペナルティエリアの外から本山選手が鋭いミドルシュートを打ちますが、バーの上です。この時間帯、ややアントラーズペースのようです。

　14分、平松選手に代わって、ゼロックススーパーカップで試合終了直前に同点ゴールを上げた横山選手が入ります。

　ホイッスルが吹かれ、延長前半終了。満男選手は、バックスタンド側のラインに、給水に走り、ボトルを取り上げると、一口だけ飲みます。ポジションに着きながら、長谷川選手と話をする満男選手です。

　延長後半開始。満男選手は、かなりポジションを上げています。

　3分、右サイドを上がった池内選手のクロスに、中央で長谷川選手がオーバーヘッドシュート。足が合わず、スルーの形で平瀬選手が受けますが、シュートは枠にいきません。

　本山選手が満男選手とのワンツーで左サイドを上がりますが、クロスはクリアされます。ここからの左CK、クリアボールを右サイドで平瀬選手が拾ってクロス、金古選手のヘディングは、ゴール左にそれます。

　5分、ルーズボールに飛び込んだ満男選手、ダイレクトで本山選手に繋ぎ、チャンスを作ります。

　7分、池内選手のクロスから、相手選手と競り合いながらの長谷川選手のヘディングは、高く上がってしまいGKがキャッチします。

　両チームとも、運動量が落ち、試合はスローダウンしています。どちらにも点数が入らないまま終わってしまうのかなと思わされます。

　相手コーナーをゴール前、相手選手と競り合い、体を寄せてフリーで受けさせなかった満男選手。ゴールラインを割ったボールが、相手ボールと判定されて、大きく体を反らせて抗議の声を上げます。

　この時間になっても、相手選手にプレッシャーをかけに走る満男選手。左サイドライン際に相手を追いつめ、アントラーズボールにします。

　13分、ハーフライン付近でのエスパルスのFK、相手右サイドの伊東選手がフリーでボールを持ち、ノープレッシャーでクロスを上げます。ペナルティエリアぎりぎりの位置からバロンがヘディングシュート。あっけないほど簡単にゴールを決められてしまいます。

　中央、ゴールから25メートルほどの距離にいた満男選手は、ボールがネットに突き刺さった場所を見つめたきり、立ちつくします。これで、新シーズンに入って、7試合勝ちなし。新しいカシマスタジアムの不敗記録も途切れてしまいました。顔をしかめ、大きく天を仰ぐ満男選手です。

　一礼が終わると、澤登選手、戸田選手、三都主選手が、満男選手の方にやって来て、軽く挨拶を交わします。

　ゴール裏からは、激しいブーイングが巻き起こっています。延長の疲れからか、4人の選手がスタンドに挨拶をせず、真っ直ぐに引き上げていく中、いつも通りバックスタンド側を回って、サポーターに挨拶する満男選手。疲れ切ったゆっくりとした足取りでゴール裏までいくと、まるでブーイングが耳に入っていないかのように、いつもと全く同じように、軽く片手を上げ、メインスタンドに引き上げていきました。