2002/3/31(Sun)

　午前中に降った激しい通り雨もすっかり上がって、日差しが暑いくらいの陽気です。ビッグアーチの外の桜は、今がちょうど満開。しだれ桜もきれいに咲いています。

　開場の1時頃から、ピッチではトレセンの子たちのゲームが行われます。

　午後2時40分過ぎ、アントラーズの選手たちが、アップのためにピッチに出てきます。長袖のジャージ姿の満男選手はピッチに走り出すと、さっそくボールを拾ってポーンと本山選手のほうに蹴ります。本山選手から蹴り返してもらうと、また、次の選手に。タッチラインから、タッチラインまで、腕を回したり決められた動作をしながら走っている選手たちの中で、1人だけパス交換も一緒にしています。

　シュート練習でボレーを上にふかしてしまったりで、体も重そうだし、あまり調子のよくなさそうな満男選手ですが、ダッシュが始まる前に、ペナルティエリアの右の角辺りからの右足でのシュートは枠に飛びます。1本目はGKにキャッチされましたが、2本目は、ゴール左上に見事に決めました。

　出てきたときには気づかなかったのですが、ジャージの左足の裾のチャックだけが開いているのが気になります。しばらく、その格好でアップを続けていて、最後に上がって行く頃には、ちゃんと閉まっていたようなので、もしかしたら、左の足首辺りが気になって、チャックを開けて確認したのでしょうか。

　ポーランド遠征から、2日前の午後に帰ってきたばかりと、疲れや時差ぼけが気になるところですが、気分は悪くはないよう。ちょっとしたいたずらもしてみてます。セレーゾ監督が足元で触ってポンと高く上げたボール、いきなり体を前に入れて奪ってしまう満男選手。セレーゾ監督も笑顔です。

　両チームのアップが終わる2時50分くらいから、ピッチ中央でチアガールたちのダンス。小中学生の子たちでしょうか。サンフレッチェのサブの選手たちは、その横で、ちょっと窮屈そうにアップを続けています。

　TVのためなのか、今年はフェアプレイフラッグの入場が、妙に早いようです。選手入場の5分くらい前から、ピッチ中央で、4人の子たちが所在なくフラッグを広げ続けています。

　3時少し前に、選手たちが入場します。アントラーズの選手たちは、白のアウェイ用ユニフォーム。全員が長袖を着ています。サンフレッチェの藤本選手だけが半袖です。全員が横一列にそろうと、花束が、両キャプテンと主審に贈られます。この試合、出場停止の秋田選手に代わって花束を受け取るのは熊谷選手。左腕に黄色いキャプテンマークが巻かれています。

　写真撮影を終わってから、ピッチに散る選手たち。熊谷選手は、コイントスを忘れてしまっていたようで、審判に大きな声と身ぶりで呼ばれて、慌てて戻ります。

　試合が始まる前から、なぜかバタバタしている梅本主審。第4審判のところから、駆け戻ってくると、すぐにホイッスルを吹き、3時4分キックオフ。サンフレッチェボールで始まります。

　アントラーズは、曽ヶ端選手、名良橋選手、金古選手、ファビアーノ選手、アウグスト選手、熊谷選手、中田選手、満男選手、本山選手、柳沢選手、隆行選手。サブに、高嵜選手、本田選手、野沢選手、平瀬選手、長谷川選手。アップに顔のあった青木選手は帯同メンバーのようです。秋田選手に代わって入った金古選手はセンターバックの右。これまで、秋田選手と組んで左に入ることが多かったのですが、右の方がやりやすそうです。

　サンフレッチェは、中盤を菱形に組んだ4-4-2。ウイングが右に森崎宏司選手、左に梅田選手。トップ下がミロ選手で、藤本選手、久保選手の2トップか、久保選手のワントップでしょうか。左サイドバックには沢田選手が入っていて、今年アントラーズからレンタル移籍した中村祥朗選手は、ベンチにも入っていません。

　29日に帰国したばかりなのは、アントラーズの満男選手、隆行選手、柳沢選手、中田選手、曽ヶ端選手と、サンフレッチェの久保選手。そのうち、隆行選手と中田選手はポーランド戦でフル出場しています。

　いつも通り、ゲームのスタート時には、2列目は右に満男選手、本山選手が入っています。

　3分、柳沢選手が倒されて得たペナルティエリア右のFK、満男選手がニアに蹴ったボールに、柳沢選手がダイビングヘッドで合わせますが、GKにキャッチされます。

　5分、流れから、満男選手と本山選手が左右を入れ替わります。

　試合の開始から、アントラーズの左サイドでボールが動く場面が目立って多いようです。

　8分、満男選手がパスを出そうとしたところ、相手選手に後ろから足を蹴られて倒され、相手ファールになります。

　自陣中央で、曽ヶ端選手のフィードボールを受けた満男選手は、センターサークルの中まで、1人で上がります。サンフレッチェは、この位置ではプレッシャーをかけてこないようです。

　柳沢選手は下がってボールを受けることが多く、前に張る隆行選手と役割分担があるのでしょうか。

　10分、熊谷選手からの強いパスが、少し後ろ目になったのを、ダッシュで追う満男選手。左サイドラインの手前で追いつきますが。体の向きを変えようとして倒れそうになってしまいます。両手を着くとすぐに体勢を立て直す満男選手。ピッチの状況が悪いのか、足元を取られて転ぶ選手が、特にアントラーズに目立ちます。

　11分、自陣でミロ選手がボールを受けようとしたところに体を寄せて奪う満男選手。ファールはありません。ファーストタッチでボールをコントロールすると、センターサークルの中から、右の裏のスペースの隆行選手に、倒れながらのロングパス。隆行選手は、ゴール前に走り込む柳沢選手にパスを出しますが、これは合いません。

　12分、名良橋選手が倒されて得た右からのFKは、GKに直接キャッチされます。この辺りから、満男選手は右にポジションを取ります。

　13分、センターサークル付近で柳沢選手が、相手選手に足を挟まれるようになり、かなり危険な感じで倒れます。そこからのこぼれ球を受けた本山選手はボールを外に出さず、ゴール前の隆行選手に合わせてスルーパス。わずかに合わずGKにキャッチされます。柳沢選手は、その間も立ち上がることができず、サンフレッチェの選手がボールを外に出してくれます。柳沢選手のところに行く主審に、話しかけに行く満男選手。危険なファールだとアピールしているのでしょうが、表情は穏やかです。

　15分、久保選手のパスから、ミロ選手がシュート。シュートは弱く曽ヶ端選手がキャッチします。

　17分、ハーフラインの少し後ろでパスを受けたアウグスト選手は、左サイド、20メートルほど前に張っている満男選手に縦パスを出し、上がって行きます。後ろ向きでパスを受けた満男選手はボールをキープ、いったん中に切れ込んだアウグスト選手が、向きを変えてマークを外し、ライン際をオーバーラップするタイミングを計って、右足で軽く、アウグスト選手の走り込む左前のスペースにパスを出します。アウグスト選手が上げたクロスに、ニアで隆行選手が飛び込んでダイビングヘッド。ボールはポストに阻まれましたが、いい攻撃です。

　18分、梅田選手にペナルティエリアの中からシュートを放たれますが、バーの少し上に外れます。

　19分、自陣、ゴール左寄り、30メートルくらいのところからの相手FK、ボールのところにサンフレッチェの選手が3人集まります。3人の壁の一番中央に入った満男選手は、1人の選手が少しボールを動かし、後ろから走り込んでくる選手がシュートを狙うだろうことを予想して、最初の選手がボールに触ったと同時に走り込もうと、低いポーズで構えます。主審のホイッスルで、満男選手も前に踏み出しますが、これは、アントラーズの他の選手が動いてしまって、やり直し。2回目のホイッスル、満男選手は、その瞬間飛び出そうとしますが、タイミングが合わず、思わず両手を地面についてクラウチングスタートのような格好になります。藤本選手がボールに触った途端に駈け寄った満男選手に、ミロ選手の放ったシュートはぶつかり、大きく跳ね返されます。

　ここまで、やや優勢に試合を進めていたアントラーズですが、この辺り、自陣に攻め込まれることが多くなってきます。代表組のコンディションのせいか、なんとなくちぐはぐな印象のアントラーズです。

　24分、左サイドからアウグスト選手のスローインの場面で、ボールとは関係ないところで、満男選手がファールを取られます。主審が満男選手に話をして、満男選手もファールについて確認しているようですが、特にイライラした様子ではありません。

　27分、ルーズボールを持った満男選手、前から藤本選手に寄せられると、右足でボールを扱い、左足の後ろを通して隆行選手にパスします。

　サンフレッチェは、最終ラインから前線に放り込むロングボールが多いようです。

　27分、左サイドでボールを持った満男選手、名良橋選手にサイドチェンジの長いパスを出します。

　28分、高い位置でアウグスト選手のスローインを受けた満男選手、前を向くと、クロスを上げますが、FWには合わずGKに直接キャッチされます。

　29分、左ライン沿いで、相手選手にアウグスト選手が寄せ奪ったボールを、満男選手はすかさず、ファーサイドにクロスを上げますが、DFにクリアされてしまいます。

　31分、自陣中央から、右サイドの本山選手に、強くカープのかかったパスを出します。

　30分、ボールを持ったアウグスト選手を追い越して、左サイドを上がって行く熊谷選手、同時に、中田選手が中央から駈け上がり、左コーナーに切れ込むように進みます。左サイドで、熊谷選手からボールを受けた中田選手のクロスはGKにキャッチされ、中田選手のクロスを受けようとペナルティエリアの手前まで上がっていた満男選手は、ボランチの位置までカバーに戻ります。

　31分、ルーズボールをキープした満男選手が、上がって行く名良橋選手のスピードを殺さないパスを出します。名良橋選手はセンターサークルの中から、右裏のスペースにパス。名良橋選手がボールを持ったと同時に走り出していた柳沢選手が、裏を取り、ペナルティエリアに進入しようとするのを、思わずGKの下田選手が倒します。このプレーにレッドカードが出されます。

　サンフレッチェの選手が抗議する中、キャプテンマークを巻いた熊谷選手が主審のところに小走りにやってきます。そこに集まったのは、満男選手、中田選手、本山選手。中田選手が主審と話をしています。相手が選手交代してGKが入るのを待つあいだ、満男選手はバックスタンド側のラインに給水に走ります。

　ここで、ミロ選手に代わって、GK尾崎選手が入ります。ポイントは、ペナルティアークの少し右です。中田選手と、何やら相談する満男選手。ボールをセットするのは中田選手。アウグスト選手、本山選手も寄ってきて何か言っていますが、2人は、譲る様子は全くありません。蹴ったのは中田選手。これは壁に当たってしまいます。

　36分、柳沢選手の落としたボールに飛び込んだ満男選手は、後ろから押されごろんと転がりますが、ファールになりません。

　38分、左ライン沿いのボールをキープしようとして、足を滑らせコントロールできない満男選手です。

　相手より人数で勝っているアントラーズですが、攻撃の形が作れず、なかなかチャンスになりません。

　39分、ボールのないところで、まだ足を滑らせ、左足を持ち上げてスパイクの裏を見る満男選手です。

　40分、満男選手が入れた長いクロス、本山選手と競り合ったDFがクリアしたところを、名良橋選手が拾いスルーパス。隆行選手のシュートはバーを越えます。

　41分、アウグスト選手からのクロス、ファーの熊谷選手のダイビングヘッドは、勢いよく枠に飛びますがGKが止めます。

　この辺りで、満男選手が右に流れます。

　42分、サンフレッチェのカウンターになると、DFの大柄な黒人のビロング選手が、ピッチの真ん中を駈け上がります。シュートに持ち込めず味方にパスを出すと、自分たちの攻撃が続いているにもかかわらず、のしのしと戻っていく元カメルーン代表のビロング選手。後半も、この選手の上がりが何回もあり、サンフレッチェサポーターを沸かせていました。

　45分、サンフレッチェのコーナーキック、曽ヶ端選手がパンチングしたボールが目の前に来て、満男選手は高く蹴り上げて、しっかり前線の本山選手に繋ぎます。そこから、左を上がった熊谷選手へのパス、熊谷選手が短く中央に繋いだパスを受けたアウグスト選手がファーサイドにクロス、柳沢選手のダイビングヘッドは、バーの上を越えます。

　ロスタイムは2分です。

　46分、柳沢選手からのスルーパス、ゴール前に飛び込んだ名良橋選手に届かず、GKがクリアしようとするところ、目の前まで走り込み詰めていく満男選手。クリアボールはタッチラインを割り、アントラーズボールになります。

　48分、攻め込まれて、何回もシュートを放たれたあと、曽ヶ端選手がボールをキャッチしたところでホイッスルが鳴り、前半が終了します。

　後半開始前、ピッチに出てきた満男選手にアウグスト選手が身ぶり手ぶりで話しかけています。笑顔を見せる満男選手。話し込んでいるアウグスト選手に、鈴木さんが近づき、セレーゾ監督の言葉でしょう、何か伝えます。いつもと同じく、満男選手が右、本山選手が左のポジションに入り、アントラーズボールでキックオフです。

　前半、あまりボールに触ることができなかった本山選手が、左サイドに大きく開き、そこにボールが出てきます。ハーフタイムに指示があったのでしょう。

　2分、右サイドで名良橋選手がボールを持つと、真ん中をゴール前に走り込む満男選手です。

　3分、満男選手からのパスを、柳沢選手が隆行選手に縦のパス。隆行選手がシュートを放ちますが、GKにキャッチされます。

　相手選手にボールを奪われ、後ろから足を蹴る形になってしまう満男選手。幸いなことに、ファールにはなりません。

　4分、チェイシングに行き、足を滑らせる満男選手。後半になっても、満男選手だけでなく、他の選手も足を滑らせています。

　満男選手が左に流れます。

　5分、アウグスト選手が相手選手を倒しイエローカードが出されます。今季3枚目のイエローカードで、時節出場停止です。

　6分、相手陣内での左サイドからのパス、周囲を見渡すことなく足を広げてスルーする満男選手。後ろの熊谷選手にパスが通ります。

　名良橋選手がボールを持つと、中央を縦に走り込む満男選手。ジャンプしながらトラップしますが、相手に渡ってしまいます。

　9分、アウグスト選手のシュートはゴール右にそれます。

　満男選手と本山選手は、細かくポジションチェンジをしています。アントラーズは、引いて守るサンフレッチェに対して、前半よりも、有効な攻撃はできていますが、なかなか決定的なチャンスを作れません。

　14分、右寄りにいた満男選手から、アウグスト選手へ、サイドチェンジのきれいなロングパスが通ります。

　15分、満男選手がゴール前の隆行選手の足元に入れたパスを、隆行選手がうまく浮かせます。柳沢選手がヘディングで、もう一度浮かせたところに、パスを出して、そのまま走り出した満男選手が駈け込みますが、GKにキャッチされてしまいます。

　梅田選手に代わって、桑原選手が入ります。

　17分、サンフレッチェのカウンター。ボールを持って一直線に上がってくる久保選手を止める金古選手です。

　ドリブルで進もうとしたところに、駒野選手に入られ、足と足が絡まるような形になって、駒野選手の背後に回った満男選手、そのままボールを追って、駒野選手を倒しファールを取られます。

　19分、ピッチ中央で高く上がったボールを追う満男選手、相手選手に思い切り体当たりする形になり、倒してしまってファールを取られます。

　20分、相手FK、一人壁になった満男選手は、主審にもう少し下がるように言われても動かなかったため、距離不足でイエローカードを出されます。しつこく下がろうとしなかったのではなく、一度、主審に声をかけられた程度でカードが出る、厳しい判定です。

　22分、右CKに満男選手は走って向かいます。ボールは中田選手に合いますが、ヘディングは相手DFに当たってコースが変わり、もう一度CKです。クリアボールを拾ったアントラーズの選手から、右に開いた満男選手にパスが出ますが、戻りオフサイドを取られてしまいます。

　23分、名良橋選手のクロスから、中田選手のヘディングシュートはバーの上です。

　24分、ルーズボールを競り合うところ、満男選手が足を滑らせ、相手選手に押されるような形で倒れます。

　25分、ビロング選手の縦パスを、近い距離で、とっさに足を出し倒れながらパスカットする満男選手です。

　その直後、ロングボールに藤本選手が抜け出します。ペナルティエリアを出て対応する曽ヶ端選手。一瞬早くボールに当たり、シュートを打たせません。倒れる藤本選手。前半の下田選手のレッドカードの時と同じような状況に、スタンドは騒然となりますが、もちろん、これはファールではありません。

　ここで熊谷選手に代わって野沢選手が入ります。熊谷選手はキャプテンマークを中田選手に渡して、真っ直ぐにメインスタンド下に去って行ってしまいます。野沢選手は、攻撃的MFの位置に入り、満男選手が一つポジションを下げて、右ボランチの位置に入ります。

　26分、左サイド高い位置のライン近く、ゴールから角度のあるところで柳沢選手が倒されFKを得ます。ボランチの位置から、FKのポイントに駈け出す満男選手。左サイドにいた本山選手が、先にポイントに近づいて、いかにも蹴りたそうにボールをセットします。小走りにポイントにきた満男選手は、本山選手には一瞥もせず、ゴール前の状況を確認すると、ボールをセットし直します。

　満男選手の蹴ったボールは、ゴール正面に。フリーの中田選手にぴったりと合います。ヘディングシュートがゴールに入って、待望の1点。その瞬間、満男選手は、両手を挙げます。喜んで駈け出す中田選手。チームメートが次々と駈け寄ります。一瞬遅れて、中田選手に向かって走り出した満男選手。本山選手が駈け寄ってきて満男選手に抱きつこうとしますが、満男選手は軽くタッチすると体をかわして、中田選手のところに向かいます。

　満男選手がボランチの位置に下がったことで、ボールにふれる回数が減っているようです。プレーもポジションに合わせた無理をしないものになっています。

　29分、野沢選手、名良橋選手のパス交換から、アウグスト選手のシュート。GKがパンチングで逃れます。ここからの右CKは、ファーサイドを狙いますがGKがキャッチします。

　30分、ボールを奪おうと高い位置で相手選手に詰める満男選手。足をかけてしまったのかファールを取られます。

　31分、アウグスト選手のクロスに、長い距離をあきらめずに走って追いつく野沢選手。シュートは、惜しくもGKにキャッチされます。

　33分、相手のクリアボールが藤本選手に入ったところ、藤本選手の体をつかんでプレーさせまいとする満男選手です。

　アントラーズのベンチ前には平瀬選手が呼ばれています。

　34分、名良橋選手が入れたボールを柳沢選手がクリア、野沢選手との見事なワンツーになりますが、シュートはGKがパンチングで防ぎます。

　35分、藤本選手から久保選手へのパスをコースを読んでカットする満男選手です。

　低い位置で、ファビアーノ選手が沢田選手を倒してファール。ここで、アントラーズとサンフレッチェが同時に選手交代です。平瀬選手とトゥーリオ選手がサイドライン際に立ち、第4の審判が10番のボードを掲げます。わざわざ、ポイントまで来て、沢田選手を立ち上がらせようと手を引っ張っている本山選手は、全くこのボードに気づかず、ポイントから離れると、守備に入ろうとします。

　先にサンフレッチェの選手交代が行われ、森崎浩司選手が外に出ます。本山選手を示す10番のボードは掲げられたまま。ここで、周囲のサンフレッチェサポーターが大騒ぎです。「久保!　お前じゃないんだよ!」。ここまでワントップで踏ん張ってきた久保選手、どうやら10番のボードを自分のものだと勘違いしたらしく、ユニフォームをパンツから引っ張り出しながら、ラインを超えてベンチに向かってしまったよう。本山選手が、何人もに声をかけられて、ようやく気づき、平瀬選手とタッチを交わして外に出ると、久保選手も、誰かに教えられたのでしょう、ユニフォームを直しながらピッチに戻ってきます。

　39分、中田選手から名良橋選手への横パス。満男選手の目の前を通って、満男選手は、軽く頭を下げてやり過ごします。

　名良橋選手が藤本選手に蹴られて倒れます。近くにいた満男選手は、足を軽く上げて、主審に危険なプレーをアピールしますが、主審が取り合わないのを見ると、給水に向かいます。ベンチ前で給水する満男選手に、セレーゾ監督は鈴木通訳を通して指示を出します。

　FWが3人になったアントラーズ、柳沢選手が下がり目のポジションに入っているようです。

　40分、満男選手の持つボールにチャレンジする久保選手。満男選手は、体を入れて防ぎ、サイドラインを割らせ、アントラーズボールにします。

　41分、左の平瀬選手からのいいクロス、ペナルティエリア内で隆行選手が倒されますが、ファールにはなりません。

　人数の多いことを生かし、ゆっくりとボールを回すアントラーズです。

　43分、満男選手は、前線に長いパスを入れますが、平瀬選手がオフサイドになります。

　44分、沢田選手にボールが入るところに、思い切り走り込み、パスミスを誘う満男選手です。

　満男選手は、野沢選手に指示を送ります。

　ロスタイムは2分。

　47分、満男選手は、ルーズボールをヘディングしようと走り込みながら飛び上がり、相手選手の背中に乗るような形になってファールを取られます。

　そして、試合終了のホイッスルが吹かれます。金古選手に飛びついて祝福する名良橋選手。金古選手は、スタメンで出場した試合での初勝利になります。プロになって4年目、長い間、ケガにも苦しめられた金古選手にとっては、本当にうれしい勝利でしょう。他の選手たちも次々と祝福の声をかけます。

　一列に並ぶと、他の選手と一緒に、メインとバックのスタンドに手を挙げる満男選手。それが終わると、サンフレッチェの久保選手と声を交わしています。

　ここまで、金古選手に声を掛けていなかった満男選手は、ゴール裏に、金古選手と2人で並んで向かいます。ニコニコと、金古選手が満男選手に話しかけています。入団直後に大きなケガをしてしまった金古選手の、寮からクラブハウスへの送り迎えをしていたのは、主に満男選手だったと言います。この日の勝利は、満男選手にとっても、とてもうれしいものだったでしょう。

　額の汗を拭いながら、ゴール裏に向かい、挨拶をすませると、平瀬選手と話しながら引き上げていく満男選手。そこにまた、金古選手がやってきて、メインスタンドを指さしながら、満男選手にしきりと話しかけます。満男選手もスタンドを見上げます。金古選手は、スタンドに大きく手を振ると、メインスタンド下に去って行きました。この日、金古選手は福岡の両親を招待していたそう。晴れやかな笑顔が、印象的でした。