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2002/4/6(Sat)

1st 第5節 ベガルタ戦

 1ヶ月ぶりのアントラーズの試合になったカシマスタジアム。空には、淡い雲が飛び、暖かな日差しが降り注ぎます。

 2時半頃から、メインスタンド下のアップ場でアップをする選手たち。満男選手は、長袖のジャージに、短パン姿です。

 ゴール裏を赤く染めたアントラーズサポーター。2階席もほぼ満席になっています。対する、黄色のベガルタのサポーターの数もものすごく、アウエイ側のゴール裏を埋めます。1階席は、一般の観客用に隔離された左端の2ブロック以外は、最上段近くまでが、黄色に染まっています。試合開始30分も前から、うち振られる小旗。J1で戦えることを、サポーターも本当に楽しんでいるようです。

 DJダニーさんの選手紹介、満男選手の紹介の時には、ベガルタ側のスタンドも大きく沸きます。

 1時少し前、選手入場。アントラーズの選手は全員が長袖を着ていますが、ベガルタのマルコス選手は半袖です。満男選手は、出てくると、右足と左足を、交互に後ろに手で持ち上げてストレッチをし、手を腰に当てて回しています。本山選手と会話を交わし、他の選手たちと一緒に、メインスタンドに軽く手を挙げます。髪の長さが、このあいだの試合よりも短くなっている感じです。

 コイントスでベガルタが勝って、ピッチを交換。それぞれのチームが、まず前半は、自分たちのチームのゴール裏に向かって攻めることになります。西日が指す方向に攻め込むことになるのですが、後半を考えてなのでしょうか。

 右サイドライン沿いで、岩本選手と名良橋選手が走り寄って握手。笑顔で会話を交わします。肩を抱くようにして、うれしそうに語り合う2人です。

 アントラーズは、出場停止のアウグスト選手の代わりに、左サイドには中田選手が入り、曽ヶ端選手、名良橋選手、秋田選手、ファビアーノ選手、中田選手、熊谷選手、本田選手、満男選手、本山選手、柳沢選手、隆行選手のスターティングメンバー。ボランチは、左に本田選手、右に熊谷選手です。満男選手と本山選手は、いつも通りに満男選手が右、本山選手が左に入ります。ベガルタは、4-4-2のシステム。バックラインの小村選手がケガ、J1初出場となる渡邉選手が入っています。渡邉選手と組むのは、99年までアントラーズにいたリカルド選手です。

 試合開始前、身ぶりを交えて満男選手と言葉を交わしあう柳沢選手。パスの出し方についてでしょうか。

 午後3時1分キックオフ。

 前半1分、満男選手から柳沢選手にいいスルーパスが出ますが、GKにキャッチされます。

 3分、隆行選手のファールで、左サイドからの岩本選手のFK。ゴールからは遠く離れた位置ですが、満男選手は、油断なくポイントの近くに立ちます。ちょっと、岩本選手とにらみ合いのような感じになる満男選手です。

 4分、本山選手が相手選手と交錯して痛みます。左膝を痛め、担架で外に出る本山選手。いつも本山選手が入るFKの壁には隆行選手が入ります。隆行選手と並んで壁にはいると、小柄なことが目立つ満男選手です。

 本山選手は、大きなケガではなかったらしく、ピッチに戻ります。

 5分、オーバーラップをかける中田選手を使う満男選手。中田選手のクロスは、ファーの柳沢選手に合いますが、シュートはクリアされます。

 6分、今日初めての満男選手のCKは右から。ニアに入りますが、DFにクリアされます。

 7分、FKのボールに飛び込んだ名良橋選手と秋田選手。頭同士を激しくぶつからせたようで、2人同時に倒れます。秋田選手は、少しして起きあがりますが、名良橋選手は動くことができません。ドクターの診察を受ける名良橋選手を、満男選手は心配そうに、じっとのぞき込んでいます。名良橋選手は、担架で外に出されます。

 9分、外に出ている名良橋選手の代わりに右サイドに入っている熊谷選手から、前線にいいパスが送られます。右の裏を突いた隆行選手がドリブルでペナルティエリアの中に入ろうとすところを倒されてファール。ペナルティエリアのわずか外側、右よりでFKを得ます。

 ここで、名良橋選手はピッチに戻ります。ポイントに立ったのは、満男選手と中田選手。サポーターからは、満男選手へのコールがおきますが、この位置は左足の方が蹴りやすい位置、やはり蹴ったのは中田選手。GKがパンチングで逃れます。このボールを拾った中田選手が、右サイドの満男選手に繋ぎ、満男選手はクロスを上げますが、これはGKにキャッチされてしまいます。

 12分、相手CKから、アントラーズのカウンターのチャンス。センターサークルの手前でパスを受けた満男選手は、駈け上がりながら、柳沢選手にパスを出しますが、やや弱くなってしまい通りません。このあと、満男選手は左に流れます。

 15分、ルーズボールに飛び込んだ満男選手の足を相手選手が狙い、満男選手はそれを避けようとジャンプしながら倒れます。主審はいったん流しますが、相手ボールになった時にホイッスルを吹き、ベガルタのファールを取ります。

 前半のこの時間帯には、満男選手と本山選手のポジションチェンジが頻繁です。

 17分、左サイドからのFK、満男選手がニアに蹴ったボールをファビアーノ選手がすらしますが、ゴールの右側を通り過ぎてしまいます。

 19分、中田選手から満男選手へのパスがミスパスになり、手前のベガルタの選手に取られたのを、必死で追いかけ取り返そうとする満男選手。そして、その直後の、カウンターから隆行選手がシュートを打ちますが、GKにキャッチされます。

 20分、名良橋選手がボールを持つと、中央で大きく手を挙げる満男選手ですが、名良橋選手は直接シュート、DFにクリアされます。ここからの右CK、満男選手の蹴ったボールは中央、隆行選手のところに飛びますが、DFに阻まれます。ここから続いて、左CK、満男選手は小走りにコーナーに向かいます。ボールはニアのファビアーノ選手の頭に合いますが、GKにキャッチされます。

 21分、相手のGKからのフィード、山下選手が持ち込もうとするところを本田選手がカット、素早く前線の隆行選手に繋いでアントラーズのチャンスになります。左サイド、フリーで大きく両手を挙げる満男選手ですが、そこにはボールは出できません。

 23分、満男選手から柳沢選手の絶妙のスルーパス。柳沢選手は、完全にDFの裏に抜け出しますが、オフサイドを取られます。

 自陣、ペナルティエリアの手前まで駆け戻って、マルコス選手につく満男選手。味方と二人でうまくボールを奪い、マルコス選手は倒れますが、ファールではありません。

 速いパス回しから、ゴールに迫るアントラーズ。アントラーズのいいところが出ています。

 25分、ルーズボールにヘディングで競る満男選手、後ろの選手が倒れ、ファールを取られます。肘を使ったという判断なのでしょうか。ちょっと納得のいかない様子の満男選手です。その直後、自陣左サイドで、ボールを持った相手に体をぶつけ、追いつめます。

 前半の半ば頃から、満男選手は、ほとんど左サイドに位置を取るようになっています。

 26分、ゴールラインぎりぎりから隆行選手が折り返したゴールに柳沢選手が飛び込みますが、ゴールを割れません。

 27分、ペナルティエリアの中、右の角度のあるところからマルコス選手にシュートを放たれますが、ゴールポストのぎりぎり左。助かります。

 29分、左ライン沿い、DFにつかれたところから、足の裏でボールをあしらってフリーになる満男選手です。

 この試合、本山選手が真ん中にいる時間が多く思えます。

 アントラーズの攻撃、満男選手は、ペナルティエリアの端辺りで、柳沢選手が入れた高いパスを、ヘディングで浮かせて体を反転させ、DFをかわそうとしますが防がれ、さらに、DFの持つボールを奪おうとしますが、後ろから押して倒したような形になり、ファールを取られます。

 30分、森保選手が柳沢選手を倒し、イエローカードが出されます。

 雲が広がって日が陰り、照明が入ります。

 31分、ファビアーノ選手からのパスを左サイドで受けようとする満男選手ですが、ボールはラインを割ってしまいます。

 32分、満男選手は前線にスルーパスを出しますが、2人のFWともに感じられず、合いません。

 ルーズボールを拾ったシルビーニョ選手の対応に行く満男選手ですが、抜かれてしまいます。

 33分、右寄りにいた満男選手から、DFの裏に抜けようと走り込む柳沢選手の足元にぴったりのパスが通ります、DFに詰められ、こぼれたところに隆行選手も詰めていきますが、シュートに持ち込めません。

 35分、柳沢選手が戻したボールを、満男選手はペナルティエリア内、右の方からダイレクトで打ちますが、ゴールのはるか上に外れます。満男選手にしては珍しい外し方で、顔を上げて悔しがります。

 ハーフラインから、左に開いた隆行選手に出したパスは、隆行選手が受けることが出来ません。

 37分、満男選手と本山選手、両方が左サイド側にいます。

 38分、左サイド、ハーフラインの前の本山選手から、前にいた満男選手を、左サイドのコーナーの方に走らせるパス。満男選手は、ファーサイドに走り込む熊谷選手に合わせて、左足でクロスを上げます。DFと競って高く上がったボールは、ペナルティラインの中央の本山選手の前にこぼれます。絶好のボールですが、本山選手のシュートは弱く、GKにキャッチされます。

 39分、名良橋選手からの大きなサイドチェンジのボールが、ぴったりと満男選手に届きます。左足でトラップした満男選手は、ツータッチ目、左足で優しくカーブをかけたピッタリのパスを、DFの裏に走り込んでくる柳沢選手に出しますが、右からDFに詰められた柳沢選手はシュートに持ち込めません。柳沢選手からの短いパスを受けた満男選手は、DF2人に前から詰められながらも、ルックアップ、上がってきた熊谷選手にパスを出します。

 40分、ボールをキープしながら前を向いた満男選手、上がっていた本田選手が前のスペースに走り出すのを見て、右にカーブをかけたスルーパスを通しますが、隆行選手と本田選手が重なり、シュートになりません。

 バックラインで秋田選手がボールを持つと、左サイドで大きく手を挙げる満男選手。パスは、その前の隆行選手に出ます。

 41分、ハーフラインの少し前、中央でフリーでパスを受けた満男選手は、左サイドの裏のスペースに、隆行選手を走らせるパスを出しますが、GKに直接キャッチされます。

 42分、曽ヶ端選手からのロングフィード、相手選手と競りながら大きく飛び上がった満男選手は、頭のてっぺんに当ててボールをそらせ、隆行選手に落とし、そのまま転がります。

 左のライン際でボールを持った選手に詰めていって、一瞬、腕をつかむような仕草を見せますが、その手を引っ込めます。1stステージ、もうイエローカードを2枚もらっている満男選手。この試合でもう1枚もらうと、次の試合は出場停止です。

 43分、満男選手、本山選手とつながったボールが、ペナルティエリア内のファビアーノ選手までつながりますが、クロスはGKに直接キャッチされてしまいます。

 45分、左寄りで満男選手が出ると、中田選手がオーバーラップをかけますが、満男選手は直接クロスを上げます。飛び込んだ隆行選手に合ったボールですが、GKにパンチングで防がれます。

 ロスタイムは1分です。

 47分、リカルド選手が隆行選手をつかんでファール。隆行選手は抜け出して、ゴール前でGKと1対1になりますが、主審はホイッスルを鳴らしてゲームを止めます。主審のところに行く満男選手と中田選手。笑顔で柔らかく抗議しています。ここからのFK、右に流したパスを、熊谷選手がロングシュートを打ちますが、枠の上に外れ、前半終了のホイッスルが吹かれます。

 上がって行く満男選手に、関塚コーチが、肩に軽く手をかけながら話しかけ、そのまま話し続けながら去っていきます。

 ハーフタイムにはいると、TVカメラが大移動します。普段より、ずっと多く入ったカメラは、ベガルタがアントラーズを下すところを取りたいよう。9台のカメラが、ベガルタ側が攻め込む側のゴールに移動します。反対側のゴールには、3台のTVカメラがいるだけです。

 後半開始前、ピッチに姿を現した満男選手は、ピッチに入る手前で、両足をストレッチします。円陣を組んだあと、ピッチに散ってからも、右ももの後ろを右手で触りながら、入念にストレッチ。多分、張りが出ているか、違和感があるのでしょう。

 ベガルタのボールで後半開始。開始早々に、シルビーニョ選手と満男選手がヘディングで競り、シルビーニョ選手のファールになります。

 1分、左サイドで本山選手がボールを持つと、ペナルティエリアの中、空いているスペースに走り込む満男選手です。

 柳沢選手がボールを持つと、大きく手を広げる満男選手ですが、ボールはそこには出てきません。

 4分、左CKをニアでファビアーノ選手がそらせますが、ゴールラインを割ります。

 7分、熊谷選手がマルコス選手を倒して、ゴールから25メートルくらい、中央で岩本選手のFKです。壁から少し離れて立った満男選手は、盛んに手で指示を出し、ポジショニングの確認をします。岩本選手の蹴ったボールは、バーに当たって下に落ちますが、幸いにゴールに入りません。

 9分、名良橋選手から縦に入ったパス、満男選手はトラップをミスします。

 攻め込まれて、秋田選手のクリアボールが、満男選手の目の前に落ちます。トラップすると2人に詰められながらも、ボールを足の裏でコントロール、間を抜くと、左前のスペースに大きくパスを出します。縦に走り込む本山選手と、開いて来る柳沢選手。ボールは柳沢選手が受けましたが、足元を滑らせてしまいます。

 11分、柳沢選手がボールを持つと、追い越して前に走り込む満男選手ですが、パスは手前でカットされます。

 13分、ゴール左で隆行選手にボールが出ると、長い距離を上がってきた満男選手は、ファーサイドで手を挙げます。

 左CKは、敵味方の選手が密集した中に入りますが、GKにパンチングされます。

 14分、満男選手へのパスは、岩本選手に止められます。気のせいか、満男選手は前半より動きが悪く思えます。

 16分、中田選手が左サイドでボールを持つと、満男選手は右前で大きく手を挙げます。中田選手は、サイドチェンジのボールを名良橋選手へ、名良橋選手が前の満男選手にボールを出し、満男選手は、柳沢選手走らせるロングパスを出しますが、GKに直接キャッチされてしまいます。

 17分、右で名良橋選手がボールを持つと、ペナルティエリアに走り込んでいく満男選手。名良橋選手が入れたクロスは、DFに当たってコースが変わりますが、満男選手の足元へ。寄せてくるDFの前にうまく体を入れた満男選手は、後ろから押し飛ばされながらシュートを放ちますが、バーを越えます。倒れて1回転した満男選手は、体を起こして主審にファールをアピールしますが、PKになりません。

 その直後、柳沢選手が背後に出したパスを、走り込んできた満男選手がロングシュート。ジャストミートできず、ボールはゴール左にそれます。

 18分、ベガルタのロングパスが、フリーの岩本選手に通り、曽ヶ端選手が飛び出し、危険な場面になりますが、最後は曽ヶ端選手が山下選手のシュートを片手一本で防ぎます。

 19分、森選手にイエローカードが出されます。ベガルタは福永選手に代えて、山田選手を入れてきます。

 21分、右サイドで熊谷選手と一緒にプレスをかける満男選手、2人のあいだをパスを通され、振り返ると、後ろでボールを受けたベガルタの選手が、全くフリーなのを見て、軽く両手を広げます。中盤のバランスの崩れているアントラーズです。

 アントラーズのコーチがアップ場に声をかけます。交代の準備のようです。

 23分、右の満男選手から、浮かせた隆行選手へのパスはDFにクリアされます。

 26分、熊谷選手が入れたボールを隆行選手が満男選手に落とします。ももでトラップした満男選手は、右足で目の前のDFの頭上をふわりと越すパスを柳沢選手に出します。柳沢選手はシュートを放ちますが、惜しくもバーの上。ゴールにはなりませんでしたが、短くパスを繋いで、満男選手の素晴らしいラストパス。素敵な攻撃です。

 27分、隆行選手に代わって平瀬選手が入ります。交代を待つあいだ、首をコキコキと回している満男選手です。

 28分、左ライン沿いでボールを受けた満男選手は、素早く反転すると、裏のスペースに平瀬選手を走らせる浮かせたパスを出しますが、オフサイドを取られます。

 30分、中央で満男選手にボールを預けると、ゴール前に走り込む本山選手。満男選手は、一瞬のためを作ると、その本山選手に軽く浮かせたパスを出しますが、ジャンプした本山選手の頭の上です。

 スローインを受け、反転しようとしてボールをつつかれ、奪われそうになるのを、体を入れ倒れながらも奪い返す満男選手です。

 攻め上がるアントラーズ。その裏のスペースが使われます。ベガルタの低い位置、シルビーニョ選手から、左サイドの岩本選手にロングパス。上がっていた名良橋選手の代わりに、応対した秋田選手の目の前でクロスを上げられ、そこにマルコス選手が飛び込みます。中田選手にヘディングで競り勝ったマルコス選手のシュートは、曽ヶ端選手の手をはじいてゴールへ。ここまで、マルコス選手は秋田選手が完全に押さえていただけに、悔やまれる1点です。

 ベガルタの選手たちは、ベンチ、そしてサポーターに駈け寄って、大喜びです。ユニフォームを脱いで振り回すマルコス選手にはイエローカードが出されます。

 満男選手は、センターサークルの真ん中に戻ってくると、早くボールを持ってくるよう、味方に大きく手招きします。早い試合再開を妨ごうと目の前に近づいて立つ森保選手を、満男選手はどけと言うように押しのけます。ちょっとしたいざこざのあと、最後には、わざと大きく倒れる森保選手です。

 32分、右サイドで相手ボールを奪おうと、必死に詰める満男選手と熊谷選手です。

 33分、リカルド選手の遅延行為にイエローカードが出されます。

 34分、ベガルタがボールをハーフラインまで戻すと、バックラインに上がれと手を大きく何回も振って、指示を出す満男選手。バックラインは、押し上げが難しいらしく、深い位置のままです。

 35分、平瀬選手がボールを持つと、右にパスを出すよう指さす満男選手。平瀬選手は、そのままシュートを放ちますが、バーの上です。

 ここで、柳沢選手に代わって長谷川選手、本田選手に代わって石川選手が入ります。中田選手がボランチの位置に入り、石川選手が左サイドです。本田選手のキャプテンマークは、秋田選手が引き継ぎます。石川選手にとっては、これが、Jリーグデビュー戦です。

 36分、平瀬選手からの際どいパスを左のライン際で受ける満男選手ですが、相手選手に当たってラインを割ります。すぐさまボールを拾ってスローインした満男選手に、主審の、ベガルタボールの判定。満男選手は、相手選手を指さして、当たったことをアピールしますが、判定はくつがえりません。不満そうな様子の満男選手ですが、このスローインの直後、ライン際で石川選手と相手を挟み込み、ボールを奪い返します。

 名良橋選手のロングシュートはゴール右に外れます。

 38分、前線まで長い距離を走ってプレスをかけに行く満男選手です。

 満男選手のパスから、石川選手がいいクロスを上げます。長谷川選手の頭に合いますが、競り合っていた選手を倒したと長谷川選手がファールを取られます。

 39分、オーバーラップをかける石川選手に、パスを出す満男選手。いつものように上がって行く選手をうまく使います。石川選手のクロスを、平瀬選手、右足でシュートしますがGKにキャッチされます。

 ボールを持ったシルビーニョ選手に当たりに行く満男選手。体をぶつけますが、大きな体に跳ね返され、転がされてしまいます。

 40分、パスを受けようとするシルビーニョ選手の前に、うまく体を入れる満男選手。シルビーニョ選手は、腕をかけて満男選手を行かせまいとし、最後には、後ろから押して倒します。ファールの判定に、満男選手が腕をかけたと抗議するシルビーニョ選手ですが、明らかに、これは自らのファールです。

 ボールを持つと3人に囲まれる満男選手。足を蹴られたのか、飛び上がり、右膝を押さえて痛がります。

 タイミングを見て左サイドを上がって行く石川選手ですが、満男選手以外に使おうとする選手がなく、満男選手が右に流れると、なかなかボールが出てきません。

 42分、カウンターから、ゴールラインぎりぎりのボールを山田選手が上げ、マルコス選手が決め2点目です。ゴールラインを割ったと、いっせいに主張するアントラーズの選手たち。ゴールの中のボールを取って、不満そうにゆっくりと歩いてくる名良橋選手に、センターサークルの真ん中にいる満男選手は、大きく手を振って、早くボールを持ってくるように要求します。まるで、逆転を信じられないアントラーズの選手達の中で、満男選手だけが、必死に勝つために戦おうとしているように見えます。

 44分、左サイドから満男選手の上げたクロス、GKはパンチングで防ぎます。右CKになり、必死に反対サイドのコーナーに走っていく満男選手。平瀬選手が、ショートコーナーを使い、満男選手にパスを送ります。

 45分、熊谷選手のクロスに、ゴール前に走り込む満男選手ですが、クリアされます。

 右サイドでボールを持つ満男選手に、岩本選手のスライディングタックル。満男選手は倒されFKを得ます。

 ベガルタは岩本選手に代えて藤吉選手を入れます。

 ロスタイムは3分です。

 47分、平瀬選手がゴール左、ペナルティエリアの少し外で倒されFKを得ます。走っていく満男選手。本山選手、中田選手も来ますが、蹴るのはもちろん満男選手。ボールは見事な曲線を描き、壁を超えて落ち、ゴール左隅に飛びますが、GKがパンチングで防ぎます。

 ここからの右FK、満男選手はニアに走り込むファビアーノ選手にぴったりのボールを出します。ファビアーノ選手のすらしたボールは、ゴール前の長谷川選手の方に飛びますが、クリアされ、もう一度右のCK。今度は、ニアに飛び込んだ秋田選手の頭をわずかに越えてしまいます。

 そしてホイッスルが吹かれ試合終了。

 真っ直ぐにピッチの中央に向かう満男選手。列にはいると、両手をももに当てます。最後の最後まで勝つために走り、力を使い果たしたのでしょう。他の選手たちと一緒に、バックスタンドを回って、ゴール裏に向かう満男選手の肩は、普段よりも大きく左右に揺れて、疲労の大きさを物語るようでした。

(バックスタンドより観戦)

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