2000/8/30(Wed)

　山形だからなのか、それとも秋の訪れなのか、やや強い風と相まって、最近になく涼しい夜となりました。

　野沢選手と組んでアップする満男選手は、リラックスした様子。アップから上がるときには、何本もボールをゴールに蹴り込みます。松島選手がボールを渡したり、そのお相手をしてくれていて。最後には、銅像シュートを狙ったかのような、長いループシュートも打ってみたりして。足の調子は、FC東京戦の時より、相当よくなっているようです。

　キックオフ後、ポジショニングは2列目。前に飛び込む動きは、それほど多くなく、球をさばく感じです。

　満男選手、高桑選手のフィードボールを波戸選手とヘディングで競って交錯し、倒されますが、ノーファール。その後、しばらく痛がった様子を見せます。

　7分、本田選手が、ペナルティエリアのすぐ外で、外池選手を後ろから倒し、イエローをもらってしまいますが、今日のF・マリノスのFKは怖くありません。この時、前線に残る形になる隆行選手、久々のアントラーズ出場のせいかマークの相手がはっきりしなかったらしく、満男選手、指示を出して、マークの相手を教えます。

　右サイド、名良橋選手から、熊谷選手、満男選手と渡ったボール。しっかりキープして、持ち込み、ミドルシュート。ボールは惜しくもゴール左に外れました。

　左サイドで、後ろから来たボールを、ワンタッチでDFの裏、隆行選手に対して通しますが、隆行選手、ほんの少しタイミングが遅れ、ボールに触れず、惜しい!

　この他も、アントラーズはDFの裏にボールを出すことを意識した攻撃ですが、今ひとつ、ボールの出し手とFWのタイミングが合わないことが続きます。

　なぜか、前半は、ビスマルク選手が右に流れていることが多く、満男選手は、ほとんどの時間帯、左でプレーしていました。

　ビスマルク選手のミドルシュートが枠に飛び、GKが右手で防いだ直後の、16分、ゴール前、やや混み合ったところから、ユ・サンチョル選手ミドルシュートを打ち、それがきれいに決まって、先制されてしまいます。

　その後、前がかりになったアントラーズ、満男選手のパスから、ビスマルク選手がシュート。また、満男選手のパスから名良橋選手が、シュートと次々とシュートを打ちますが決められません。満男選手自身も自ら持ち込みシュートし、そのこぼれ球を隆行選手が打ちますが、これも決まらず。

　中盤のプレッシャーはそれほど強くなかったですが、満男選手は原田選手に何度かファールを受け、倒されていました。

　25分には、満男選手がタイミングを計り、DFの裏にボールを出しますが、隆行選手と意図が会わず、隆行選手は全く動きませんでした。プレーが切れた直後に、満男選手は、身振りも交えて自分の意図を伝えていました。

　ゴールライン際で名良橋選手を追い越すように相手選手に詰め、名良橋選手と挟んでボールを奪い取るなど、満男選手、守備にも光る点を見せます。

　後半終了間際には、給水しながら、自分の頭と手だけでなく、腿にも水をかけていました。

　前半開始早々には、体の切れがあまりよくないように見えた、満男選手ですが、前半終了に向けて、徐々に体の切れもよくなります。涼しくなったということもあったのでしょうが、プレーを続ける中で、だんだんと自分のプレーを確信していっているという印象を持ちました。

　そんな、調子を上げている中の、前半終了直前、満男選手はユ・サンチョル選手を左サイドライン際で止め、ファールを取られたことに対して、ボールを奪うように抱え、激しく審判に抗議していました。

　久々に、熊谷選手とそろってのスタメンでしたが、熊谷選手からのパスも多く、また、ほかの選手からも、満男選手に対してどんどんパスが出てくる状態で、彼のプレーに対し、他の選手達が信頼を寄せていることも感じられました。ファビアーノ選手も、ほとんど満男選手の指示通りにパスをだしていました。そして、満男選手がいい形でボールを持つと、周囲から、「満男!」「満男!」「オガサ」と一度にたくさんの声が。

　後半開始しばらくして、ビスマルク選手が満男選手に戻したボールが、隆行選手に渡り、隆行選手が左サイドから持ち込んでクロスを上げるも、長谷川選手、完全にふかしてしまいました。あと1度ほど、長谷川選手が決定的なチャンスを逃すことがあって、長谷川選手の調子は、今ひとつのようです。隆行選手は、前半はボールがキープできなくて、随分苦しみましたが、後半になってキープできるようになってきて、ほかの選手とのコンビネーションもだんだんに合ってきている様子です。

　満男選手は、アントラーズFKの時には、GKのすぐ近くにポジショニングを取ることが決められていたらしく、いつも川口選手と体を接していたのですが、ある時、FKからの流れが切れたときに、川口選手に肩を抱かれて何か話しかけれたりも。

　そして、9分、右サイドをえぐった名良橋選手が、低い弾道でマイナスに出したクロスに、隆行選手が反応してゴール!　1-1に追いつきます。

　ボールを持った相手選手の隙をついて、激しく体を寄せてボールを奪おうとした満男選手、肘うちされてしまい、しばらく脇腹を痛がる様子を見せます。これだけ、激しく守備ができるのも何試合ぶりでしょうか。足を気にしないでプレーできる状態になっているのかもしれません。

　熊谷選手が右サイドから中央に持ち込んだボールを満男選手に出し、満男選手、DFに向かって勝負し、ペナルティエリア内に持ち込みますが、3人のDFにつぶされます。ノーファールで流されますが、倒れた満男選手、かなり痛がっている様子でした。

　18分には、満男選手がワンタッチで左サイドの相馬選手にパス。相馬選手の上げたクロスに長谷川選手が飛び込み、川口選手の顔あたりに足が当たって交錯。長谷川選手にイエローが出て、川口選手は痛み、ピッチ上で手当を受けます。この長い中断中に、給水しながら満男選手は本田選手、相馬選手と言葉を交わしプレーの確認。そのあと、セレーゾ監督から満男選手一人だけに、長々と指示が出ていました。このプレーで川口選手が負傷し、榎本選手に交代。

　25分には、永井選手が、エジミウソン選手と交代。

　だんだんとコンビの合ってきた満男選手と隆行選手。満男選手が隆行選手にボールを預け、ワンツーで前線に抜け出す動きも見せますが、これはDFに阻まれました。

　ビスマルク選手が右サイドで倒され、頭を打ったらしく抱えて倒れてしまった時、なかなかプレーが途切れないので、満男選手は、目の前のユーリッチ選手にタッチラインを指さして、ボールを出すように要求します。一旦、ピッチ外に出たビスマルク選手ですが、問題なかったらしく、またピッチに戻りました。

　31分、原田選手、古賀選手と交代。

　32分、長谷川選手、羽田選手と交代。満男選手は、隆行選手と並んでツートップになります。今までも、FWがいなくなって、本山選手とツートップのようになったこともありましたが、その時にはいつものMFとしての動きとあまり差を感じていませんでした。今回の満男選手の動きは、すごくFWらしいものでした。自分で器用でないと言う満男選手ですが、こういう動きを見ていると、それが本当とはとても思えません。ポジションによって、すぐにプレーを変えられる器用で頭のいい一面を見せられた気がしました。

　名良橋選手のクロスに、満男選手、ヘディングで合わせますが、相手DFに体を寄せられてきちんと打つことができず、ボールはGKの手に。

　秋田選手の上がりから渡ったボールを満男選手がキープして中央に持ち込み、すぐ近くのビスマルク選手に預けるも、シュートはDFに当たって、決めることができません。

　満男選手のしっかりしたキープも、もう何試合ぶりに見るでしょう。FC東京戦でも、ドリブルで持ち込むシーンはありましたが、今回の方が回数もずっと多いし、きちんとキープできています。

　40分、古賀選手、ファビアーノ選手を倒してイエロー。

　41分、ビスマルク選手からボールをもらった満男選手が、DFの裏に抜けようとして、波戸選手、思わず満男選手を倒してしまいイエローをもらいます。

　それで得たゴール正面のFK。ボールの後ろには左にビスマルク選手、中央に名良橋選手が。満男選手はボールのすぐ横に立ちます。満男選手が軽く動かしたボールを、ビスマルク選手が直接ゴールを狙いますが、惜しくも右のポール。ゴーンという大きな音が、響きます。

　F・マリノスの選手倒れて、手当をしている時間にも、また満男選手はセレーゾ監督に呼ばれ指示を受けます。

　ロスタイム5分の表示。満男選手が手を叩いて、周囲に集中を促す姿が見られるようになります。

　そして、ロスタイムが3分ほど経過したとき、あっと気づいたら、前に飛び込んできた満男選手にボールが渡ったところでした。隆行選手が奪ったボールを、満男選手に渡したようです。満男選手は目の前のDFを一人抜くと、飛び出してきていた榎本選手に向かい、冷静に落ち着いて、榎本選手が倒れ込む上を狙いループシュート。アジアクラブ選手権でも、GKをよく見て落ち着いて上を狙った満男選手ですが、今回はそれよりも1拍多くボールを持ってる感じだったかな。この時、ガッツポーズを見せたらしいのですけど、興奮で、思わず立ち上がってて、大きいガッツポーズをしていたわたしは、すっかり見逃してます。祝福に来てくれた秋田選手が満男選手の頭を引き寄せて、しっかりと抱きしめます。

　その後も、アントラーズペースで、隆行選手もGKと1対1になるのですが、シュートはGK正面。

　そして、自軍ゴール前でエジミウソンが倒れてFK。満男選手、再び手を叩いて、集中を促します。そして、FKは大きくゴールを外れ、その瞬間、審判が二本の腕を大きく上げ長いホイッスル。試合終了。

　満男選手は、笑顔、また笑顔。礼が終わると、次々と他の選手達が彼の方に。頭をポンポン叩かれて。そして、これもまたにこにこと笑った熊谷選手、満男選手に話しかけて、二人でゴール裏に向かいます。ゴール裏、満男選手がサポーター席の前を通り過ぎる頃に、小笠原コールが。すぐに左手を軽く上げて、満男選手はコールに答えました。

　全体としてみれば、完全復調とは、まだいかない満男選手の動きだったと思います。ピッチ全体を駈けてボールをおうような姿は、まだ見られません。でも、中盤のプレッシャーがあまり強くなかったとはいえ、完全に満男選手のリズムでゲームメイクができたことは、今後への自信という意味でも大きいのではないでしょうか。

（バックスタンドより観戦）