2000/9/6(Wed)

　試合の数日後に電撃結婚の発表があって、なんやかんやで、レポート書かないままになっていた試合です。見ていたときは知るよしもなかったけど、これが、入籍して初めてのゲームだったのですね。これも、あやふやな記憶のままだけど、簡単なレポート書いてみます。

　改修前のカシマスタジアム最後の試合になった、このゲーム。ピッチは芝の状態が悪くて、茶色くなってしまったところが、かなり広い範囲で見られます。その芝のチェックに来る選手たち。満男選手は、確か、この日は珍しく私服姿だったはず。ピッチに出てくると、ほかの選手たちと話をしながら、くつろいだ様子で、ゴール前の辺りまで行きます。そして、メインスタンドの方に、ぶらぶらと歩いてくると、大人に抱きかかえ上げられた、1歳ぐらいの子にグッズを渡しました。このときの表情は、忘れられません。はっきり笑ってるわけじゃないんだけど、明らかに目が笑っていて、柔らかな、それはいい顔でした。

　試合前のウォーミングアップは、2000年のカシマスタジアムでは、ほとんどピッチ上でやっていたのですが、このときは選手はピッチに姿を現さず、メインスタンド下のアップ場で行いました。芝をこれ以上痛めたくなかったのでしょうか。試合前の選手コール、満男選手は、いつもはすぐに片手を上げて答えるのに、確か、この時は、隆行選手とボールを蹴り合うのに熱中していたせいか、気づかなかったようで、挨拶なしでした。

　準々決勝は、オリンピック代表に選ばれた選手は出場せず、アントラーズは柳沢、平瀬、中田、本山、曽ヶ端選手がメンバーから外れ、2トップが長谷川選手と隆行選手です。

　開始早々、古賀選手のボールを奪おうとタックルに入って、交わされる満男選手。三浦淳宏選手に替わって、F・マリノスの左サイドに入った古賀選手、鋭い動きを見せます。

　投げ込みの時に、くつろいだ様子を見せてくれた日は、体調もよいことが多いと思うのですが、試合が始まってみると、この日は、体のキレがよくなくて、最後まで、重い感じでプレーしてたと思います。8月に痛めた足首の調子を心配しながら見てたのですが、目立ってプレーに影響が出ることはなかったと思います。

　ドリブルでゴール前に進もうとして、後ろから古賀選手にチェックを受け、倒される満男選手。F・マリノス、今日は、厳しいチェックが目立ちます。

　23分、右サイドライン際で得たFK、ニアに入った満男選手がぴったりと合わせます。すこし山なりに飛んだボールは、バーの下、きっちりと枠の中に。川口選手、片手で何とかはじき返します。

　第1戦でついた1点のビハインドを追うF・マリノスですが、前半は、引き気味で攻め上がってきません。アントラーズがボールを持っている時間が、長くなります。39分、ビスマルクからのサイドチェンジ、グラウンダーの速いパスを、名良橋選手がワンタッチで、前の満男選手に。満男選手、右斜め前にドリブルで進みDFを引きつけたところを、左に切り返して左足でシュート。GK正面に飛んでしまいましたが、見事なシュートでした。

　43分、本田選手からのセンタリングを、ゴール正面で、DFを一人背負った状態で胸でトラップした満男選手、リフティングで腿、そして足先でボールをコントロール、DF2人が詰めてくる中、体を反転させて、シュート。川口選手が弾いたボールに、すかさずジャンプしてヘディングを狙いますが、これは届かず、倒れ込みました。リフティングで、一人でゴールに持ち込もうとする、面白いプレー。満男選手の能力の高さが光ります。

　ハーフタイム、引き上げてくるときに、カメラでアップになった満男選手、顔をしかめ、思いっきり悔しそうな表情を浮かべてます。

　ハーフタイムには、3日後にオーストラリアへ出発することになっているオリンピック代表選手たちの、壮行会が華やかに行われます。インタビューには、常に、オリンピックのことは考えていない、チームの優勝に向けて頑張っていると答えてきた満男選手、出入り口で、5人にすれ違うとき、何を思っていたでしょうか。

　後半から、F・マリノスは、外池選手に替えて、速さのあるエジミウソン選手を入れてきます。得点を取らなければならないF・マリノス、積極的に攻めに出てくるようです。

　11分、右サイドラインぎりぎりの低い位置でパスを受けた満男選手、2人のDFにすぐに詰め寄られ、ワントラップで体を反転させると、前に高いパスを出します。これが、隆行選手の胸にぴったりと合います。こういう苦しい態勢でも、単なるクリアボールにしないところにも、満男選手の技術の確かさが感じられます。

　12分、ゴールから25メートル付近、DFのクリアしたグラウンダーのボールを、ダイレクトでシュートする満男選手。ボールは、バーのはるか上を越えてしまいました。

　18分、エジミウソン選手の突破から、柳選手に決められ、第1戦からのリードを失ってしまいます。

　23分、DFのクリアボールをペナルティエリアの外、左寄りで受けた満男選手、ターンして倒れ込みながら、逆サイドの裏のスペースにパスを出します。そこに走り込んできたのは、熊谷選手。完全にフリーでボールを持つと、角度のないところからシュートを狙いますが、これは、クリアされてしまいました。

　25分、F・マリノス、ユーリッチ選手に替わって永井選手が入ります。

　29分、アントラーズは熊谷選手に替わって、羽田選手が入ります。ファビアーノ選手がボランチの位置に上がって、羽田選手はCBです。ハーフタイムにも、関ドクターが駆けつけてきていた熊谷選手、体調がかなり悪かったよう。

　アントラーズのCK、ペナルティエリア内で、DFにユニフォームをつかまれ、もみ合いのようになり、激しく振り払う満男選手です。

　両チームに、疲れの色が色濃く見えてきた42分、長谷川選手に替わって、野沢選手が入ります。野沢選手は、元気いっぱい、ピッチを走り回ります。満男選手は、少し前目の位置に入ります。

　この日、チャンスメークの点では、あまりたくさんの働きができなかった満男選手、守備には頑張っていました。鋭い出足で相手に詰め寄ると、古賀選手などからボールを奪う姿を、何度も見ることができました。

　44分、柳選手ののシュートがクロスバーで、難を逃れるアントラーズです。

　ロスタイムは3分。延長も覚悟したその時、右サイド、名良橋選手の上げたクロスが、隆行選手にぴったり合って、ヘディングシュート。試合を決めるゴールです。ゴール裏に向かって、吠えるように喜びを表す隆行選手。満男選手は、隆行選手に近寄り、頭を叩いて祝福します。

　そして、試合終了のホイッスルと同時に、崩れるように後ろに倒れこむ満男選手。いっぱいいっぱいだったんですね。一礼の後は、古賀選手と挨拶をして、サポーターに挨拶に向かいます。暑かったんでしょう、途中で立ち止まり、ストッキングを思いっきり下までおろしてました。

　足首のケガが、少しよくなってきたらしく、接触もいとわない積極的な守備も含めて、元気なプレーを見せてくれるようになってきた満男選手。アントラーズはこのあと、短いオフ。オフの間に、しっかりケガを治して欲しいと願っていたわたしは、まさか、この3日後に結婚の発表がオフィシャルからあるとは、夢にも思っていなかったのでした。

（バックスタンドにて観戦　レポート作成日2001.1.21）