2000/9/23(Sat)

　芝の悪さが心配されていた、総合陸上競技場のピッチですが、遠目から見る限りではきれいな緑。上着を一枚はおりたいような、観戦にはいい気候になりました。

　試合開始の少し前に発表されたメンバーは、両チームとも若手が中心。アントラーズはGKが古川選手。DFが内田、羽田、金古、根本、ＭＦが松島、本田、野沢、中村祥朗、FWが鈴木隆行、中村幸聖選手というメンバー。ベンチに加藤、秋田、ファビアーノ、熊谷、ビスマルク、小笠原、中島選手です。レイソルの方が、レギュラー選手がやや多くスタメンに入っている感じです。

　満男選手のアップは、スタメンの時とは、まるで様子が違います。いつもは、決められた動きを、きちんと一定のペースでこなしていくのですが、今日は、中島選手と話し込んで、腿上げがおろそかになったり、本田選手にも話しかけてみたり。ボール回しは野沢選手とペアだったのですが、くるっと回るところが回らずにいたり、スタメンの野沢選手の集中が乱れるんじゃないかと、余計な心配をしちゃったりして。でも、アップの最後までボールに触っていたいところは、いつもと同じようで、ゴールにボールを蹴りこんだりしていました。ほとんどの選手が引き上げたあとで、引き上げていく満男選手です。

　そこに、場内を1周して、お客さんに愛嬌を振りまいていた、しかおファミリーが待ちかまえていて、満男選手に花束を差し出します。満男選手は、さっと、それを取って、掲げるでもなく、抱きかかえるでもなく、ちょっと照れ隠しもあるのかな、ブラブラと振りながらメインスタンド下に入っていきました。アナウンスも何もなかったので、メインスタンドのお客さん以外、ほとんど気づかなかったと思うけど、多分あれは、しかおファミリーからの結婚祝い。満男選手もいい家庭を作ってね。

　選手入場に続いて、ベンチに入った満男選手は白地のタオルを首にかけた格好。隣に座ったファビアーノ選手となにやらしゃべっています。満男選手、練習の時などもブラジル人選手やスタッフの人と、会話していることが多いのですが、何語で話しるんでしょう。このあとも、特に身振りを交えることなく、何度かファビアーノ選手と会話をしていました。

　試合開始、U-19の遠征メンバーに選ばれたばかりの、羽田、野沢、根本選手始め若い選手たちは、はつらつとピッチを駆けめぐります。ベンチの選手たちは、言葉を交わしながら、笑顔でそれを見守って、少しのんびりした、普段のJの試合では見られない光景です。

　そんな風に、わたしがベンチウオッチャーになっているあいだに、先制点を決められてしまいました。藪崎選手のミドルシュートです。

　ベンチの選手は、見ているうちに体が冷えてきたのか、加藤選手が何人かの選手の上着を持ってきます。満男選手は、それをはおるのではなく、膝に掛けて観戦です。

　そして25分、なんと本田選手と黄善洪選手の乱闘。まず、本田選手がボールを持ったところをレイソル、酒井選手に押さえ込まれて蹴りを入れてしまいます。ここで、審判が本田選手にレッドカードを示しているところに、黄選手、駆け寄ってきて本田選手を突き飛ばします。これで切れた本田選手、黄選手につかみかかろうとして、周囲が2人を必死に押さえます。セレーゾ監督まで、第4審判が止めるのも効かずピッチに入って、本田選手を後ろからつかんで引き離そうとして、西野監督もピッチに入って本田選手をなだめようと謝っている様子で、大混乱。本田選手、結局、トレーナーの人に付き添われるようにピッチを去りました。これで、もちろん黄選手にもレッドカード。10対10の戦いになります。

　この試合、とにかく目立っていたのは、左サイドの根本選手、パスの精度も高く、ドリブルもよく、運動量もあります。それから、ボランチの位置に入った松島選手。本来は右SBの選手ですが、危険の芽を摘む働きが目立ちます。そして、CB羽田選手。途中出場から、もう何回かトップの試合にも出ている選手ですが、最終ラインで、抜群の落ち着きを見せます。

　0-1で前半終了。満男選手はベンチから立ち上がり、膝に掛けてた長袖のジャージを着ながら、大きなあくびをしてピッチに向かいます。試合中は、熊谷選手や周囲の選手たちと話をしたりしながら、熱心にピッチを見つめていた満男選手ですが、やっぱりボールに触ってないでただ座っているっていうのは退屈なんでしょうね。トレーナーと一緒にアップを始めた熊谷選手以外、秋田、ビスマルク、ファビアーノ、中島、加藤、満男選手という豪華なメンバーで、ハーフタイム恒例の鳥かご。満男選手も生き返ったような笑顔を見せます。妙に素直に中に入るビスマルク選手とか、勝ったと思って外に出ようとして、ほかの選手にダメって言われて、すごすご戻る満男選手とか、ともかく、みんな楽しそう。最後の方には、ヘディングでボールを回し初めて、ヘディングの鳥かごは始めて見ました。みんな、遊びに遊んでいるっていう感じで、普段だったら、途中からロングボールを蹴りあうのにそれもなく、鳥かごをやめたのが、レイソルの選手たちがピッチに戻ってきてから（笑）。満男選手、地面に落ちていたジャージを拾って歩き出しました。自分は着たままだったから、ほかの選手のですよね。そして、何か会話があったのか、満男選手、持ってたジャージをぽーんと中島選手に放り投げてました。

　後半開始早々に、隆行選手が倒れて得た左サイドよりのFK。右に根本選手、左に野沢選手が立ち、根本選手が蹴ると見せかけて、そのまま左サイドのコーナー方向に走り込み、野沢選手も直接ゴールを狙うと見せかけて、その根本選手にグラウンダーの速いパス。それを受けた根本選手がファーサイドにクロスをあげ、羽田選手がヘッドで落として、幸聖選手がシュート。GKがはじいたボールをもう一度、幸聖選手がシュート。惜しくもゴールにならなかったけど、若手の選手が、やりたいことを思いきりやっていると感じさせる、一連のすばらしいプレーでした。

　そして、熊谷選手が交代になろうかという後半8分、松島選手が右サイド走り込んだ平山選手を倒して2枚目のイエロー。9人対10人になります。熊谷選手は幸聖選手に交代。少し前からアップを始めていた満男選手もベンチ前に呼ばれ、ストレッチをしながら、プロテクターを着け、ジャージを脱ぐという手慣れた様子で準備、祥朗選手と交代になります。そして、その直後に野沢選手がビスマルク選手と交代。満男選手と野沢選手のコンビネーションが見てみたかっただけに、これはちょっと残念です。そして、立て続けに、今度は内田選手とファビアーノ選手が交代。こうなると、フォーメーションがどうなってるか、さっぱりわからなくなりますが、どうやら、ファビアーノ選手がCBにはいり、根本選手が1つあがって、3バックになった模様。セレーゾ監督、主力選手をどんどん投入して、ちょっと勝つことにムキになってるのかもしれません。

　そして、交代で入った選手たちも、勝敗へのこだわりを見せてくれます。15分くらい、左サイドからマウリシオ選手があげたクロスが左サイドに流れたところ、完全にタッチラインを割るかと思われたボールを、満男選手はあきらめず走り込み追いつきます。

　ビスマルク選手のFK、相手選手のヘディングでのクリアボールを、満男選手、左足ダイレクトでシュートしますが、これはバーの遥か上。

　そして、守備に戻っては、自陣コーナー近く、相手選手を根本選手と囲んでボールを奪い取ります。

　金古選手がゴール前でヘディングでクリアしたボールを、ヘディングで受けた満男選手、飛び上がっているあいだに砂川選手に後ろからぶつかられ、ピッチに倒れます。すぐに起きあがることができましたが、危険なプレーでした。

　右タッチライン沿いで、二人のDFに囲まれた満男選手、タッチラインに向きながらもボールをキープし、結局相手選手は満男選手を倒すしかなくなり、FKを得ます。

　根本選手が相手陣内から80メートルくらい走って戻って、取り返したボール、速攻で隆行選手が受け、シュートしますが、惜しくもポスト。

　左サイド、根本選手がトラップでうまく相手をかわして上げたクロス、ファーサイドに走り込んだ満男選手、胸で地面に落とし、打とうとした瞬間にDFにクリアされシュートが打てません。

　右CK、DFに当たって跳ね返ってきたボールがワンバウンドしたところを、ペナルティエリアのすぐ外から満男選手、右足でダイレクトに打ちますが、これは惜しくもゴールわずかに右。

　立て続けの選手交代のあと、一人人数が少ないながらも、攻めの形の作れていたアントラーズですが、後半35分、レイソルにCKから1点追加されてしまいます。

　少ない人数、少ない残り時間で2点差。しかし、選手全員が、ピッチを駆け回って、勝負へのこだわりを見せます。前半から、最後尾まで戻っても守備をしていた隆行選手、この時間帯になっても、ボールを追い続け、走り続けて、気力を見せてくれます。

　そして、1点返せたのは、後半41分。ビスマルク選手から出たスルーパスを左サイドで受けた根本選手、DFをかわして角度のないところからシュート、GKがはじいたところ、ファビアーノ選手が押し込みました。あと1点。

　右サイド、満男選手からのアーリークロスはちょっと長く、隆行選手に通らず、残念。

　レイソル平山選手がファビアーノ選手と交錯して倒れたとき、満男選手、ちょっと平山選手をのぞき込むような様子を見せます。普段、チームメイトが倒れても、わざわざ近寄ったりすることのない満男選手としては、珍しい光景。

　ぎりぎりまで執念で1点差を追ったアントラーズの、最後のチャンスはビスマルク選手のFKから。前線にいた熊谷選手、ボールを受けるときれいに体を反転させてシュートしますが、わずかにバーの上でした。

　ひたちなかカップの授与が終わって、今日はバックスタンドに陣取っていたサポーターの方に、ほかの選手と一緒に歩きかけた満男選手、ふと気づいたように向きを変えて、レイソルの選手の方に向かいます。どうやら、南選手に話しかけに行ったよう。自分から、相手選手に話しかけに行くのはとても珍しいことですが、曽ヶ端選手からの伝言でもあったかしら。南選手と話しながら、満男選手は、すれ違った大野選手の肩をぽんと叩いていました。

　心配された雨も降らず試合は終わりました。途中出場の満男選手、退場者が多くて広くなったスペースを、前線から最後尾まで駆け回って、結局勝つことはできませんでしたが、いいプレー見せてくれたと思います。

（ホーム側ゴール裏より観戦）