2000/10/9(Mon)

　雨の鹿嶋。祝日とあって、見学席にはたくさんのファンの人たちが詰めかけましたが、みんな、傘をさしたりポンチョを着ての観戦となりました。といっても、雨もそれほど強くなく、割と暖かい天候でした。

　9時40分頃、グランドに到着したときには、流通経済大学の選手たちはすでにアップを開始していました。10時少し前に、アントラーズの選手たちも登場。先頭に出てきたのが、遠目からも金髪が目立つ隆行選手と満男選手。ずっと二人で何かしら話しながらやってきました。Bグランドに到着すると、すぐに満男選手はボールを触り始めます。相手チームのアップの様子なども気にしながら、リフティング。

　アップは、幸聖選手と会話しながら。立ったままの前屈の場面や、腿を上げるストレッチでは、満男選手に里内コーチが付き添います。いつもは付き添いはないので、多分、腿の後ろあたり、先週の水曜日の練習で気にしていたところなど、完全な調子ではないのかもしれません。特に、右腿の後ろを伸ばすストレッチは、少し膝をまげてやっていたので、かなり注意深くなっているのかも。

　黄色の小さなコーンで作られた短いコースを、ダッシュしたり、1回転してから走ったり、バリエーションを変えてやったのち、グランドに広がってのパス交換。これも、幸聖選手と組んで行っていました。アップを行いながらも、やはり相手チームが気になる満男選手。ときどき、まじまじと見つめてました。公式戦でもアップ中、相手チームに何か変わったことがあると、絶対にチェックを入れている満男選手。というか、ちょっと気が散りやすいのかも（笑）。前に、FC東京だったかしら、号令をかけてアップし始めたときも、声を聞きつけるなり、好奇心いっぱいに眺めてた姿、印象的でした。

　試合開始の前に、アントラーズの選手たち全員がグランド上で着替えます。赤の練習着と紺の短パンの上に紺のウインドブレーカーという格好から、アウエイ用の白のユニフォームに。なぜか普段の背番号と違う選手がいて、隆行選手は12番、幸聖選手は8番でした。

　この時の満男選手の着替え方は個性的。練習着を片袖だけ脱いだ上から、ユニフォームを着て、そして下の練習着を抜くという、いわゆる女脱ぎ（笑）。1stのレイソル戦でベンチに下がったときにも同じ着替え方をしてたので、驚きはしなかったけど、どうして、そんなややこしいことするのかしら。下にはアンダーシャツ着てるから、練習着脱いじゃっても、裸になるわけじゃないのに。これもまた、満男選手の謎ですね（笑）。

　ちなみに、ハーフタイムに、雨に濡れたユニフォームを着替えたんだけど、このときは、見学席に背を向けて、ユニフォームとアンダーシャツを両方いっぺんに、さっさかと脱ぎ、上半身裸になって着替えておられました。ああ、着替えの仕方までチェックするなんて、わたしって変態と思いながらも、しっかりチェックさせてもらいました（汗）。だって、どこで意表をつくことするか分からないから、目が離せないんですもの（笑）。

　そして、多分10時25分頃に試合開始。アントラーズのスタメンは、GK曽ヶ端。DFが右から名良橋、秋田、熊谷、祥朗。ボランチがファビアーノ、相馬。攻撃的MFが満男、ビスマルク。FW隆行、平瀬。2日後の、ナビスコカップ準決勝第1戦、グランパス戦のスタメンを予想させるメンバーです。多分、CBに入っている熊谷選手の代わりに、U-19のイラン遠征に行っている羽田選手が入るのかな。

　さすがに、これだけ普段とメンバーが違うと、コンビネーションに問題が出るのか、試合開始直後はかなり不安定。相手チームが引き気味なのも手伝って、なかなか攻撃が形にならなかったり、オフサイドを取られたり。明後日は大丈夫かと思っちゃうようなできでしたが、時間が経つにつれて、目に見えてよくなっていきます。

　わたしが憶えている得点シーンは3回。どうも、アントラーズ4点入れて、4-0で勝ったらしいのですけど、1点分、どうしても思い出せないの（笑）。練習モードのゆったりした気分で、試合見ちゃってたらしいです。ちなみに、時間も前後半35分ハーフだったらしいんだけど、それにも気づいていませんでした（笑）。

　1点は、バックラインで秋田選手（もしかしたら相馬選手かも）がボールを持ったところから始まりました。それを見た3人の選手が猛然と前方に走り込みます。右サイドに名良橋選手、真ん中に満男選手、そして、中央少し左寄りに、多分平瀬選手。ロングボールがコーナー近くの名良橋選手に渡り、名良橋選手は中に折り返すようにDFをかわし、左側にパス。満男選手は、そのボールに軽く触って角度を変え、、さらに後ろから走り込んで来た隆行選手にぴったりと合わせます。隆行選手、その絶好のパスを、確実に決めてゴール!!　流れるような美しい攻撃でした。

　それから、左サイドに流れていた満男選手の見事なサイドチェンジからの1点もありました。ハーフラインから少し前で、後ろに倒れ込みながらの見事な右足のパス。右サイドの味方選手（多分隆行選手）にぴったりと合い、その選手がドリブルで少し中に持ち込んでクロスを上げ、ゴール前の選手（多分平瀬選手）が決めて1点。満男選手の倒れ込みながらのパスって、よく見る気がするのですけど、パスがあまりに美しいので、わざと倒れてるのかとも考えてしまうほどです。

　そして、右サイドにいた満男選手のきれいなアーリークロスが、ゴール中央の隆行選手のヘッドにドンピシャに合って、1点。

　どうやら、隆行選手がハットトリック、平瀬選手が2点取ったらしいのですが、わたしの憶えているのはこの3点だけ。

　得点に絡んだ満男選手のプレー、どれも美しいパスでしたし、動きもとてもよかったと思います。ただ、20分くらいからかな、かなり息があがってました。間近の見学席から見てるせいかもしれないけど、これだけ息があがっている満男選手は始めて見ました。前半だけの出場ということが分かっていて、飛ばしてたのかもしれません。

　ジャンプして胸でボールを受け、体を思いきりひねって味方選手にパスを出す姿とか、何度も繰り返される、前線への走り込みも迫力ありました。それから、相手選手に向かって、ドリブルで仕掛けていく回数が普段の試合より多かったです。きれいに抜けることはあまりなかったけど、少し無理でも向かっていく姿勢から、これからドリブルも積極的に使っていこうという満男選手の気持ちを感じました。満男選手、いつも自分なりの課題を持って試合に取り組んでいるのではないかしら。

　この試合、満男選手と隆行選手が絡んでの得点が多かったのですが、得点になった場面だけでなく、この二人はホットラインを形成してるようです。右サイドの前寄りで満男選手がボールを持ったとき、ゴール正面の平瀬選手をちらと確認して、満男選手はそのままボールを少しの時間キープ。右サイドから走り込んできた隆行選手に合わせてパスを出してました。確かに平瀬選手の周りには3人のDFがいて、パスを出しにくい状況ではあったけど、隆行選手に対する信頼感を感じました。

　前半途中、左サイドにいた満男選手にパスが渡ろうとした瞬間、隆行選手が、「満男!」と大きな声をかけて、ライン際、すぐ後ろから満男選手を追い抜いていきました。その声は、満男選手に届いたと思うけど、満男選手は、大きなサイドチェンジのパスを選択。全速力で走っていた隆行選手、ボールがはるか遠くに行くのを見て、思わず「ギャ〜」と声を上げて、見学席の笑いを誘ってました。

　そうそう。席が近いから、コーチングの声がよく聞こえたんですけど、わたし、初めて満男選手がコーチングしている声を聞きました。ちょっと自信ないけど、多分、満男選手の声だと思います。ほかの選手より、ちょっと高めの小さな声だから、練習中も聞き取れなかったのかしら。左サイドで、自分の後ろから上がってくる祥朗選手に、「取って」「そのまま前に、前に」とか、誰にだったかな「開いて、開いて」とか。こういうコーチングが聞けるのは、練習試合ならではですね。

　相手が守備的だったし、力の差もかなりあったから、守備面ではあまり見せ場はなかったけど、左サイドでうまく体を入れてボールを奪ったとき、その選手に、後ろから思いきり押されて倒されてました。出場停止やケガの選手でメンバーが少ない今、これ以上けが人が出ては大変。ひやっとしましたけど、問題はなかったようです。

　ハーフタイムに入ると、満男選手は相馬選手と話をしながら、ゆっくり給水します。その後、ベンチに座る熊谷選手の横に腰かけて、長い間、話をしてました。というか熊谷選手の話を聞いてる時間が長かったんじゃないかしら。そして、立ち上がると自分から関塚コーチに近づいて、何やら相談している様子です。そこに、里内コーチも来て、少し話をしたあと、里内コーチ、満男選手をうながすように体を押して、満男選手はベンチに着替えに行きました。この日は雨よけの簡易テントみたいなものが、それぞれのベンチに用意されていました。

　練習試合の後半が始まると、満男選手は幸聖選手と里内コーチと3人でフィジカルトレーニング。幸聖選手の番のときには、右と左に満男選手と里内コーチが立って、交互にボールを幸聖選手に投げて、幸聖選手がバスで返したりして、それを満男選手と幸聖選手が入れ替わってワンセット。倒したコーンを使ったり、いろいろなパターンで行っていました。後半10分に、幸聖選手が交代で入ってからは、それまで試合を見ていた隆行選手がフィジカルトレーニングを始めて、やはり3人で続けます。いつもは試合2日前には、2時間みっちりとトレーニングしてるはずだから、練習試合の前半35分だけの出場では、足りないんでしょうね。

　そうそう、ハーフタイムに気づいたんですけど、リハビリ中の中田浩二選手も、ゴール裏のベンチに出てきて、試合の行方を真剣な表情で見つめてました。隣には長谷川選手がいて、長谷川選手はまだ試合に出られるほどは回復していないようです。

　途中、何回も休んでは試合を見つめることをくり返しながらトレーニングを続け、まだ試合の続いている11時40分頃に、満男選手は隆行選手と上がっていきました。ロッカールームに向かう途中、右側のサブグランドでは、中学生ぐらいの選手たちかな、やはり試合が行われていたのですが、二人はしばらくその試合を見ていたようです。見学席からは、木立の向こうで、はっきりは見えませんでしたけど。そして、満男選手は5分くらいしてから、ロッカールームに戻りました。そのとき、隆行選手は一緒じゃなかったんですよね。あの金髪の隆行選手を見逃すはずないから、隆行選手だけが木立の向こうで、試合を見続けてたのかもしれません。

　右腿の具合、気になるけど、またまた、美しい満男選手のプレーが見られて、満足の練習試合でした。