2000/12/6(Wed)

　 前日にショッキングなニュースを聞かされて、思考能力が半分停止し ていたので、すごくぼんやりと練習を見ていました。久しぶりの鹿嶋は、晴れ。練習開始の時間には、日なたは、暖かさがありましたが、芝の生えそろったAグランドは日陰。見学席にも日は当たらず、凍えながらの練習見学になりました。

　 3時の予定時刻を10分ほど過ぎた頃に、秋田選手が姿を見せます。取材に訪れていた、NHKの山本アナウンサーと長谷川健太さんと、楽しそうに話をする秋田選手。そのあと、固まりになって出てきた選手やスタッフさんたちの先頭に、満男選手の短パン姿がありました。グランドの中央の、日なたの方に向かって歩き、秋田さんと言葉を交わしている様子です。

　 ボールを使ったアップ。手に持って、地面を転がしたり、ちょっと変わったやり方です。満男選手は、何ヶ所か、他の選手と違う動きをしていて、右スネの具合が、まだ完全ではないのかそれとも、他に悪いところがあるのかもしれません。右スネのプロテクターは、左より若干持ち上がっているようで、まだ、クッションを入れながらの練習みたいです。今日の練習、金古選手が別メニュー、中嶋選手の姿が見えませんでしたが、あとは全員揃っています。他にも2人ほど、満男選手と同じように、何ヶ所か違う動きをしている選手を見かけました。

　 ストレッチのあいだ、なんだか、額に縦にしわが寄ったような表情をしていた満男選手、どうやら寒かったみたいです。ストレッチが終わると、足元にボールを転がしながら、グランドの端まで手袋取りに行って。また、転がしながら帰ってきます。通りがかった名良橋選手と、なにやら会話。次の練習は、30メートルくらいのところを、全員でドリブルで行ったり来たり。ドリブルの種類とか、いろいろバリエーションをつけてくり返します。満男選手は、ドリブルのところを、腿でリフティングしながら走ってみたり。走り終わったところで、ボールをまたぐ動作を、左右の足で何度もくり返して、里内さんと笑いあったり、ともかく、元気な様子。一度だけ、右足を痛がる様子が見えた気がしたのですが、たいしたことはなかったようです。練習が、ちょっと途切れたときにも、一人でリフティングして、体をくるっと回して、腰骨のあたりで受けてみたり。ヘディングでリフティングをくり返したり。ボールを自分の額に向かってぶつけて、ヘディングの練習のようなことをしてみたり。手鼻をかんだり（汗）。ボールを触っている時は、いつも楽しそうな満男選手だけど、今日はさらにいっそう、表情が豊かです。が続いている中でも、過度の緊張はない様子で、公私ともに精神面が充実していることを感じさせます。

　 アップが終わると、5対5のミニゲーム。レギュラー組とサブ組を完全に分けた組分けで、こんなにきっちり分けているのは始めて見ました。ピッチを縦に分けて、細長く使っています。見学席側のレギュラー組は、ビブス組が満男選手、名良橋選手、熊谷選手、隆行選手、秋田選手。ビブスなし組がファビアーノ選手、中田選手、ビスマルク選手、相馬選手、柳沢選手と、これも、右サイドと左サイドをきっちりと分けた組分け。

　 セレーゾ監督がサブ組の方に行っているあいだに、満男選手は、隆行選手、熊谷選手、名良橋選手とボール回し。そのうち、名良橋選手が何かあったのか、クラブハウスの方に消えていって、しばらく3人でボールを回していました。セレーゾ監督がやってきて、ルールの説明。3タッチ以内ということみたい。縦にも長さを切って、コートの1/4くらいの面積の細長いエリアで、シュートの手前まで持っていく練習。実践的で、白熱してます。満男選手は、隆行選手にパスを通したり、隆行選手と同じくらい高い位置に上がったり。元気な様子です。

　 しばらく行ったあとに、相手チームを交換。満男選手のチームはビブスを取って、見学席から遠いサイドで、サブ組の左サイドチームと対戦しますが、これは、遠くてよく見えませんでした。

　 近くでは、中田選手と相馬選手が、プレーを続けながらの打ち合わせ。「〜の時はどうするの?」「それは、おれが絞るから、なるべく二人で穴が出来ないように」「絞ると、オレが開かなきゃいけなくなるから」「それは、オレも同じ……」と、全くのタメ口の中田選手と、ボールが動かしながらとは思えないほど、理論的な語り口の相馬選手です。

　 ミニゲーム終わると、攻撃練習。その前だったか、セレーゾ監督が選手を一堂に集めて、ピッチの上で話を始めました。最初は座って聞いていた満男選手ですが、そのうち、だんだん横になっていって、隣の内田選手も向かい合うように横になっていきます。ちょっと見に、怪しげな雰囲気を醸し出す二人（汗）。でも、2人のあいだに割ってはいるものが。それは、ボールでした（笑）。満男選手、2つもボールを抱えて、手でいじりながらセレーゾ監督の話を聞いていたのです。

　 攻撃練習の前に、中田選手、秋田選手、熊谷選手、ビスマルク選手、ファビアーノ選手などは上がっていったようです。一人っきりになったCBの羽田選手は、コーチの人を相手に、黙々とトレーニングをこなしてましたが、こういうときにも明るい雰囲気をかもし出すのが、羽田選手らしいところでしょうか。

　 練習メニューは、はっきり憶えていないのですが、サイドから、FWにくさびのボールを入れて、落としたところをゴール前にあげたり、。後ろから出たボールを、FWがサイドに流し、サイドバックがアーリークロス、FWが決める練習とか。サイドを深くまでえぐってセンタリングをあげる練習はなく、速い攻めの練習に見えます。満男選手は、右サイドの名良橋選手や、内田選手と楽しそうに話したりしながらの練習です。

　 練習が少し途切れたときには、本山選手を相手にパス交換などしていた満男選手ですが、石井コーチを相手に2回ほど、ロングボールを蹴る練習もしていました。一度は、30メートルくらいの、少しゆっくりとしたパスを5回くらい。もう1回は50メートル級の、速いロングボールをやはり5回くらい。全体練習の途中や上がり際に、いつも、楽しそうにボールを蹴っている満男選手だから、こういうことをやっていても目立たないけど、蹴るボールの種類を決めて取り組んでいるのは、単に遊んでいるわけではなく、自主トレだと思います。今日は、練習の途切れる短い時間を利用してトレーニングしているところを見ると、用事があって、遅くまで残れないのかも。

　 攻撃練習の途中からは、満男選手、ピッチの中央付近に移動して、前の選手に球だし。左サイドにいた野沢選手と位置が近くなったら、すかさず、ボールを蹴ってぶつけています。センターの右側にいた松島選手ともじゃれあっていて、松島選手の球出しのボールがとんでもないところに飛んだときには、大笑い。声は聞こえなかったけど、口の形は「お〜、ほほほほほ」でした（笑）。他の選手とじゃれ合うときだけじゃなくて、他の選手のシュートを見ながらも、なんだか、笑顔になっているのが、今日の満男選手がいつもと違うところ。ホント幸せそうな様子です。

　 で、今日のわたしは、完全にボーっとしていて、早めに上がるかもと予想しながら、満男選手が上がるのを見逃してしまいました（汗）。5時10分くらい前に上がっていったのかな。気づいたときには、ロッカールームの前で、一人の記者の人につかまってました。立ち話としては、ずいぶん長い取材で、球出しの時に、すでに体が冷えるのではないかと心配していたわたしは、さらに心配になったのですが、最後に記者の人に、鹿ガーデン前を指さされて、その方向を見た満男選手は笑っていましたから、取材を楽しんでいたのではないかと思います。取材が終わって、30分ほどして、ロッカールームから出てきた満男選手は、ファンの子に声をかけられることもなく帰っていきました。

　 練習から上がってすぐに、体の手入れをしなくてよかったのは、コンディションがよい証拠。充実した表情で、これだけ、い いムードで練習に望めていれば、チャンピオンシップ第2戦でも、いいプレーを見せてくれると確信できた練習風景でした。