2001/4/14(Sat)

　夜7時からのキックオフ。夜の観戦も、寒くはないくらいの気候になってきました。

　他の選手たちから、かなり遅れて投げ込みにでてきた満男選手。スタジアムに着いてすぐに着替えたのでしょうか、練習着姿です。短パンに、ストッキングを下げた恰好で、だるそうに歩いてピッチに向かいます。隅っこを、ちょっと触ると、メインスタンドの方向に戻り始めたのですが、そこに、広報の野見山さんがやってきます。長いこと話をする満男選手。野見山さんが、ゴール裏のほうを向いて、満男選手を押し出そうとしているように見えます。ゴール裏のサポーターに、グッズをわたしに行くよう勧められているのかもしれません。笑いながら話していた満男選手は、結局、ゴール裏には向かわず、メインスタンドにグッズを投げ込んで、去っていきました。

　瑞穂競技場の上には、暗い雲が立ちこめて、6時半くらいに、一時、雷が鳴ってバラッと雨が降ったのですが、試合が始まる頃には上がっていました。

　両チームの選手とも、アップをピッチで行ったのですが、雨を避けていて、しっかりは見ていません。3日前の練習で気にしていた右太腿の裏ですが、ストレッチは普通にやれているようで、試合に影響はなさそうです。ダッシュに入る前に、いつもと同じようにボールを拾った満男選手はミドルシュート。バーに当たりながらも、しっかりとゴールに入りました。

　選手入場に続いて、ストイコビッチ選手が表彰されます。そして、写真撮影のあと、ピッチを交換する選手たち。両チームとも、まずは、自分たちのサポーターに向かって攻めていくことになります。

　7時過ぎにキックオフ。ユニフォームを着た満男選手、ふくらはぎの太さが、元に戻ってきている感じです。一時、痩せたように見えたのですが、体重が戻りつつあるのかもしれません。ポジションに着くと、パンツの下のサポーターが気になるらしく、しきりと引っ張っています。

　1分、ビスマルク選手の左CKに、秋田選手がヘッドで合わせて、早々に1点先制。満男選手は、自陣まで戻ってから、ハーフラインの辺りで、戻って来た秋田選手を笑顔で祝福します。

　先制したといっても、このあいだのジュビロ戦でも、先制点をひっくり返されて負けていますから、安心はできないところ。選手たちも、もちろん、1点を守りきる態勢ではなく、積極的に攻めていきます。

　ジュビロ戦で、中盤の激しさに負けた感じのあるアントラーズ、今日は、その反省もあるのでしょうか、最初から激しくチェックにいきます。試合後のセレーゾ監督の記者会見によると、ビスマルク、ウェズレイ、滝澤選手がボールを持ったときには、近くの選手がつぶしにいくように指示がでていたとのこと。グランパスは、アントラーズの勢いに押されてしまい、完全なアントラーズペースです。

　満男選手も、積極的な守備が目立ちます。こういうときに中盤で守備をするのは、ボランチの2人と満男選手。そういう影響もあってか、ビスマルク選手が高い位置にいて、満男選手のほうが、下がったポジションにいることが多いようです。

　リーグ戦で初スタメンの根本選手も、積極的に上がり、クロスを上げたり、サイドチェンジを狙っていきます。前半途中で、ちょっとミスが続いたかと思ったのですが、その後、また精度を取り戻していきました。失敗しても何回もトライする思いきりのいいプレーは魅力的です。

　ウリダ選手が攻撃参加に駆け上がると、全力でマークに来る満男選手。しつこい守備を見せます。

　9分、ドリブルで上がっていく満男選手を、今度はウリダ選手が倒して、イエローカード。この2人のマッチアップは、この後も続きました。ここで得たFK、ゴールから25メートルほどの、右寄り。根本選手も呼んで、ビスマルク選手と話をする満男選手でしたが、結局はビスマルク選手にFKを任せて、ポイントを離れます。

　一旦は左サイドに流れていた満男選手ですが、ストイコビッチ選手が左に流れる癖があるせいでしょうか、それに合わせるように、アントラーズの右サイドでプレーする時間が増えます。ストイコビッチ選手がコーナーでボールを持つと、思いきり詰めていく満男選手です。

　左サイド、満男選手、隆行選手、根本選手とキレイにボールが渡ります。

　左サイドで3人に囲まれてしまいますが、しっかりとFKを得ます。

　24分、そのFKのあと、ルーズボールにとっさに右足を高く上げ、オーバーヘッドで隆行選手にパス。満男選手らしい、面白いプレーです。

　25分、右サイド後方で、ハンドでファールを取られてしまいます。故意ではないと思うんですけどね。

　右サイドで守備に入って、縦のコースを消そうとして、平岡直起選手に股抜きされ、横パスを通されてしまう満男選手。これは、心外だったと思います。

　右サイド、相手選手に詰められながらも、速い判断でパスを出した満男選手、ボールを離したあとで、その選手に後ろから突き飛ばされ倒れますが、主審は流します。アドバンテージを見たのかもしれませんが、どうも、ボールのないところでのファールが、見逃されてしまっている印象があります。

　27分、左サイドで、ボールを出そうとして、ミスパスか、根本選手と合わない満男選手。そのあと、根本選手と確認し合っています。

　守備に効いている満男選手ですが、前線への走り出しも健在。長い距離を走って、最前列に飛び込んでいきます。

　30分、古賀選手に入るパスを、後ろから奪おうと走り込んだ満男選手、古賀選手の右肘で払われて、倒れてしまいます。仰向けに倒れたきり、全く動けない満男選手。プレーは、そのまま続行されます。グランパスが攻め込んで、アントラーズボールになっても、まだ、ボールが出されず。結局は、倒れている満男選手の位置を越えて、ボールが帰って、オフサイドでようやく止まりました。

　タッチラインまで歩いて出て、トレーナーと、ドクターにチェックを受けているのは、口の中でしょうか。どうやら、切れて出血してしまったようです。関ドクターは、このところ忙しいのか、今日来ているのも、別のドクターです。立ったまま口の中を調べられていたのですが、座って、何か塗られたのかしら、止血してピッチに戻ります。

　直後、左サイド、根本選手が満男選手とのワンツーで上がっていきます。狭いところを通したプレーで、お互いの意図が合っていることが感じられます。

　35分、後方からのパス、小さくバウンドしたところを、クルリと振り向いて、ワンタッチで前方ビスマルク選手にパス。ビスマルク選手から、DFの裏の柳沢選手にいいパスが通ります。さりげないけれど、気の利いたプレーです。

　NHK田代アナウンサーによると、セレーゾ監督からは、滝澤選手のスペースへの飛び出しに気をつけるように指示が出ていたとのこと。指示通り、滝澤選手がボールを持つと、体を寄せて止めに行く満男選手。倒してファールになります。滝澤選手の肩を、ぽんと叩く満男選手です。

　ビスマルク選手のイエローカードに対して、おだやかな表情で抗議にいく満男選手。試合が進むにつれて、審判の判定に抗議したり、ポイントのズレを、細かく指摘することが増えていきます。

　45分、右サイドを上がってクロスを入れようとした満男選手、2人のDFに囲まれて、コーナーに追いつめられてしまいます。何とかマイボールにしようとしますが、ゴールキックになってしまいます。

　1-0でリードしたまま、前半終了。後ろから歩いてきた秋田選手が満男選手に声をかけます。そして、満男選手は、根本選手に声をかけます。遠くて、しっかり表情は見えないけど、声をかけられた根本選手は柔らかな表情のよう。ずっと話し込みながら、メインスタンド下に去っていく2人。一緒にプレーすることを楽しんでいるのではないかなと思わせる光景です。

　後半開始前には、満男選手は、みんなから遅れて姿を現し、メインスタンド下から、すでに輪を作っている他の選手のところまで、一直線に走ってきます。

　3分、右サイドで、突破を計るストイコビッチ選手に、スライディングを仕掛けた満男選手、遅れて抜かれてしまいます。ほとんど接触はなかったと思うのですが、ストイコビッチ選手が倒れて、ホイッスル、イエローカードが出ます。足にいったプレーではないだけに、満男選手も抗議しますが、認められません。去年の2ndステージでは、1枚もイエローカードをもらわなかった満男選手ですが、今期はすでに2枚目のイエローカード。あと1枚で、出場停止になってしまいます。

　バックラインを上げるように、手でDFに指示する満男選手。後ろにいるのは本田選手と秋田選手です。

　6分、ルーズボールをヘディングで、キレイに柳沢選手の足元に落とします。

　8分、ハーフラインの15メートルほど後ろでボールを持った満男選手。ドリブルで上がると、ハーフライン上からシュートを狙います。楢崎選手の飛び出しを見ての銅像シュートですが、大きく左に外れてしまいます。

　9分、センターサークルの前辺りから、DFの裏、ペナルティエリア内の柳沢選手へ、パスを通します。柳沢選手、ダイレクトでシュートを狙いますが、うまく足に当てることができませんでした。

　DFが相手選手を倒して、ゴール前でFKを与えてしまったとき、熱くなって審判に詰め寄るビスマルク選手。満男選手は、壁に入るためにやってくると、手で胸を押して制して、引き離します。

　13分、攻め上がっていたアントラーズ、中田選手がボールを奪われてカウンターになります。攻撃を遅らそうと、スライディングした満男選手、ボールをそらすことはできたのですが、さらにそのボールが相手選手に拾われてしまいます。速い攻撃で1点取られ、同点にされてしまいます。

　ゴール前のFKからの混戦、こぼれてきたボールを、満男選手、素早く拾うとドリブルで上がり、カウンターを狙います。山口選手に足をかけられ倒されますが、流されてしまいます。

　16分、速い攻撃で、前線に上がった満男選手、左サイドで根本選手がボールを持つと、タイミングを合わせて、DFの裏に飛び出します。根本選手のボールが、少しそれてしまい、とっさに満男選手、ジャンプして、右足カカトのアウトサイドでシュート。ボールはバーに弾かれてしまいますが、飛び出しも独創的なシュートも、魅力的なプレーです。

　この直後、右足のシューズの紐を結び直す満男選手です。

　18分、根本選手から横に入ったボール、DF2人のあいだをキレイに抜いて、20メートルほどのスルーパスを通します。ゴールより左側に入った柳沢選手、正面の隆行選手にパスを送りますが届きません。

　24分、ボールを受けようとした満男選手、後ろから来た大森選手に背中を押され、足をかけられて倒されます。立ち上がった満男選手、どこか痛いのでしょうか、少しのあいだ、うつむき加減で背筋が伸びません。

　右サイド、名良橋選手にボールが渡ると、ゴール前に走り込む満男選手。名良橋選手のクロスにヘディングしますが、タイミングが合いません。DFにクリアされてしまいます。

　この辺りで、満男選手、パッタリと足が止まったように見えました。

　27分、一旦、後ろまで駆け戻り、すぐにチャンスで上がってきた満男選手、隆行選手からの横パスをウリダ選手に奪われてしまいます。必死について戻り、体をぶつけ合い、ウリダ選手の前に体を入れて、ボールを奪います。

　審判の判定に神経質になっている満男選手、本田選手に対するイエローにも、抗議にいきます。

　そして、30分、8番のボードが出されて本山選手と交代です。去年から、満男選手と本山選手が、直接交代した試合で、そのあと、相手チームより沢山得点を入れた試合はありません。その後の試合展開は、得点差0か、相手の勝ち越し。セレーゾ監督は気づいてないかもしれないけれど、イヤな予感のする交代です。

　監督は試合後の記者会見で、交代は、前日から、満男選手が下痢気味で体調が悪かったためと話したそうですが、ハーフタイムにロッカールームに向かうときにも、ベンチに下がってからも、特にドクターと話しをすることもありませんでした。下がってから、一旦ロッカールームに向かうこともなく、ずっとベンチに留まっていましたし、トレーナーの方のチェックも、受けませんでしたから、ひどい体調不良というわけではなさそうです。

　ベンチコートを着てベンチに座ると、暑かったのかストッキングを下げる満男選手。試合の行方を気にして、時に立ち上がって戦況を見つめます。アントラーズが攻め込んでいるゴールの方が見にくいのか、攻め込むたびに立ち上がり、相手ボールになると、また座ることの繰り返しです。

　満男選手が下がる前から、攻め合いになっていたゲームですが、本山選手が入ったあとは、アントラーズの中盤がなくなってしまいます。圧倒的なグランパスペース。隆行選手に替わって青木選手が入ったことで、少し落ち着きますが、何度もゴールを脅かされて、何とか得点を入れられないまま延長に突入します。

　ベンチ前に座り込む選手たちの中、満男選手は、立ち上がって様子を見守ります。クーラーボックスを運び出したマネージャーさんと話したり、トレーナーさんと話したり。そして、ストレッチをしている選手たち、一人一人に声をかけて歩きます。

　長谷川選手と交代になる本田選手から、キャプテンマークを引き継いだ秋田選手、満男選手と曽ヶ端選手に、どちらのピッチを選ぶかを訪ねます。2人とも、迷わず大きくアントラーズのゴール裏を指さします。サポーターの目の前のゴールに攻め込んで、勝とうという気持ちなのでしょう。

　ゲーム再開直前に、選手とスタッフ、全員が円陣を組むと、満男選手は、真っ先に手を大きく叩いて、みんなに気合いを入れ、声を出して励まします。

　本田選手と話しながらベンチに戻った満男選手は、先ほどと同じように戦況を見つめ続けます。

　延長前半早々に、平岡靖成選手がハンドで、一発退場。11対10になります。それでも、人数が多いとは、とても思えないゲーム展開で、延長後半ロスタイム1分の掲示が出たあと、森山選手にVゴールを決められてしまいました。

　負けが決まった瞬間、満男選手は隆行選手と一緒に早足で、引き揚げていきました。

　後半からグランパスペースになった試合ですが、立ち上がりの選手たちの気迫は、ものすごいものでした。守備面での形も整っていたと思います。正直、優勝は難しくなりましたが、決して、悪い意味ばかりではない試合だったと思います。